第119話 凄いねその凄い名前の薬!
神聖歴583年 夏の中月 7日
キャンプ地に到着した次の日の朝。暫定テントのため雑魚寝のような形になってしまったが寝心地はそれほど悪くなかったため、すっきりとした目覚めになった。周囲にはまだ眠っている男どもが多く居るため、起こさないように注意しながらテントの外へ出る。
昨晩は非常に盛り上がったため眠るのが遅くなったものが多いのだろう。俺のマイムマイムも炸裂したからなぁ、ふふふ。仕方あるまい。まぁ暫定テントの構造上明るくなったら嫌でも目覚めるだろうし、それまでは寝かせてやろう。
「お、速いなタロゥ」
「ええ。昨日は早めに寝たんで。見張りご苦労様です」
「あー、良い良い。当番だしな」
まぁもちろん野山で寝泊まりするわけだから全員が全員眠り込んでるわけじゃない。獣や魔物を警戒して冒険者組から交代で寝ずの番を立てているから、もし夜間になにかあっても対処できるようにしてあるし、昨夜の内に虫よけついでに獣よけとして特攻露西亜丸も周囲に撒いてある。鼻が利くタイプの魔物はこれで近寄ってこなくなるだろう。
もっとも特攻露西亜丸は狼人種にも結構ダメージがいくため余り多くは撒けないから、あくまでも気休め程度のものだし忌避剤代わりに撒いてあるから狼人種や熊人種が居るパーティーには事前に近寄らないよう注意しとかないとな。
「ヂュウゥゥゥゥ!」
「あ」
そう思った矢先、特攻露西亜丸をばら撒いた辺りから車に踏んづけられた鼠の断末魔のような声が響き、どたどたとネズコ先生が林の中から飛び出てくるのが見えた。特攻露西亜丸って鼠の忌避剤にもなるんだよな、そういえば。
……うん、まぁ事前に獣よけをするとは言ってあるから問題はないか。被害が広がる前に全員に注意しとかないとな。
「いやねびっくりしたよ! 山火事みたいな臭いでさ! 私もまー長く生きてる分色々経験したけど匂いだけであんなに取り乱すとは思わなかったよ! 凄いねその凄い名前の薬! ちょっと後で幾つかくれない?」
「またパニックになられたら困るんであげません」
「そんなー!」
暫定テントは天幕代わりにそのまま利用しようという事なので新しい支柱を用意したりしながらキャンプ地を整備し、昼前には各チームごとのテントなどが立ち並ぶそれなりのメインキャンプが完成する。昨日のうちに整地をある程度してたから大分早く終わることが出来た。これで一先ず今回の目的であるフィールドワークへの準備が整ったと言えるだろう。
「フィールドワークは毎回大体10日くらいかけてるね! 今回は他学科も多いからもうちょいかかるかもしれないけど!」
「まぁ、この大所帯ですしね。何事も時間がかかるか」
「そうそう! フィールドワークとはいえ護衛も必要だから纏まれる学科は合同で山に入るとかもあるから! うちは山の生態を調べたいって生物学科と一緒になる予定! あっちの護衛と共同で私たちを守ってね!」
「了解です」
「あ、あっちに居るのが生物学の教授! 挨拶いこ挨拶!」
ネズコ先生から生物学科の教授を紹介されたので挨拶を交わす。基本的に各学科キャンプには数名の人員を残して残りでフィールドワークを行う予定だという。薬学部の護衛は実質俺とザンムで、あっち側は6人パーティーだ。二学部合同となると大分大所帯になるな、これ。安全を考えると事前に魔物とかは間引きしといた方がいいか?
ネズコ先生と生物学の教授にその提案をすると、生物学の教授としてはその魔物も含めて実地調査をしたいそうだが、流石に魔物が近くにいるかもしれない状況で学生を行かせるのは危険だ。ネズコ先生も含めて説得を行い、駆除した魔物の死骸は持ち帰る事を条件に生物学の教授も最後には同意してくれたので事前に近隣の危険な獣を間引こうという話になり、これを聞きつけた他の学科も安全性の向上に繋がるとキャンプ地の護衛につく冒険者以外は全員が近隣の魔物の駆除に当たる事になった。
「各自斥候以外は最低でも2人以上のチームを組め! 斥候担当は他チームを置いて前に進みすぎるなよ! 命に係わるからな! おい、タロゥ! 獣よけの臭い玉を撒いてるって話だったな! それはどのくらい信頼がおけるもんだ!」
「朝方ネズコ先生が断末魔あげてたでしょ。鼻が利く獣ならああなる奴だよ。ネネ、特攻露西亜丸は持ってるね?」
「これ臭いから嫌い……」
「もしもの時の備えだよ。鼻が利くタイプの魔物ならあれで時間稼ぎが出来るから躊躇しないで」
全体の指揮を執るベテラン冒険者の傍でネネに持たせていた特攻露西亜丸を取り出させると、狼人種のベテラン冒険者は「ギャンッ」と悲鳴を上げた。軽く蓋を開けただけなのにこの効果である。凄いな特攻露西亜丸。ただこれ瓶に入れて持ってるだけでもちょっと臭いが強いから、一番危険な斥候役には持たせられないのが難点だし狼人種なんかの特に鼻が利く人種は自爆になっちゃう可能性が高いのはよろしくない。猫人種ハーフのネネでもかなりキツイみたいだし効果は高いけど使える環境が限定的すぎる。
まぁ、これは拠点や普人種の学生にある程度持たせてもしもの時の備えとするのが良いか。間引きに関しては小細工なしで真っ向やるのが一番っぽいな。
「という訳で間引いてきた魔物がこちらです」
「けっこーおおかったねー」
昼頃から始めた間引き作業は夕方近くまで続き、近隣を根城にしていたゴブリンなどの小型の魔物や6つ足の猪のような姿をした中型の魔物や獣など、半径1km以内に居た魔物はほぼ駆除することに成功した。上空から見て回ったから多少は漏らしがあるかもしれないが、この辺の生態系を考えるとこれ以上はちょっと……と生物学の教授が口にしたので一旦は終わりだ。後は各自の護衛で事足りるだろうしもしそれでも足りないような何かが起きればその時はまた合同で対処すればいいしね。
で、早速間引きが終わったのだが早速生物学の教授と魔物学科の教授がワーキャーと言いながらこの獲物たちを我が物にしようと言い合いをはじめたのだ。
「いやいや。今回の仕事は狩った魔物は冒険者の権利でしょ」
「……カルデラに帰ったら金を出すから今買い取らせて欲しい!」
「こっちもだ!」
「なにを! うちが買い取るんだよ!」
二人の教授の勝手な言い分に思わずそう口にすると、二人そろって「そういえばそうだった」という顔になり、一拍の後にまた二人が言い合いの喧嘩を始める。折角一緒にフィールドワークに来てるんだから共同研究にでもすればいいのに、彼らにはそれじゃダメという事なんだろう。仲が悪いのかな。
まぁこちらとしては報酬上乗せが期待できるからどっちが買ってくれても良いんだけどね。
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タロゥ(10歳・普人種男)
生力67 (67.0)
信力132 (132.1)UP
知力51 (51.0)
腕力71 (71.0)
速さ69 (69.0)UP
器用58 (58.0)
魅力63 (63.0)
幸運36 (36.0)
体力71 (71.0)
技能
市民 レベル4 (79/100)UP
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル4 (66/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師 レベル3 (51/100)
剣士 レベル6 (20/100)UP
木こり レベル2 (70/10)
楽士 レベル3 (51/100)UP
教師 レベル3 (76/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル6 (100/100)ー
テイマー レベル2 (80/100)
絵師 レベル3 (90/100)
語り部(紙芝居) レベル5 (100/100)ー
水兵 レベル2 (45/100)
執事 レベル3(100/100)ー
乗馬 レベル0(23/100)
スキル
夢想具現 レベル3 (100/100)ー
直感 レベル5 (6/100)UP
パチン・コ流格闘術 レベル6(100/100)ー
パチン・コ流武器術 レベル6(100/100)ー
飛行術 レベル3 (42/100)UP
フォークダンス レベル5(100/100)ー
フォークマスター レベル1 (100/100)ー
念話 レベル2 (72/100)
女たらし レベル6 (76/100)UP
野獣の眼光 レベル0(21/100)
ネゼ・カルデラ式マナー レベル3 (46/100)
釣り師 レベル4(3/100)
英雄スキル
夢想具現仏恥義理
カルデラ近隣地図
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