表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味  作者: ぱちぱち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/123

第105話 強い女は、目で落とすんス

 カルデラ市中央委員会。ネゼ・カルデラ都市国家連合の中心地、カルデラを運営する有力者たちの集い。


 その場にサニムの代表者、キンタロゥ・サニムとして招かれた俺は海千山千のカルデラ市中央委員たちを巧みな舌鋒できりきり舞いさせ――るなんて事もなく、椅子にドカリと座り込み、ダリルウさんやアクエリアがカルデラのお偉いさんと舌戦を繰り広げるのを黙って見ている。仕事をしてないわけじゃないぞ? というよりもここで俺が下手なことを言っちゃうほうがダリルウさんやアクエリアの邪魔になるかもしれないんだ。


 俺に求められている役割は純粋な武力の担保だ。今回、サニム総督なんて役柄を持ったキンタロゥ・サニムがカルデラまでやってきた理由は表向きだけでも二つある。まぁどっちも近しいんだが、キンタロゥ・サニムというのが実在の人物であるということと、そのキンタロゥ・サニムを介してムリーナスト帝国内の第二皇女派閥との連携が取れているという証明のためだ。


 これらが必要な理由はいくつもあるんだが、まずキンタロゥ・サニムという存在についてサニムが対外的に喧伝してる内容がカルデラにとって信じがたいというのが大きい。キンタロゥ・サニムはサニムで生まれ育った遠い地の貴種の末裔であり普人種の英雄スキル持ちで尚且つまともな対話が可能な知性があること。また50余年ぶりに誕生した魔物をテイム可能なテイマーである。この二点、特に前者の対話が可能な知性を持つという点でカルデラはキンタロゥ・サニムの実在を疑ったのだ。


 いや、そこかよと言いたくなるかもしれないが、これはネゼ・カルデラ都市国家連合のお偉いさんならば常識的な反応である。何故なら記録に残っている普人種の英雄スキル持ちの話は酷い。本当に酷いものばかりだった。


 たとえばこれはムリーナスト帝国の人なのだが、20年くらい前にムリーナスト帝国で英雄スキルを覚醒させた当時の帝国の将軍は南方の反乱軍に戦争で敗れた際、激しい拷問を受け、また恋人であった副官を目の前で陵辱されて発狂した瞬間に英雄スキルに覚醒。恋人以外の周辺の生き物を全て殺戮したという。以来、帝国の南部のある地帯にはぺんぺん草すら生えない死の荒野が広がっていて、そこに生き残った恋人さん以外が立ち入ればたちまちのうちに命を失ってしまうという。


 更にそれよりも10年ほど時代をさかのぼり、これはネゼ・カルデラ都市国家連合の話。とある海洋都市で一番の腕を持つと言われたとある漁師が海の悪魔と呼ばれる魔物に船を襲われ、同乗していた弟と二人の息子を目の前で貪り食われ英雄スキルに覚醒。海の悪魔を撃退するもある種の狂気に囚われ、今も彼は英雄スキルで生み出した舟に乗って海の悪魔を追い続けている。彼に関しては人を襲う事はないし補給のために陸に寄る事もあるため、一定の社会性は残っているものの全ての行動に海の悪魔への妄執が滲み出るためまともな会話は出来ないそうだ。


 この二人以外にも人の皮で出来たマスクを被り半裸で両手に剣を持った殺人鬼だったり、失った子供を探して周辺の子供たちを浚い数百人の子供を監禁した母親だったりと。お腹いっぱいを通り越して吐きそうな内容の話がどんどん湧いて出てくるのが普人種の英雄スキル持ちなのだ。


 まともに会話できるというだけで過剰反応する理由も分かるだろう? カルデラ側はこの会談まで、サニムは破戒教皇のような洗脳能力を持った英雄スキル持ちが占領したかもしれないと本気で信じていたのだ。そんなんレンツェル神父が許すわけないだろうに。あの人洗脳スキルを蛇蝎の如く嫌ってるんだから。


 まぁ普人種にも一の勇者という対話が可能な英雄スキル持ちが居たから、最終的にはネゼ・カルデラ都市国家連合内の英雄スキル持ちが複数名による監視の下ならという事で俺たちはこの場に立っている。という訳で俺がこの場で何かをするとその瞬間、この会議場で一切気を抜くことなくこちらを見ている森人種のお姉さんと地人種のお姉さん……多分。地人種の女性は普人種の子供みたいな見た目なんだよ。多分お姉さんとそれに初めて見たな、竜人種。リザードマンとはまた違うらしいんだがヤバいな、男か女かもわからん。兎に角、竜人種の人がこっちの一挙一動を眺めている。


 という事で俺はただデーンと座っているだけしか出来ないし、やってはいけないのだ。ダリルウさんとアクエリアにとってはそれで十分らしい。アクエリアとしてはこの会談でムリーナスト内海の守護者としてキンタロゥ・サニムを就任させ、英雄スキル持ちの担当エリア問題とムリーナスト帝国の第二皇女閥の根源地であるハルノートを帝国側の窓口としたムリーナスト内海での交易をサニム総督(つまり自分)の利権にしたいと考えているそうだ。そういった政治的な話はノータッチで生きていたい俺としてはもう完全にお任せの状況だな。


 話が違えば俺は逃げる。バイクに乗って妹を抱えて逃げる。その辺はちゃんと脅してあるからアクエリアが俺の意向を無視してタスクを増やしてくることはないだろう。アクエリアにとっても俺という存在は武力の担保でありサニムを通じてネゼ・カルデラ都市国家連合との繋がりとなる。その俺が政治的な発言を行おうとしないのは都合がいいはずだ。


 とはいえ、流石にずっと置物として座っているのも流石に暇になってくる。とはいえ何か言えば問答無用で竜人種の人の槍が突っ込んでくるだろうし、地人種のお姉さんの斧が降ってきそうだし、森人種のお姉さんの矢が飛んできそうだ。


 それぞれの英雄スキル持ちに視線を向ける。彼らはレンツェル神父や大狼さんと同格の、勇者級の戦士たちだ。英雄スキルに目覚めてさほど経ってない俺はまだ彼らの足元にも及ばないのだろうが、感じる圧力はそれほど強いものではない。というかむしろ、親しみすらというか。彼らに対して、同じものを持つ者同士という奇妙な親近感すら感じている。ああ、彼らも持ってるな。俺と同じだ。そういう感覚だ。


 あと、これは親近感とは全く別で、男女が分からない竜人種の人を除いた二人がすっげぇ美人でびっくりした。レンツェル神父といい英雄スキル持ちは美形しか居ないんじゃなかろうか。大狼さんも美醜は分かんないけど、立ち振る舞いがカッコよかったし。竜人種の人もカッコいいとは感じたのよ? キリっとしたお顔だしね。


 森人種のお姉さんはちょっと釣り目気味の凛々しい系な美人で、地人種の推定お姉さんは若干丸みのある可愛らしい顔立ちの美人というより可愛い子だ。子っていうと失礼かもしれないが、見た目の話しがだね。


 そんな益体もない事を考えていると、ツンっとわき腹にアクエリアの指が突き刺さる。痛みはないが、今のタイミングで俺にアクションを取るのはヤバいんじゃないかとそちらに顔を向けると、アクエリアがもう見ただけでも分かるプクーッとした膨れ面を浮かべている。


 え、どういう空気?


 それまでムリーナスト内海の今後について軽快に持論を展開していた政治家の顔から、いきなり年齢相応の少女の顔になったアクエリアに周囲が困惑する中、その空気を無視してアクエリアは口を開く。



「キンタロゥ様は、ロゼッタといい。ああいう見た目の凛々しい女性が好みなのですね」

「はぁ?」



 思わずそう返してしまったが、幸いなことに槍は飛んでこなかった。代わりに周囲の視線が俺に突き刺さる中、アクエリアはぷりぷりと怒った様子でやれ視線がどうだの、やれ頑張っているのに対応が冷たいだのと俺に小言をぶちまける。


 これは……ああ、なるほど。アクエリアの嫉妬に塗れた言葉を聞いて、俺はようやく彼女が今、俺に求めている流れを理解した。


 つまり、こういう事だろう。



「なんだ。妬いてるのか」

「妬いてなんて、そんな。ただ」

「良い女を見たら視線を向けるのが男の礼儀だ。俺は俺の流儀で礼を尽くした。だが、俺の一番はお前だよ、アリア」



 そう言ってアクエリアを抱き寄せる。そしてここだ。ここで重要なのが、視線を森人種のお姉さんと地人種の推定お姉さんにも向け、自信満々に不敵な笑みを浮かべる事だ。


 前世の同僚で、前職はホストの帝王だったと豪語したD君は言っていた。「女を落とすのは目っスよ。強い女は、目で落とすんス」と。その助言を聞いて磨きに磨いた視線を二人の英雄スキル持ちに向ける。俺の視線に射抜かれた森人種のお姉さんと地人種の推定お姉さんは、これまで監視のためだけに向けられていた視線の質に明らかに戸惑いを滲ませた。


 ここで声をかけにいくのは三流のホストだ。一流は視線だけで相手の胸に楔を打ち込む。胸元で切なそうな吐息を漏らすアクエリアを抱きしめながら、俺の視線は二人の美女と美少女?を釘づけにしていた。


 そんなやり取りをはたで見ていた竜人種の人は、コホンと咳ばらいを一つする。その咳払いに森人種のお姉さんと地人種の推定お姉さんがハッと我に返るのを横目に、竜人種の人は渋い声で中央委員の中心人物に声をかけた。



「中央委員長殿。こやつは一の勇者と同類だ。今のやり取りで確信した。近くに女を置かない方が良い」

「……一の勇者かぁ……でしたら、さようですな。はい。サニム総督をカルデラ市は承認し、ムリーナスト内海の勇者と認定いたします」

「えっ!? よ、宜しいのですか!?」

「はい。一の勇者と同類であれば……まぁ、対話は一応可能でしょうし。まぁ、はい。出来れば早めにサニムに帰っていただけますかな」



 ダリルウさんの言葉に中央委員長と呼ばれたおじさんは、非常に深いため息を吐きながらそう応える。


 おかしいな。最初に目標にしていた成果を全部達成した筈なのになぜか負けたような気がする。森人種のお姉さんと地人種の推定お姉さんも顔を真っ赤にして目を逸らしてくるし、随分と怒ってるみたいだ。やっぱりD君のような玄人の手法を俺のような一般人が行うのは無理があったか……? いやでも、前世だとこれでキャバ嬢は落とせてたんだよなぁ。やっぱり子供の身体じゃ貫禄が足りないって事だろうか。ロゼッタに協力してもらって、練習した方がいいかもしれないな。


お気に入り・☆評価よろしくお願いします!


タロゥ(10歳・普人種男) 


生力65 (65.0)

信力123 (123.3)

知力49 (49.0)

腕力71 (71.0)

速さ67 (67.0)

器用55  (55.0)

魅力61 (61.0)UP

幸運36  (36.0)

体力70 (70.0)



技能

市民 レベル4 (64/100)UP

商人 レベル3 (100/100)ー

狩人 レベル4 (66/100)

調理師 レベル3 (100/100)ー

地図士 レベル3 (100/100)ー

薬師  レベル3 (48/100)

剣士 レベル6 (15/100)

木こり レベル2 (70/10

楽士 レベル3 (48/100)

教師 レベル3 (62/100)

パチン・コ流戦闘術 レベル6 (84/100)

テイマー レベル2 (78/100)

絵師 レベル3 (89/100)

語り部(紙芝居) レベル5 (100/100)ー

水兵 レベル2 (36/100)

執事 レベル3(100/100)ー

乗馬 レベル0(15/100)



スキル

夢想具現 レベル3 (100/100)ー

直感 レベル4  (85/100)UP

パチン・コ流格闘術 レベル6(84/100)

パチン・コ流武器術 レベル6(84/100)

飛行術 レベル3 (11/100)

フォークダンス レベル5(100/100)ー

フォークマスター  レベル1 (100/100)

念話 レベル2 (56/100)

女たらし レベル6 (50/100)UP

野獣の眼光 レベル0(15/100)NEW

サニム流マナー レベル3 (35/100)



英雄スキル

夢想具現仏恥義理(ぶっちぎり)



カルデラ近隣地図

https://kakuyomu.jp/users/patipati123/news/822139845715828802


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ