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【完結】失恋から始まる恋とその行方  作者: いるるん


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アベルの知人と会う約束が取れたのは学園の始まる前日だった。

ノートを手に約束の場所まで馬車で向かう。

月の光に照らされた薄水色がチラついて、あまり良くないと思いつつも四葉の栞もそのままつけてきた。


待ち合わせはアベルの所属する騎士科でとなった。

長期休暇中は申請を出せば騎士科以外の人も出入りできるとの事だったのでこちらとしても助かった。

呼びつける訳にもいかないし、あまり聞かれたくない話でもある。


「リリー、こっちだ!」

アベルが早めに来ていたようで出迎えてくれる。

「ありがとうアベル。今日はお世話になるわ。」

「幼馴染だしな、この位何でもない。」

(一つしか違わないのに頼りになるのよね、アベル…。

もう1人兄様がいたらこんな感じだったのかも。)

「ありがとう、どちらに向かうの?」

「個室に篭ってるからそこに向かう。時間がある限り延々と実験やら読書してるからな。」


—————


コンコン

「コリー、入っていいか?リリーを連れて来た。」

「ああ、うん入ってもらって。」

そっと部屋に入ると広い部屋中に書籍や紙の束がつまれ、実験道具のようなものや珍しい器具がデスクを埋め尽くしている。


「初めまして、フォードヴェルのご令嬢。コリーです、魔法にご興味があるとのお話を聞いてお会いできるのを楽しみにしてました。」

「初めまして、リリー•フォードヴェルです。貴重なお時間を頂き感謝します。」

「魔法のお話でしたら大歓迎です、アベルから話を聞いて一度お会いしてみたいと思っておりました。」

黒色に波打った髪が彼によく似合っているように感じる、暗い髪色はとても珍しくひっそりと親近感が芽生える。


「お飲み物は紅茶でいいですか?お口に合うといいのですが。」

「コリーのいれる紅茶は美味しいよ。珍しい茶葉も増えたりするからたまにそれ目的で遊びにくる。」

何故かアベルが自慢げに説明してくれる。

「どうぞ。」

「ありがとうございます。頂きます」

緑と白のクッキーも添えられていて可愛らしい。

「あまりメジャーな茶葉ではないのでお口に合うといいのですが。」

確かに少し変わった香りのする紅茶だ。

(でもとても美味しいわ、いつも飲むものよりさっぱりしていて少しだけ酸味がある)

「いえ、とても美味しいですわ。初めて飲む味ですがとてもさっぱりしていて。」

「よかったです。新しいものに挑戦するのがすきで、紅茶も魔法もその一つなんです。アベルから伺ったのですが新しい魔法の使い方について調べているとか?」

「はい、水属性魔法の新しい使い道が見つかればと思って。ただあまり進展がないので詳しい方とお話し出来たらと思いましたの。」


ほぼ進展のない状態で来てしまって失礼だったかと思うが、違う視点での考えも聞いてみたかった。


水魔法でも魔力をよく練ってから出した水は飲むとほんのりとだが回復効果があり、植物にあげればちょっとした肥料のようにもつかえる。

ただそこまでして魔法を使うメリットがないのであまり使われない。


「魔力の少ないものは無理して魔法を使わなくてもよいという事くらいしか結局分からなくて。」


「そうですねえ、私もそう思います。よほどの魔力のある魔導師以外は日常で魔法を使う機会が殆どない。」


「はい、でも新しい使い方があればもっと何か役に立てるかもと思うのです。私にも何かできることがあると。」


コリー様はにっこりと笑う。

「そうですね、でも私は今のままの魔法も好きですよ。

魔法があまり便利になりすぎてしまうとそれありきの生活になってしまう。それに、魔法が使えるだけでとても素敵だと思いませんか?」


「使えるだけで、ですか…?」


「魔力を利用して無から何かを生み出せるなんてそれだけで十分素晴らしいことです。期待はずれと思われてしまうかもしれませんが、私は魔法が好きで、存在するだけで嬉しいんです。」

彼は続ける。


「もちろん好きなものを調べたり新しい可能性がないか、とは考え続けています。でも今あるままの魔法もそのまま素晴らしいものだと思っています。」


「ふはっ、ある意味面白いやつだろう?リリー。」

してやったりという顔でアベルがこちらに顔を向ける。


私が考え込んでいるのを見かねて彼を紹介したのか?と勘繰る。

アベルならやりかねない。

昔から私には少し過保護なのだ。


「あまり無理をするな。リリーはそのままで充分に魅力的だ。」

「アベル…。」

気持ちはありがたいが、今はもっと目に見える成長が欲しい。


「フォードヴェル嬢、もしどうしても魔法でというのなら実用は出来ませんが外国のお話しならできますよ。」


「それは…どのような?」


「この国には癒しの魔法があるから浸透しませんでしたが、ある国では魔法をお守り代わりにするらしいのです。効果はそれほど高くなく、強い思いがないと難しい為恋人や家族間限定で使われるものになりますが。」


「お守りに…。」

初めてか聞く魔法で本当なのだろうかと失礼にも考えてしまうが、今は新しい何かが欲しかった。


「詳しくお伺いしても?」


コリー様はとても博識で、会話も興味も尽きることがない。

特に興味深かったのが占いができる魔法だ。

残念ながら誰でも使えるものではないらしく詳細は分からなかったが、魔法に対する見方が変わった気がする。

魔法のない国というのも興味深いと思った。

あって当たり前のものが無いというのはどういう感じなのだろうか、その人々は何を思って暮らしているのだろう。


ずっと話し続けそうなコリー様と私を止めてくれたのはアベルで、家まで送ってもらう最中にも他国の事や新しく聞いた魔法のことを頭が埋め尽くした。

(私は、私が思う以上に小さな世界で生きていたのね。)

それを勿体無くも思うが、知れた喜びも大きい。

明日から考えてみたいことが沢山出来た。


それに、

(やりたい事が出来たわ。私が私の為にやりたい事…)

それが私にとってだけで無く、家にとってどう影響するだろうかと考えているうちに夢の世界に入っていった。

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