食事
廊下を歩きながら自分の腕を掴むハクアに問いを投げかける。「おい、俺はまだ下僕になるって決めたわけじゃねーぞ。つか手ぇ離せ」腕を振り払おうとするも自分を掴む腕は離れない。「言っただろう?君に拒否権はないと。君にはこれから僕が出す司令を完璧に遂行してもらう。でないとせっかく貴重な霊魂を与えた意味がないからね。」タクトは不満そうにハクアを睨む。そうしているうちに内に廊下を抜け食卓のような場所に出る。「さあ、起きたばかりで腹が減っているだろう。飯を作ってあるから食べるといい」テーブルの上には白米と味噌汁と漬物と焼き魚というザ日本の朝食のよう食事が並んでいた。「は?食うわけねえだろバカにしてんてんのか?」そう悪態を吐いた途端ぐうと音を立てて腹が大きく鳴る。タクトは赤面しハクアは笑う。仕方ないのでタクトは食事を食べることにした。「いただきます」椅子に座り律儀に手を合わせて食事を始める。箸を持ち最初に白米を口に運ぶ「あ、うま」思わずロから言葉がこぼれる。妖怪が作ったものということでどんなおとまろおどろしいものかと思ったが意外と普通、むしろ美味いぐらいである。そのまま焼魚などのおかずにも手を伸ばす。それも当然美味い。一通り食べた後にハクアに話しかける。「つーかよ、ほんとに俺なんかを生き返らせてよかったのかよ。普通自分を殺そうとした相手を蘇生するのか?自分がまた殺されそうになる可能性とか考えないのかよ」その問いにハクアは笑いながら答える。「殺されるってw生前でも僕に手も足も出なかったやつがよく言うね。それに今の妖力すらまともに扱えない妖怪が妖怪全てを統べるものに勝てるとでも?」その言葉を聞くと味噌汁を一気に飲み干し音を立てて机に叩きつける。「あ″?」ハクアを睨みつける「んなもんやってなけりゃわからねえだろうが!」直後激昂してハクアに殴りかかろうとする。「まったくマナーがなってない。」するとハクアは体からオーラを放つ。途端に体が動かなくなる。「グッ、なんだよこれ、畜生。おい!卑怯だぞ!正々堂々戦え!」拘束されながらもそう叫ぶも呆れたような声でハクアは答える。「正々堂々?暗殺者であり妖怪である僕に何を言っているんだい?それに僕が真面目に戦ったら君は灰すら残らない。せっかくの新しい下僕がそれでは困るよ」そう言われ悔しくて唇を噛む。そしてハクアはオーラをしまい体に自由が戻り脱力しその場に座り込む。「まあとりあえず君には礼儀だのマナーとかも教えないといけなさそうだから実践はまだ先になりそうだね。」相手の顔を見上げる。(クソオ。絶対見返してやる。絶対ぶっ殺してやる。) そんなことを考えながら残りのご飯も全て食べる。「ごちそうさまでした」食器をハクアが片付けて台所で洗い始める。「くつろいでくれてていいよ。そこにテレビもあるし。流れるのは人間界のものではないけどね。」言われるがままにそこにあるテレビをつける。するとツノの生えた鬼がテレビでニュースキャスターをしていた。物珍しそうにそれを見る。体の作りは人と似ているが口には牙が生えている。そのまま眺めていると一通り家事が終わったようでハクアがこちらに来て話し始める。「それじゃそろそろこれからやってもらうことを説明しようか。君にはまず妖力の扱いをおぼえてもらう。妖力が何かはおいおい説明するよ。そしてその後は世を乱す妖怪の討伐や捕獲なんかをしてもらってゆくゆくは大妖怪になってもらおう。」そしてまたハクアはタクトの手を引く。「いつか僕を倒せるといいね。」「うわっやめろ!」そのまま引っ張られ家の外につれだされていった。