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「フォードウェル嬢、庭を見ながらご一緒にガゼボでお茶でもいかがですか?」
庭の散策をしていると、ほんのり引きこもっている私を気遣ってかライアン様が声をかけてくれた。
ライアン様からのお誘いは流石に断りにくい。
リリアからの誘いはもう少しゆっくりしたいと断ってしまっている。
「ありがとうございます、是非。」
食欲が落ちているのであまり食べられないが、お茶なら飲めるのでありがたい。
(甘いものが好きすぎるからいいダイエットになるわね。)
「毎年姉とプレゼントを選んでくれていると聞いています。学園でお会いするのを楽しみにしていたので、思いがけず先にお会いできて嬉しいです。」
さりげなくエスコートをしながら話題を振ってくれる。
婚約者に困ることはなさそうだな、と不躾な事を考えながら失礼のないように、と考えをめぐらせた。
「私もベルコット様のお話を聞いてどんな方なのかと楽しみにしておりました。いきなりお邪魔してしまってご迷惑ではありませんか?」
「ライアンと呼んでください。迷惑だなんて。家で読書ばかりしているので、フォードウェル嬢とお話出来るのは願ってもいないことです。」
「では、私のこともリリーと。ライアン様はどのような本を?」
当たり障りのない会話から、好きな本の話になると自然と話が盛り上がった。
学園で読書家の友人が居ないのもあって久しぶりに趣味の話をしたような気がする。
「リリー嬢は色んな本がお好きなのですね。よろしければ今度一緒に書店を見に行きませんか?」
「よろしいのですか!」
つい勢いよく返してしまうと穏やかな笑い声が返ってくる。
「ふふ、書店で本を選ぶのは私の趣味なので。褒められた趣味ではないのですが。」
(ライアン様は笑うと雰囲気が大人っぽくなるのね。)
伯爵家ともなると本は使用人に買ってきて貰うか、商人を手配するのが普通だ。
私は書店でゆっくり宝探しをするのを何よりの楽しみにしていた。
(私はいいけど、ライアン様でもそういう事をなさるなんて意外だわ。)
少し驚いたが仲間ができたようで嬉しい。
次は書店に行きましょうねと約束してその日は別れた。




