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はじまり

暗殺者の少年はその界隈の中でも超一流の暗殺者であるフォックスハントの暗殺に挑む。果たしてその結末はいかに

一人の少年が暗い部屋で椅子に座りモニターを眺めている。「準備完了だな。これでやっと俺は認められる。あいつらを見返せる。」そうつぶやいた少年は暗殺者である。今日もいつも通りターゲットを殺すのだが、今回のミッションは一味違う。なんたって今回のターゲットも暗殺者なのだから。この界限でも有名な暗殺者の一人である[フォックスハント]その暗殺が今回の任務である。偽の依頼によってこの場所に誘き出しそこを罠にかけ殺すという。そして予めセットしておいた監視力メラに目標の姿が映り込む。目を凝らさないと見えないほど存在感が薄い上に人間とは思えないほど早い。だが少年の目にはそれがくっきりと見えていた。狐の仮面を被り少し小柄。そして和装だ。「罠とも知らずに堂々と、無様なこったな。」余裕の笑みを浮かべる少年は敵が来るであろう部屋に仕掛けた罠の設定を改めて確認する。まずドアを開けた瞬間部屋が爆発しそれに加えて毒の霧が散布される。これはインド像も即死させるほどの強力な毒である。さらに廊下にセットされたオート式の銃も起動し熱源探知のカメラを使い発砲する仕組みになっている。彼はそれの動作が全て終わった後に生死確認し死体を回収するだけのとても楽な仕事なのである。「動作に問題はなさそうだな」コンピューターで一通り確認した後、目標が例の部屋に到着するのを監視カメラ越しに確認する。仮面を彼った男はドアノブを捻る。その瞬間凄まじい爆発が巻き起こりあたりが破壊される。そして毒の霧も散布され周りが見えなくなる。直後に壁から銃が現れるが反応しない。「いよっしゃぁあ!ざまあみろ!」少年は興奮してガッツポーズをする。そして彼は立ち上がり死体を確認するために銃のスイッチをオフにしガスマスクをつけてその場所に向かった。フォックスハント、いつからいるのかもわからずその美しいほどの暗殺の実力はあらゆる暗殺者の憧れである。その彼を自分は殺したのだと。青年の胸はその達成感と高揚感で満たされていた。そしてフォックスハントの死体があるであろう場所に到着しあたりを散策する。だがおかしい。探せど探せど死体はない。「はあ?なんで死体がねーんだよ。普通あれぐらいの爆発を食らったうえ毒も巻かれたら生きてるはずねーだろ。少なくとも血痕ぐらいあっていいだろ。」ボロボロになった廊下を探索しながら少年は焦り始める。「おいおい、冗談じゃねーぞ。たしかにあいつは爆発を食らったはずだ。この目で見たはずだ。なのに、なんで、」冷や汗をかきそれが顔から滑り落ちるその時。彼の背後に影が現れる。その瞬間背中に激痛が走る。ナイフで刺されたのだ。咄嗟に足を前に出し距離を取りナイフを抜くが出血が激しい「ぐっ、ちくしよう、死ね!」銃を即座に取り出し半ば半狂乱で乱射するがそれをこれまでとは比べ物にならない速度で軽々ナイフで弾き距離を詰めてくる。こちらもナイフを抜いて応戦しようとするが気づいたら腕ごと跳ね飛ばされていた。その直後少年の心臓が刺された。ナイフが引き抜かれ少年はその場に崩れ落ちた。「ふう、おかしいと思ったんですよね。こんな古びた館に暗殺対象がいるなんて。分身を先行させておいて良かったです。」飄々とした態度でそう喋るが、相手が何を言っているのか、もはや青年は聞き取れない。「しに、たくない」彼自身がその呟きに驚く。今まで自分は人間を殺してきた。だから自分が殺されても文句はいえないと思っていた。その事実に彼自身が一番驚いていた。そして死ぬ間際の走馬灯、過去の映像がフラッシュバックする。「頑張ろうな!」「やってやろう」「おい、早くしろ!」「何やってんだ」「逃げろ」「この落ちこぼれ」「恥知らず」「失敗したくせにぬけぬけと」(違う、違う違う、どうして。俺は、俺はどこで間違えた?何でこんなことに?わからない。死にたくない。まだ死にたくない。まだ誰にも認められてない。まだ誰にも愛されてないんだ。誰か助けてくれ。こんなところで死にたくないんだ。)もはや声は出せない。その慟哭は己の内側に響くのみであった。そして一筋の涙を落としその肉体は動かなくなるのだった。「死にたくない、ですか。あなたも暗殺者のくせによく言うものですね。ですがあなたの体は興味深い。かの暗殺者一族の最高傑作の体、少し利用させていただきましょう。」小瓶を取り出し死体にかければ燃え上がりするとその炎は死体を包み込んだ。それを確認するとフォックスハントは鏡を取り出した。その鏡は巨大化して死体とフォックスハントを飲み込み消滅する。(熱い。体が燃えるように熱い。痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。皮膚が焼け爛れるようだ。体の内側から焼き尽くされるようだ。苦しい。だれか、たすけて)徐々にそれは収まり目を覚ました。そこは薄暗い電灯のついた和室だった。「ここはどこだ?俺はたしかフォックスハントの野郎を殺そうとして、死んだ。ならここは地獄か。当然だな。さっきのやつもきっと地獄のけいばつ、ん?」そう言って起き上がりあたりを見回していると体に異変を感じる。尻のあたりになにかが生えているような、尻尾だ。「は?」思わず声を漏らす。音の聞こえ方もおかしい。まるで耳が四つあるような。おそるおそる頭を触ってみると猫耳がそこにはあった。「はぁぁぁぁぁ?!?!」あまりのことに絶叫する。「おいおい、地獄にしたってこんなことあるかよ。ネコミミって、ネコミミってそんな」あまりのことに動揺していると暗闇の向こうから声がする。「おや、起きましたか、具合はどうです?」その声はフォックスハントだった。それを見るなり接近してつかみかかる「てめえ!俺の体に何をしやがった!てかここはどこだよ!答えやがれこの野郎!」殴りかかる勢いで問うと相手はゆっくり答える。「ここは私の家です。あなたには猫又の霊魂と合体して生き返ってもらいました。これからわたしの従僕として働いてもらいますよ。」相手が何を言ってるか分からず混乱する「は?はあ?猫又ってあれか?妖怪の。」フォックスハントは頷く。「それを俺と合体させた?」また頷く。「はぁぁぁぁ?!?!?!てめふざけんじゃねぇぞ。人の体に何かってなことしてやがるんだ!それに従僕だあ?絶対やんねーかんな!」いてもたってもいられず激昂しぶん殴ろうとするがあっさり手で止められる。するとフォックスハントは低い声で話し始める。「生きたいと言ったのはあなたでしょう?わたしはその願いに応えてあげただけのことです。大体、命を救ってもらったんだからまずは感謝が先でしょう。」その言葉を聞いてハッとする。確かに自分はあの時生きたいと願った。願ってしまった。自分を殺そうとした相手を蘇生するなんて気が狂ってるとしか思えないがここはこいつに従うしかないだろう。「チッわあったよ。ありがとよ生かしてくれて。」それを聞いてフォックスハントはつけていた仮面を外し狐のケモミミが生えるとにっこりと笑って穏やかな口調で再び話し始める。「よろしい。それじゃ君はこれから僕の下僕として、そして妖怪として生きてもらおう。それにあたり君に新しい名前をあげよう。人間の時の名前では何かと都合が悪いからね。君の新しい名前は「猫魔タクト」だ。これからよろしく。」「おい、俺はまだてめえの下僕になるって決めたわけじゃねえよ。てか猫魔タクトってあんちょ」「僕の名前は朔月ハクア。その界隈ではフォックスハントと呼ばれているね。まあでもそれは表の顔に過ぎない。僕の本当の姿は妖怪の王。九尾の狐として妖怪を統べる魔王。それが僕。君にはそれを手伝ってもらう。拒否権はないよ。」「はあ?九尾の狐?魔王?つか拒否権はないって」「いいから来い」少年の腕を掴んで強引に引っ張り暗い部屋から出ていった。

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