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美少女アバターで召喚獣やってます  作者: バッド
4章 混沌の始まり

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53/65

53話 マナは暗躍する。

 夏休みとは学生たちにとっての楽園だ。学生たちは夏の日差しの下で青春を送る。プールに行ったり、海で泳ぎ、花火を楽しむ。キャンプでバーベキューをして、山登りをする。


 そして、その中では恋人を作る者もいるだろう。ひと夏のアバンチュール、夏休み後のイメチェンと、イベントには事欠かない。


 夏休みとはそのような魔性の日々なのである。


 その中で、初の夏休みを過ごしているマナ・フラロウスはどうしているかというと━━。


 蘇我ルカの自室。自室と言うには広すぎて、講義でも行えそうな広さの部屋でマナは遊んでいた。


「自由研究。かき氷のシロップは本当に同じ味なのか? 千杯ずつ食べてみた」


 かき氷を削ってはシロップをかけて食べてます。この氷をかき氷機で削っていく感覚が良いですね。しかも柔らかな削り具合にするため、自動ではなく、手動の古いかき氷機です。


 アカデミーの生徒となった以上、しっかりと勉強をしなくてはならないのです。


「むむむ、いちごシロップは本当にいちごの味がするのでしょうか。今気づきましたが、私はいちごを食べたことはありません! ここはいちごを食べるところから始めないと比較できませんね」


「999杯目で気づくとは、さすがはマナです。マスターとしてもその知恵が誇らしいです。で、もしかしなくても、また最初からやり直すつもりですよね?」


 ピタリとスプーンを止めて、驚愕の真実にわなわなと手を震わせてしまいます。こんな驚きの真実は、この世界は食べ物が存在したことを知った時以来ですね。私としたことが、このような初歩的な罠に引っかかってしまうとは。


 なぜか鍵音がテレビ画面に顔を向けながらも呆れた口調で口を挟みますが、そのとおりです。誤った情報からは歪んだ答えしか出ません。なので間違いを見つけたら最初からやり直すのが、実は一番簡単な道なのです。千里の道も1杯から、ですね。


「は〜い。そうかも知れないと思って、ここに苺はもちろん、ショートケーキと苺クレープも用意したよ。はい、あ~ん」


「あ~ん。ふむふむ、これが苺というものですか。酸っぱさの中でも甘さがあり、口の中に広がるこのマリアージュ。ショートケーキはスポンジの柔らかさ、苺クレープは薄皮がアクセントになって一味違いますね」


「たくさんあるからおなかいっぱい食べてねぇ。山程用意してあるよぅ」


 ルカさんが合図を出すと、チシャがカートに乗せた山程のスイーツを運んできてくれます。スイーツです。ショートケーキや苺クレープだけでなく、見たことのない様々な苺をふんだんに使ったデザートもあります。さすがはルカさん。私の欲しいものを的確に見抜いています。


「でも、自由研究なんてあったっけ?」


「向上心のある私は常に新たなる課題を用意するのです。今回の課題はとても難しい課題となると思います。学会に出すための論文も作らないといけませんね。夏休みの間に終わるでしょうか」

  

 まだいちごシロップの味もわからないのだ。反証性を持たせるためにも、繰り返し検証作業も行わないといけません。とても大変ですが、やり甲斐があって私の心に久しぶりに火がつきます。


 鍵音がなぜか疲れたようにため息をつくと、またコントローラーを握りしめてゲームを続けて、ルカさんはニコニコと笑顔でフォークに差したケーキを差し出してきます。うんうん、これこそ夏休みといった暮らしです。


「ふわぁ。でも7月はどこにもいかなかったです。高校生初めての夏休みで期待してたのに、マナが巨人との戦闘で傷ついた体を回復させるために魔界に戻ってましたから」


 少し不満そうな鍵音は、ぷっくりと頬を膨らませる。彼女はワクワクと夏休みに期待していたらしい。ですが、私は知っています。ルカさんが遊びに誘おうと、色々と提案したのにプルプル震えて断ったことを。私がいないので、外には出たくないとわがままを言っていたのを。


 どうやら皆から狙われるようになり、護衛抜きでは外には出たくないようです。たぶんルカさんの魔力がSランクでも最上位になったとの噂が広がったからだと思います。


 私の知っている限りでも、毎日夜になると、夜な夜な現れる幽霊のように刺客が侵入しようとしてますからね。全て蘇我家の警備で止められるか、チシャが防いでいますので問題にはなりませんが。というか、別組織同士の刺客がバッタリと顔を合わせて、外で戦闘を行うなんてこともあります。ギャグかな?


 そして、戦闘音を隠すことはできず、プルプルと震えて鍵音は寝ているので、最近は抱き枕代わりにされて一緒に寝てます。さり気なく胸に顔を押しつけて、鼻息を荒くしているのが少し気持ち悪いです。


「マナがいれば外でも遊べます。……あそあそ遊べるよね? 私は誘拐されたりしないですよね? ね、ね? 信じてるよ、マナ?」


「ふむ……大丈夫です、マスター。ご安心ください、私の力もだいぶ戻ってきましたので、髪の毛1本残っていれば、マスターを回復させられます」


「それは全然大丈夫とは言わないですっ、それってテセウスの舟じゃないですか! それって私ですか! 本当に私?」


「絶対に同一だと断言します。なので安心してください」


 魂が無事であれば、肉体など簡単に作れる。なので鍵音の魂を保護すれば問題はないのに、絶対に嫌だよと、納得してくれない。困ったマスターですね。


「わかりました。マスターの肉体が傷つかないように気をつけます」


「それでよろしいです」


 むふーと息を吐いて満足そうにする鍵音。


「ねーねー、鍵音ちゃんはさっきからなんのゲームをしてるの? 最近ずっとゲーム三昧だよね~?」


 さっきから会話をしている最中でも、テレビから目を離さない鍵音にルカさんは気になったらしい。鍵音もルカさんの質問にさすがにコントローラーを置くと振り向く。


「えっと、マナが作ったゲームです。シミュレーションゲームですよ。基地を建造して、武器を生産、魔物たちを倒していくのが基本なんですけど、資金集めや資源の確保に様々な組織と交渉をしないといけないんです。意外と奥が深くて面白いんですよ。今はチュートリアルが終わって、初めての魔物退治に行くところですね。リアルと時間が連動してて、放置しておくと全滅するそうです」


「へー。マナちゃん、ゲームも作れるんだ。それは凄いねぇ、私もやってみたいな」


 あまりゲームはやらないが、マナの関係したものは全て首を突っ込むルカである。ワクワクした顔を向けてくるけど困りました。


「これはマスター専用なのです。残念ながらルカさんには貸せません。ポンコツそうに見えて、マスターは頭が良いので、代わりにやってもらってます」


 筆記は常に満点の本屋鍵音。戦術や戦略もそこそこ優秀なのである。


「えへへ〜。マナの愛の深さを感じちゃうよ。私専用かぁ。えへへ〜」


 テレテレと照れて身体をくねらせる鍵音。本当に嬉しそうで、その様子にルカは嫉妬するが、すぐに笑顔となる。


「随分リアルな画面だよねぇ。まるで本物みたい」


「はい。リアルなので」


 ルカさんが画面を見て感心する。


「そうそう。リアリティのあるゲームなんです。天候も毎日違うし、組織の人員はまるで本当の人間のように会話してますし」


 画面に分割されて映されている組織の人たち。科学者も兵士も一度たりとも同じ会話を繰り返すことはなく、凝ってますと鍵音は言う。


「リアルなので、当然です」


「うんうん、リアリティがあります。今はスタンピードを引き起こすダンジョンを破壊しに、新型魔導強化服YK02を量産し終わったから、お披露目も兼ねて、出陣するところなんです。な、なんとスポンサーに成果を見せるため、一緒にスポンサーも行くんですよ。単なる戦略シミュレーションよりもリアリティあるんです」


「リアルなので、当然です」


「ほへぇ〜。あ! すごーい。スポンサーの名前蘇我駿だって。私の父さんだ。マジリアル」


「ですよね。ですよね? 実名を使うところはフィクションと言い張れるけど、それでもリアリティがありすぎるんです。出陣の時間帯もリアルと同期していて、あと2時間後なんですよ」


「おぉ~。うわぁ、父さん怒らないかな。あんまりおえらいさんの名前は使わない方がいいよ」


 二人がワイワイと喋っていますが、なにか齟齬があると思います。それがなにかはかき氷の検証を終えてからにしましょう。どうせたいした齟齬ではないと思うので。


 コンコンとドアがノックされる。


「申し訳ありません。ルカお嬢様、お部屋に本屋お嬢様はいっらしゃるでしょうか?」


「はぁい、いるよ〜、どうしたの〜?」


 声はチシャだ。メイドは部屋に入ってくると、ペコリと頭を下げる。


「そろそろお時間であると当主様がおっしゃっております。せっかくなので、ご一緒に向かわないかとのお申し出です」


「はぁ……お申し出? 何のことでしょうか?」


 チシャの言葉にコテリと首を傾げる鍵音。何か用なのかなと不思議そうですけど、自分で言ってたことを忘れたのでしょうか。ここは私が教えてあげることとしましょう。気が利く優しい召喚獣であるマナ・フラロウスなのです。


「マスター、ご自分で言ってたではないですか。お披露目に行くと。あと2時間ですよ?」


「へ? お披露目? それって……もしかして、もしかしなくても、これから出撃するYK02のこと?」


「はい。もちろんです。スポンサーの皆さんは既にお待ちです。画面に映ってるではないですか」


 テレビにはもう既に10人近くのスポンサーが集まっている。全て、蘇我当主の口利きで集めた人たちだ。


「えーっと……このゲームって、もしかしてリアル? あははは、まさか、ドッキリだよね。ドッキリって言って? 素人をドッキリに遭わせるのは最近は禁止なんだよ? ……ドッキリって言って〜!」


「リアルです。そうお伝えしましたよ、マスター。さぁ、早くしゅっぱーつ!」


「いやぁぁ! 嘘だと言ってぇ〜!!!!!」


 なぜか泣き出して暴れるマスターですが仕方ありません。ここは無理やり連れて行くことにしましょう。

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― 新着の感想 ―
そっかソウルアバターだと実体?がないから頭キーンってならないのか…いいなぁ
エンダーのゲーム
「千杯ずつ食べてみた」お腹超特急にならないところがマナクオリティ。 刺客は予選大会から、順に勝ち抜きして優勝したところだけが来たらお互いに面倒が少ないと思います。
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