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美少女アバターで召喚獣やってます  作者: バッド
1章 召喚獣

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16話 マナは人モドキを観察する

 ヘカトンケイルヘイズを倒し終えたマナ。それを確認したハンターギルドの職員とやらは大騒ぎだった。


「被害の確認をしろっ! 生き残りがいるか見に行くんだ、魔物が隠れているかもしれん。慎重にな!」


「ハンターで地下に降りる方はいませんか? 今なら報酬を高めにします!」


「探知魔法でまずは偵察を! 生き残りの魔物がいると厄介です!」


「撮影は禁止です! こら、そこ! 撮影は禁止だ!」


 戦闘を終えて、皆が事態の収拾に懸命だ。かなりの被害がでたようなので、大変なことになるだろう。


 頑張ってくださいねと、職員たちを優しい目で見つつ、野次馬たちを冷ややかな思いで観察する。


 戦闘が終わったと思ってのことだろう。野次馬たちは興奮して懲りずに撮影をしていた。マナが雷鳴の槍にて作り出したビルに開いた見上げるほどに大きな穴を撮り、あまつさえ穴の縁に手をかけてポーズをとって撮影する愚か者すらいる。


(なんであんなイレギュラーたちを養っているんだか。さっさと処分すれば良いのに)


 嫌悪感を持ち鼻を鳴らして呆れながらも、口を小さく開けると息を吸い込む。


(あ~ん)


 息を吸い込むのではない。本当のところはヘカトンケイルヘイズの魂を喰らうのだ。


『魂力の適応が0.1%アップしました』


 モキュモキュゴクンと呑み込む。細っこい喉を嚥下して、マナは魂を吸収する。たいしたレベルの魂ではないが、魔力も回復したし、良い戦果かな。味はなんもしないけどね。食感はぷよぷよな感じかな。


 ヘカトンケイルヘイズの体当たりでガタガタとなった身体も癒しの魔法を使い全回復。魂を喰らえば、こっそりと治すことなど造作もない。


(たかだかヘカトンケイルヘイズの体当たりでやられそうになるとは………これからはもっと慎重にならないとね)


 なんといっても、これは偵察任務であり、敵を駆逐しなくても良い。目的を忘れてはいけないだろう。鍵音の召喚獣のフリをしつつ、裏でこっそりと情報収集する。美少女スパイ、その名はマナ・フラウロスです。


「マナ、大丈夫? けけけけけけ」


 怪しげな笑い方をする少女が突撃してきた。新手の魔物かな?


「けけけけけけ、怪我はない? ヘカトンケイルに体当たり受けてたよね? 痛いところあったら言ってね?」


 というか、鍵音だった。返り血で真っ赤に染まるマナに、自分も汚れることを嫌がることもなく、血相を変えて心配そうにペタペタと触ってくる。たしかに骨がバラバラとなったし、筋肉も断裂、内臓も破裂した。だがその程度ではマナ・フラウロスを止めることはできない。魔力とちょっとした時間があれば全回復するのが、天使な癒やし系アイドルなのだ。


「ご安心ください、マスター。敵の攻撃は受けましたが、既に回復いたしました」


「そそそっかぁ、良かったぁ。このまま死んじゃうかと……あれ? マナは死んだらどうなるの?」


 自分で言っておいて、不思議に思ったらしい。たしかに召喚獣は魔法構成で肉体を作る魔法人形である不滅タイプと、実際に存在するタイプを召喚する2つがある。後者だと死ぬ。


「死にますね」


 そして、マナは後者タイプだ。実際に存在するからね。


「やややっぴり! 大悪魔は唯一無二だから、そうだと思ってたの! これからは慎重にいかないと!」


 ショックを受けてよろける鍵音。不滅タイプでないのが、かなりの衝撃だった模様。まぁ、不滅タイプならいくらでも使い捨てることができるからな。ある意味召喚獣の利点を失っているとも言える。


「あの……失礼します、本屋様。申し訳ありませんが、マナ様に地下探索をするように命じてもらえないでしょうか? 現在、戦えるハンターは皆無でして……」


「きしゃー! ダメダメですっ! マナは疲れてるんです。指一本触れさせないからぁー! もう触れても良いのは私だけですっ! 援軍のハンターが来るまで待っていればいいでしょ!」


 職員が声をかけてきたが、怒ったポメラニアンのようにキャンキャンと鍵音は吠えるのだった。にしても、その言い回しは勘違いされるんじゃないかな?


           ◇


 結局、鍵音の意見は通った。ヘカトンケイルヘイズとの激戦で消耗したマナを使うよりも、援軍を待つ方を選択したのである。


 そして、マナはというと………。


「だだだだだ」


 銃弾を撃ちまくるようなセリフを吐く少女に多少疲れつつ、シャワーを浴びていた。血塗れのホラーエンジェルは世間的に見てもアウトだったようで、ギルドの施設を使わせてもらっているのだ。


 シミ一つない、純白の新雪のような肌を弾かれた水滴が流れていき、血の汚れがとれていく。精神的にも肉体的にも疲れていたので、温かいお湯はありがたい。


 かなり弱体化したんだなぁと、疲れを感じることに苦笑しながら、シャワーを浴びているんだけど………。


「大丈夫? 使い方わかる? シャワーの使い方おしえるよ? いいいいっしょに入ろうか? あああらってあげるよ。はわわわ、エッチな意味じゃないよ?」


 顔を真っ赤にして、カーテンの隙間から美少女の裸を覗き見る少女がいます。きゃあきゃあと言いながら覗き見られるのはガン見されるよりも恥ずかしいかもしれない。そして、わきわきと動かす手がなんとなく嫌だ。


「問題ありません、マスター。私は少ないながらもこの世界に対して知識があります。これくらいなら普通に扱えます」


「ぁぁ、ぁぃ」


 溜息をつきつつ告げると、しょんぼりとして雨に濡れた子犬のように鍵音は去っていくのだった。


 閑話休題。


 シャワーを浴び終えて、外に出ようとすると、待ってましたと、鍵音からジャージを渡された。青色のセンスの欠片もないジャージだ。


「だめだよ、マナ。あのレオタード型スーツは、魔物を呼び寄せちゃうんです! 皆が狼になるのででで、絶対にだめ。ぐるぐる眼鏡とかも用意した方がいいかな………ウィッグや仮面も必要かも」


 世界一可愛いマナの美貌を隠そうとする罪人がここにいた。たしかにここの人たちの服装を見るに扇情的だったか。仕方ない、戦闘時以外は服を着るか。にしても、ジャージは無いと思うんだけど? マナの可愛らしさを魅せることのできる服を後で貰おうかな。


「あ、そうそう。ギルド長に呼ばれてるんです。一緒にいこ?」


「かしこまりました」


 お偉いさんかな? この世界の常識ややり方を教えてもらえるかもしれん。鍵音が手を握ってきて、引っ張るので、抵抗することなく素直についていく。


 ギルド長とやらは、高いところを好むらしい。エレベーターで35階に向かうと、木彫りの豪奢な扉の前に辿り着く。おぉ〜、仮想現実以外で木製の扉を初めてみた。

 

「一番に報酬を貰えるって言われたの。これもマナのお陰です。ありがとう。こんな凄いことが立て続けに起きるなんて、マナは私の幸運の女神かも」


「前髪だけにするのは、マスターのご命令でも拒否させていただきますよ?」


 扉をノックする前に、嬉しそうにお礼をいう鍵音に、いたずらそうな笑みで返す。どうもあまり良くない扱いを受けていたらしく、ノックする様子もはしゃいでいるのがわかる。


 微笑ましいなぁと、俺は鍵音の様子を見ていたが━━━微笑ましい展開はここまでだった。


「入り給え」


 やけに偉そうな中年男性の声が返ってきて、ピクリと眉を顰めてしまう。なぜならばそこには好意どころか、リスペクトするような声音ではなかったからだ。


「ははははおります!」

 

 緊張でカチンコチンになって扉を開ける鍵音。もちろん羽織る服はどこにもない。ギィガチャンギィガチャンとブリキ人形のようにカクカクとした動きで中へと入る緊張の塊に苦笑しながら続く。


「あー、よく来てくれた、モトヤさんだったかな?」


 だが、この緊張はソファに座ったままの男の態度で、スッと消え失せてしまう。


「いえ……本屋です。本屋鍵音です」


「あぁ、そうそう。Gランクのハンターの本屋鍵音さんでしたな、失礼しました」


 硬い声で返す鍵音に、男はまったく申し訳なさそうに言うと、見下した目で返してくる。スーツ姿で小柄で痩せている中年の男だ。頭の天辺が禿げており、口元は皮肉げに歪んでいる笑みを浮かべている。ハンターというのは、魔物たちを倒すべく作られた職業っぽいのに、そのギルド長は戦う術など持っていなさそうだ。


 ソファに座るのは、ギルド長の男性と、苦々しい顔の藤原だ。


「ギルド長、その言い方はどうかと………」


「なにか問題があるのかね? 私は彼女の登録されているデータを正しく口にしただけだよ、藤原君。それともなにかね? 他に言いようがあるのかね?」


「………いいえ」


 正論ではあるのだろう。藤原は顔を俯けて、悔しげに黙りこくり、その様子を見て、楽しそうにニヤニヤとギルド長は口元を緩める。


「だろう? さぁ、Gランクの本屋さん。座ってください」


「はい……」


 貧相な男とは、この男のことを示すのだろう。その人を正論で押し潰すことに喜びを覚える醜悪な笑みは見ててムカムカする。頑張った報酬をいち早く貰えるという話じゃないの? どうにも嫌な予感がするし、鍵音も俺と同様の考えのようで、その表情は暗い。


「えーっとだねぇ、今回の尽力ありがとうございました。その頑張りに免じて本来は明日以降なのですが、貴女だけ報酬を先払いしたく思いましてね。なに、これも感謝の気持ちというやつです」


 全然感謝などしていない様子で、ギルド長はテーブルに封筒を置く。んん? 馬鹿にする割には素直に報酬を払うのか。


「ありがとうございます」


 鍵音自身も意外だったのだろう。少し戸惑いながら封筒に手を伸ばし━━━。


「あぁ、アナタの活躍に免じて、報酬は規定の最高額である十倍にしておきました。Gランクのハンターがハンターギルドの救援要請に参加した場合の報酬金額は『千円』。私の配慮で『一万円』にしてあげましたよ、感謝するように」


 はははと嗤うギルド長。対して鍵音はそのセリフを聞いて固まる。


「規定通りですからね? 文句をつけても意味がないとあらかじめ伝えておきますよ? なにせ、ハンターギルドは国営です。その規定は絶対に守らないといけないのでね!」


「はい………ありがとうございまふ……ううっ」


 涙目になり、悔しげに唇を噛む鍵音。なにか変なことがあった模様。なんだろう?


 一万円とか言うのは『貨幣』のことだろう。古代には物を交換するのに使われていたとか映画とかで見たよ。貨幣を巡って争う話が多かった。紙切れのために争う人間なんているわけないと笑ったものだ。


 えぇと、十六文でもり蕎麦一杯食べれるとサブブレインに格納されている古代の記憶にはあるぞ。一万円ってどれくらいの価値があるのかな?


 ところでもり蕎麦ってなぁに?

ルックスYが2025年9月24日より始まります!マガポケでーす!!!でで~ん!

皆読んでいただけると嬉しいです!

お願いします。

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― 新着の感想 ―
他の作品もほとんど楽しませて頂いておりますが、 作者様の作風が盗賊とかを謎に見逃さないで ちゃんと処す方向ですので、こういう小悪党が 出てきても安心して見ていられますw ギルド長に天罰(人誅)はよw…
あ~天下り系お役所組織か、これは駄目そうですね。 まぁ次からは更地になってから動くだけです、何せ最低ランクですから。
もう草 小物すぎる 本屋ちゃんはなめられるのをよしとするのか 金はどうでも良いと思うんだよね。マナが居ればすぐ稼げるから。(実際のところ周回できないのは置いといて) どうなるかなあ
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