ビキニアーマー
「い、嫌よ!!」
「女は度胸! 何でもためしてみるのさ」
店員はラミッタの腕をガッチリ掴んでグイグイ引っ張っていく。
「ちょ、ちょっとまっ」
ラミッタは試着室へと消えていった。
「えっ、本当にこれを!?」
「ちょっ、ちょっと待ってよ!!!」
「いや、いやぁ!!」
試着室からはラミッタの抵抗する声が聞こえてくる。
「はい、お似合いですよ!!」
「いや、分かったから、分かったから着替えさせ……」
「はい、オープン!!!」
バサッと開けられたカーテンの先には赤い水着のようなアーマーを身に纏ったラミッタが居た。
「ちょっ、キャー!!!」
胸元を隠し、うずくまるラミッタ。じっと見てくるマルクエンを罵倒する。
「こっち見んなド変態卑猥野郎!!」
「何を恥ずかしがるんだ? 鎧だろう?」
マルクエンは至って真顔で言っていた。
「こ、こんな鎧があるか!!」
「お似合いですよー? それで、動きやすさはどうですか?」
「動きやすさも何も無いわよ!!」
ラミッタはカーテンをバサッと閉めて急いで着替えを始める。
「あぁ……。えらい目にあったわ……」
赤面をしているのに、げっそりとしたラミッタがそんな事を言いながら店から出て来た。
「ラミッタ、防具は買わないのか?」
「買うわけ無いでしょうが!!!」
「似合っていたぞ?」
「馬鹿!! ド変態卑猥野郎!!!」
マルクエンとラミッタのやり取りにシヘンとケイは笑っている。
「お次は気に入って頂けるような作品を作りますので、またお立ち寄り下さい!!」
鍛冶屋の店員に見送られ、マルクエン達は商店街をまた歩き始めた。
しばらくウィンドウショッピングを楽しんだ一行は、研いでもらった剣を回収し、宿屋へと戻る。
十分に休んだマルクエン達。今日は鉱脈の竜を倒しに行く。
空はカラッと晴れた青空で気持ちが良かった。
サツマの工房に寄り、ハンマーを借りに行く。
「おう、マルクエンさん達!! おはよう!!」
「おはようございます」
ドワーフのサツマは朝から元気が良かった。
「それじゃ竜退治、良い報告を待ってるぜ!」
「はい」
150キロもあるハンマーを肩に担いでマルクエンは山道を登る。
「マルクエンさん大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫ですよー」
流石に疲れていないかとシヘンは心配するが、杞憂のようだった。
鉱脈の入り口まで辿り着く一行。シヘンとケイは緊張してそのトンネル内の暗闇を見ていた。