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夜夜一夜(よながよっぴて)~奇の断片~  作者: 夏の月 すいか


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10/11

今も仲良く

 K市とF町の境に総合病院がある。数十年前に、その病院の前の横断歩道に幽霊が出るという噂が広まった。

 地元の大人連中が集まった際にもその話題が出るくらいだったので、かなり広範囲の年代に広まった噂だった。

 

 噂の内容はこうだ。

 夜中にK市方面から自動車で病院の前を通ると、横断歩道を渡る老夫婦の幽霊が現れる。

 F町方面からでは幽霊は現れない。

 幽霊が現れるのは白い車のみである。


 噂が広まり過ぎたのか実際の目撃者が多かったのか、お祓いが行われる事態となった。

 しかし、

「お祓いしてもダメだったみたい。まだ現れるって」

 と、大人たちが言っていた。

 

 私は当時10代で、赤い自動車に乗っていた。

 白い車でないため、噂通りであれば幽霊を見ることは叶わないのだが、友人と二人で噂の病院に行ったことがあった。

 近くのコンビニの駐車場に停め、車内から様子を見た。

 すると、K市方面からの車のうち何台かが、無人の横断歩道の手前でブレーキをかけていた。

 あの車の人には幽霊が見えているのかと私たちは興奮したが、所詮(しょせん)私と友人には幽霊は見えないので、やがて飽きてしまった。

 

 やがて噂は人々から忘れられた。

 それから数十年後。

 実家を離れていた私は数年ぶりに所用で実家に帰ることになった。

 仕事終わりで向かったため、隣市のK市に入るころにはもう真夜中になっていた。

 久しぶりのK市の景色にふと横断歩道の噂を思い出し、懐かしい気持ちと好奇心から病院の前を通るルートで帰ることにした。

 私の車は白色ではなくシルバーなので幽霊が現れるとは思っていなかった。もっとも白色の車に乗っていたとしても、本気で信じていた訳ではないが。

 病院が近づいてきた。………横断歩道が視界に入ったそのとき。

 突然、車内にピーピーピーという障害物センサーの音が響いた。

 自動ブレーキが起動し、突然ガクンと減速した。

 私は焦った。

 もちろん横断歩道を渡っている人はいない。

 今までにセンサーが誤作動を起こしたことはない。

 仮に猫やイタチなどの小動物がいたとしても、そのくらいではセンサーは反応しない。

 私はゆっくりと車を進めた。

 数十分後実家に到着し、ようやく緊張から解放された。


 おそらく老夫婦の幽霊は今もまだいるのだろう。

 ずっと二人仲良く病院から帰っているのかもしれない。

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