第114話 フィッシャーマンタロゥ先生は居られるだろうか!
神聖歴583年 春の終わり月 8日
「たのもう! こちらにフィッシャーマンタロゥ先生は居られるだろうか! 某、カジャルカスの町から釣り修行に参ったモブスキと申すもの! 是非一手ご指南いただきたい!」
「ここは武術道場なんで帰ってください」
サニムとカルデラの威信をかけた釣り勝負から1月。そろそろ夏も近づいてくる頃だというのに、頭が湧いた訪問客が毎日のようにやってくる。そういうのは春先のあったかくなった頃に出てくるもんだろ。晩春に来るんじゃねぇよ。
「おうコラ三下ァ! いきなりフィッシャーマンタロゥ先生に挑戦たぁ太ぇ野郎だ! まずはカルデラアングラー本部に顔出して挨拶、その後にアングラー本部の規定を満たしてから来い。野良試合はアングラーポイントも付かねぇから損だぞ!」
「おお、カルデラはそういう仕組みであったか。ご教授頂き感謝する」
そんないきなりの挑戦者を、これまたこの1月でもう慣れたもんとばかりに最近入門したカルデラ出身の狼人種の男の子が口頭で追い返す。色々俺も知らない単語が出てきたんだが、多分カルデラ出身だと常識なんだろう。多分。おそらく。
アングラーポイントってなんだろ。貯めたらなんか良いもの貰えるのかな。流石に今さら聞くのは躊躇われるけど。
さて、何故か釣りだなんだと変な盛り上がりを見せているが、それはそれとしてパチン・コ流のカルデラ進出は順調に進んでいる。というか釣りも+の要素と言ったらいいのか。元々パチン・コ流は武術だけではなく護身術とかエクササイズなんかにも力を入れて門下生を増やしていた流派だから、その一つに釣りが増えてもまぁそれほど困らないんだ。
実際にカルデラアングラー四天王とか名乗ってたミリアはバリバリ心技使ってたし、あれもまた一つの武術ととらえると割と真似る事も出来る。ダイレクトフィッシュとかいうのもうちの流派なら『打出』で似たような事は出来るからね。
というか実際にうちの指導員のヴラドさんがアレを身に着けて結構な大物を取ってきたりした。ヴラドさんの場合鳥人種だから普人種よりも高く飛べるため、上空から海面を見て獲物を探り、そこから頑丈な糸を付けた針を『打出』で発射。釣竿すら使わずに大物を仕留めたらしい。
仕留めるって釣果報告で聞く単語じゃないと思うんだけど、これがこの世界の釣りだから仕方ないよね。
まぁ、ともあれこの結果でうちの道場で練習すれば釣り人としての腕も上がると専らの評判になり、ここ1~2週間の間に随分とカルデラ出身の門下生が増えた。カルデラでは釣りの腕前は結構なステータスになるらしいから、その腕前を磨けるというのは魅力的らしい。
俺たちが頑張って賞金首を倒してきたときよりも影響が大きいのは、少し。いや、かなり無念だけどね。なんで武術の道場で武術より釣りの腕前が重視されるんだろうね。
「まぁ、人が増えた分仕事も増えたし、道場の収入も安定してきた。良いことなんだけどね」
「そうそうーあんまりなやむのはよくないよー」
まぁ、俺の内心がどうあれ道場運営が上手くいくのは良いことだ。指導員達への報酬も払えるし、俺の実入りも増えるからね。あとはこのまま門下生を増やして門下生の中から更に指導員を増やしていって、徐々にサニムからの人材を返していったり新しい師範代になれる人がいたらその人を後釜に据えて俺は自由になるというのも考えられる。
その為にもしっかりと指導して後進を導いていかなければいけないんだけどもね。何故か俺の指導ってあんまり人気ないんだよな。門下生から。あれかな、やっぱり見た目が童顔過ぎて年下に見えるのがいけないんだろうか。身長がデカくなったから実年齢を言うとめっちゃ驚かれるようになったけど、顔立ちはほとんど変わってないからなぁ。
「いやぁ、師範代の指導は的確で覚えやすいんですがね。ちょっと詰め込み過ぎというか一度に大量に教えてくれるんで飲み込むのが大変なんですわ」
その辺を相談しようと指導員の一人に聞いてみると、凄く申し訳なさそうな顔でそう言われた。割とショックを受けていると、ザンムがボリボリとなんだか良く分からない肉の串焼きを串ごと食べながら口を開く。
「タロゥはーじぶんができるからってわりとむちゃぶりするよねー」
「え、マジ? 俺、そんなつもりはないんだけど」
「ふつーのひとは1ねんちょっとでしどーいんにならないしー3年でしはんだいにもならないよー」
「……い、いや。だけども俺、神父様やパチン・コ師範から『全然才能ない』って断言されてんだぞ!?」
ザンムの言葉にそう反論するも、ザンムは分かってねぇなぁと言わんばかりの腹立つ顔で首を横に振って串焼きを丸呑みした。言わなかったけど多分それ、そういう食べ物じゃないよ?
あと、才能云々に関しては本当の事で、神父様からは「タロゥは謎のスキルと自分が上達すると全く疑ってない精神性のお陰で限界を超えて成長できてるんですよ」って暗にお前とっくに成長限界なのになんで成長できんだよって言われたし、パチン・コ師範からは「センスのなさを精神力で補ってる。どうなってんだお前の身体は」って言われてるんだぞ。
まぁ、多分その辺りは夢想具現って変なスキルのお陰な気はするけど。よく考えたら俺のスキルって大半が前世で出来た事をこっちでやったら勝手に上がったのばっかだし、自力で上げたって胸を張って言えるのはパチン・コ流関連と薬師とか森歩きで鍛えた辺りなんだよな。パチン・コ流なんか2年近く師範代に毎日付きっ切りで指導されてこれなんだし、確かにこの身体はめちゃめちゃセンスが悪いのかもしれない。
でも、まぁ頑張れば成長できてるのも間違いないから……いや、これだな俺の悪い所は。頑張りすぎるを他の人に求めるのは確かに間違ってる。ほどよく頑張って到達できるくらいが普通の人の到達点と考えないといかん。ブラック会社で潰れた前世を思い出せ。俺も奴らと同じになってはいけない。自分も出来るから他人にもやらせる、はブラック上司の典型例じゃないか。
カルデラのパチン・コ流道場はホワイト経営をモットーに運営していこう。アットホームな道場目指して頑張っていかないとな!
「という訳でザンム、門下生と触れ合うためにも型稽古の指導をだね」
「タロゥはそこですわってるのがしごとだよー」
「張り切り過ぎたらろくなことにならないから、師範代は」
「あ、ほら師範代。今日の釣りの方で指導して欲しいって人も居るし今日は港で釣りして来てよ」
「それなら俺がお供します! カルデラアングラーどもにフィッシャーマンタロゥ先生の雄姿を見せてやりましょう!」
「おい、抜け駆けするな! フィッシャーマンタロゥ先生! 自分もお供させてください!」
早速やる気を出して仕事をしようとしたら指導員総出で止められて釣竿を渡された。おかしいな、この道場の責任者は俺の筈なんだが武術の稽古より釣りの技術を求められてる気がしてならない。
ま、まぁ。これも道場の発展になるなら良いか。何故か道場そっちのけで10人くらいカルデラの子が付いてくるみたいだけど皆喜んでるし。
うん? ミリアと戦った時の技が見てみたい? あれを技と言っていいのか分からんがまぁ心技ではあるから確かに技なのか。技名が合った方が箔がつくしカッコいい? それはまぁそうだな。うむ。アレは49の返し技の一つ、フーリンカザンである。其方らも修練を積めば自ずと扱えるようになるだろう。かっかっかっ。
お気に入り・☆評価よろしくお願いします!
タロゥ(10歳・普人種男)
生力66 (66.0)UP
信力128 (128.6)UP
知力51 (51.0)UP
腕力71 (71.0)
速さ67 (67.0)
器用57 (57.0)UP
魅力61 (61.0)
幸運36 (36.0)
体力70 (70.0)
技能
市民 レベル4 (72/100)UP
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル4 (66/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師 レベル3 (48/100)
剣士 レベル6 (15/100)
木こり レベル2 (70/10)
楽士 レベル3 (48/100)
教師 レベル3 (73/100)UP
パチン・コ流戦闘術 レベル6 (98/100)UP
テイマー レベル2 (78/100)
絵師 レベル3 (90/100)UP
語り部(紙芝居) レベル5 (100/100)ー
水兵 レベル2 (45/100)
執事 レベル3(100/100)ー
乗馬 レベル0(23/100)UP
スキル
夢想具現 レベル3 (100/100)ー
直感 レベル5 (1/100)UP
パチン・コ流格闘術 レベル6(98/100)UP
パチン・コ流武器術 レベル6(98/100)UP
飛行術 レベル3 (31/100)UP
フォークダンス レベル5(100/100)ー
フォークマスター レベル1 (100/100)
念話 レベル2 (72/100)UP
女たらし レベル6 (55/100)
野獣の眼光 レベル0(21/100)UP
ネゼ・カルデラ式マナー レベル3 (45/100)NEW
釣り師 レベル3(95/100)UP
英雄スキル
夢想具現仏恥義理
カルデラ近隣地図
https://kakuyomu.jp/users/patipati123/news/822139845715828802




