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美少女アバターで召喚獣やってます  作者: バッド
3章 ノアの方舟

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47話 マナは後片付けを終わらせる

 ヨトゥンはカキ氷となった。夏にはぴったりな美味しさでした。シロップが全部同じ味とか都市伝説ですよね? 誰も彼も同じことをクラスではドヤ顔で言ってましたが、本当に同じ味に感じるんですかと聞くと、実際食べると違う味に感じると誰も彼も言うので、きっと偽りの情報に踊らされているのだろうと思います。


 カキ氷についての熱意ある意見はここまでとして、まさかここでヨトゥンと出会うとは思ってもみませんでした。


 だいたい半分は能力が回復しただろう。これならば戦闘に支障はほぼなくなるし、使用できる魔法もほぼ解放された。


 危ないところであった。もしも俺が負けていたら、ヨトゥンはこの世界で能力を回復していた可能性がある。その場合、この世界に侵入する方法が極めて難しくなっただろう。これは巨人族と人類との分岐点であったかもしれない。


 とはいえ、勝利したのはマナだ。勝利者の権利を存分に使うとしよう。


「テテ、巨人族の拠点を見つけたと言いましたね? 拠点内では他の巨人はいましたか?」


 氷の表土にて、何もないところで問いかける。答える者はいないかと思われたが、地面が揺れると蔦が這い出てきた。


「うさーっ、テテと邪悪樹ふっか~つ、うさ!」


「邪悪樹は隠れていたのを復活とは言いませんよ、テテ。で、拠点は?」


 ヨトゥンに凍らせられて倒されたと見せかけて、地中に隠れていた邪悪樹。テテは回復したマナの今の力ならば楽に創造できた。もはや幼女にならなくても大丈夫となったのだ。なので復活したテテが得意げにスンスンと鼻を鳴らして登場した。


「この地下300メートルに大拠点あり。敵は大勢の巨人を使って硬い岩盤を掘り進み、拠点作成中うさね」


 大艦巨砲主義のテテであるが能力は高いし、命令すれば大体はきっちりと行う。今回も、ダンジョンを攻略しながら、敵を調査していた。


 ふむふむ、地下に拠点か……。


 トンと軽く地面を爪先で叩き、かすかな振動に魔力を込める。振動は音速で地面に浸透すると、地下の様子を教えてくれた。


 数百匹の巨人たちがたしかに地下にはいた。主に魔法を使い、地盤を砕き掘り進めて行っている。どうやらヨトゥンは工兵部隊を連れてきたらしい。皆、一級の巨人たちで、その肉体は100メートルは背丈があるし、それなのに鈍重でもなく、魔法を慣れた様子で使っているので、優秀なことが見て取れる。


「どうやら、ヨトゥンはかなりの気合を入れて、この世界にいたらしいですね。奴らはヨトゥンの部下でも精鋭のはず」


 あちらの世界で出会ったら、激戦となっていたことは想像に難くない。魔法を使う巨人はそれだけ厄介なのだ。こちらの攻撃を受けながらも魔法を放ってくるので、少なからずソウルアバターたちも損害を受ける。


「ですが、それはあちらの世界の話。見たところ、あの巨人たちも大幅に弱体化しています。まぁ、そうでなくては今頃は拠点の一つや二つ、作成されていたでしょうが」


 指先一本で地下拠点を作れる工兵隊だ。


「これはチャンスです。ボーナスと言い換えてもよろしいでしょう。テテ、あの巨人たちを片付けなさい。この使いにくいスキルを移譲します」


「うさーっ! ありがたくちょーだいちょーだい! わ~い! 残り物にはうさがいる〜」


 手に入れたばかりのスキルをテテに受け渡す。もふもふのちっこいお手々を差し出してきて、テテは大喜びにダンスダンスダンシングと小躍りするので、とっても可愛らしい。


「よろしい。それでは地下の巨人たちを殲滅してください。彼らのブースターである魔石も回収してくださいね?」


「了解うさ! 敵の殲滅開始〜」


 テテがぴょんと飛び跳ねると、固有スキルを発動させる。どんなスキルを発動させるかというと━━。


『ダイヤモンドダスト』


 もちろん、ヨトゥンの秘奥義だ。


 白い霧へとテテは変わっていくと、空中をサラサラと流れていき、ヨトゥンが這い出てきた穴へと入っていくのであった。


「『ダイヤモンドダスト』はヨトゥンの使い方も正しいとは思いますが、私としては弱点となるので使い魔に使わせた方が良いと思うんですよね」


 独り言を呟きながら、テテの様子を俯瞰する。風のように速く、テテは地中へと進んでいくと、あっという間に接敵していた。


 巨人たちは無防備であった。まさかヨトゥンが倒されるとは想像もしていなかったのであろう。ダイヤモンドダストが侵入してきた時は、ヨトゥンが戻ってきたのだと気楽に考えていたため、警戒していなかった。しかし、仲間がダイヤモンドダストにより凍らせられると事態を即座に理解した。


『だ、ダイヤモンドダストで仲間を倒す? ヨトゥン様、いったいなにを?』


『ち、違うぞ。ヨトゥン様がこのようなことをするわけがない。この現象は見たことがある! 敵のスキルを使用してくる奴ら……』


『ソウルイーター! 奴らがきているのか!? そうなると、ヨトゥン様は既に……』


『に、逃げるのだ。魂を喰われて永遠に復活できなくなるぞ!』


『た、助けてくれっ! ひぃ~、あ、悪魔が俺の身体を凍らせ━━』


 テテのダイヤモンドダストにより、地下は阿鼻叫喚の様子へと変わっていた。彼らも元の世界では最前線で戦争をしていた者たちだ。ソウルアバターとの戦闘を何回も繰り広げており、すぐになにが起こったかを理解した。しかし、その力の大体を封印されているので、半分程度回復したマナの力には耐えられない。瞬間移動にて逃げることもできずに、次々と氷像へと変わっていった。


 ━━全ての巨人たちが凍りつき、その命の炎を消したのは、僅か数十分後の話である。


          ◇


 マナの目の前には大量の魔石があった。倒した巨人たちの物だ。魂は既に全部食べ終えました。


「魔石は全て拠点開発用に偽巨人に変換。工兵隊として使用します」


 山と積み重なっている魔石へと手を翳し、地下へとテレポートさせる。ヨトゥンのお陰で、大部分の力を回復した俺にとっては楽々なことだ。


 地下に転移した魔石は巨人へと変わり、拠点を作成するべく活動する。しかも先ほどの巨人たちとは違い、力を回復したマナが作成したので、その能力は比べ物にならないほどに強い。もはやこの世界の人間モドキたちでは一体すら倒せまい。


「予想外だったけど、ダンジョンと拠点を作成できて良かったうさね。うさのお昼寝ルームは日当たりの良いところをお願いするうさよ?」


「地下で日当たりの良いところを作るには人工太陽を用意しなさい。それよりも、テテの使う素体を用意します」


 脚にスリスリと頬ずりをしてくるテテの頭をさらっと撫でつつ、保管していた一人の魂を取り出す。和光なんとかと言う人とその部下は武器化したが一人だけ残しておいたのだ。その肉体も氷の欠片となったが、一部を回収済み。


 誰かと言うと、葛城透である。


(彼女の行動は周囲の戦況も見ずに突撃する愚かなものでしたが、その志は立派なものでした。危機にあった人間を助けようとするその意志は人間モドキとは思えぬ高潔さを持っていたので残しておいたんですよね)


 どうも頭がチクチクする。この世界の人間たちは全て人間モドキであるので気にしなくて良いという思考と、立派な人間もいるので様子見とするべしとの思考がぶつかり合っている。


 なぜかはわからない。精神攻撃でも受けているようなもやもやした気持ち悪い感じ。だが、何度か魂に異常がないかをスキャンしたが異常はないのだ。ということは問題ない。


(気の所為ですか……。今度元の世界でメンテナンスを受けることにしましょう。別の世界に訪れるのは歴史上初めてです。なにか不具合があるかもしれませんからね)


 ソロモンにも一応相談しようと思いつつ、魂を魔力で覆っていく。


『情報創造:受肉』


 魔力を用いて、肉体を創造していく。葛城透が死亡時の記憶をリロード。正確に、精密に、ミスのないように確実に。


「人間モドキを復活させるうさ? あまり役に立ちそうにないうさよ?」


 マナのやることを悟り、テテがスンスンと鼻を鳴らして肉体を創造しているマナの脚にしがみつく。


「たしかに今の私たちには必要はありません。ですが、この世界のアンダーカバーとしては『最強』の名前は使えるでしょうし……」


「他にも理由あるうさ?」


「私が蘇生させたかったのです。理由は……。何となくですかね」


「オヤビンにしては珍しいセリフうさね。いつも合理的だったのに」


「まぁ……たまたま気が向いただけかもしれません」

  

 自分でもよくわからない感情に支配されて肩を竦める。そう、単に気が向いただけだ。きっとそうだ。


「テテ、それでは憑依対象はこの子とします。作戦名はですね……耳を貸してください。ゴニョゴニョ」


 兎の長耳を掴んで、そっと口元を近づける。ふんふんとテテは頷くと、親指を立てる。


「了解うさ! うささささ、それは面白そううさね!」


 ウシシと笑ってテテは透のそばに向かう。これから作戦名『使い魔でいこう』発動!


         ◇


(うぅ……ここはいったい? 僕は死んだのか……あれほど最強を目指して戦ってきたのに、こんなところで死ぬとは自分自身にがっかりだ)


 透は広い空間にいた。いつの間にか何もない空間に浮かんでいる。なぜここにいるのか、すぐに記憶を掘り返して思い出す。


 ヨトゥンと呼ばれた巨人の化け物に透は負けたのだ。魔物を駆逐して世界を救う英雄になるべく、言葉遣いも変えて、がむしゃらに突き進んできた。


 だが、こんなところで、何も残さずに死ぬことに悔しさと悲しさを覚える。しかし、そんなことを思っても、どうしようもない。自分は死んだのだ。


『無念か、愚かなる定命の者よ?』


 ゆっくりと揺蕩う中で、なにかが聞こえてくる。どこから聞こえるのかわからない。だが、耳元にたしかに聞こえた。


「死神かっ? 無念に決まってるだろ! 最強のハンターとして、僕はこの世界で多くの人々を救うつもりだった。でも、死んだ、死んでしまったんだ!」


 心からの叫び。もはや終わったことに対して八つ当たりをするように叫ぶ。だが、八つ当たりに近い叫びなのに、声の持ち主は平然と答えを返してきた。


『そうか……最強たる力を持ちながら死ぬとは無念であろう。我から見ても、そなたが死ぬのは惜しい』


「……ならばどうするんだ、死神?」


『ふふ、ふふふ、我は大悪魔、ソロモンの方からやってきた大悪魔うさモン』


「ソロモン72柱の大悪魔ですかっ!?」


 なんだかよくわからないし、透はアホなのでソロモン72柱のことは知らなかった。うさモン。ソロモンというよりかはデジモ◯とか、ポケモ◯に出てきそうな名前に聞こえるが気にしなかった。


『うさと契約して、デビルサマナーとなろうよ!』


 透にとって、その契約は人生を変える契約であった。

 

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― 新着の感想 ―
>>>ソロモンにも一応相談しようと思いつつ、魂を魔力で覆っていく。 相談しちゃダメ…………? 前々話で心の内の一人称が『私』になってたのは関係あるのかな……?
そういう物として作ったから、正常だろう。
そっち行ったかー。メガテン系の「こんごともよろしく」も言うといいなあ。 「残り物にはうさがいる」っていい格言ですね。ここ、試験に出るよ。
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