お魚
「あっ、待ってくださいよー!!」
ケイ達も続いて洞窟の奥に走る。
どうやら洞窟の奥までたどり着いたマルクエン達。
そこには泉と小さな祠があった。
「水の神様!! 居るのかしら? 居るなら出てきなさい!!」
「ちょっ、ラミッタさん!? 神様相手に失礼じゃ……。本当に居たらどうすんスか!?」
ラミッタの呼びかけに応じるように、泉の底から何かが浮上してきた。
そのまま水しぶきを上げて飛び出す。その姿は……。
「え、何あれ……」
ラミッタの見る先には体長2メートルほどの大きな魚、そして腹からは人間の足が2本生えていた。
「き、きもっ!!」
「アレが神様……。なんでしょうか?」
シヘンはそんな事を言う。
「バカ!! あんな神様いるか!! ありゃどう見ても魔物ッスね」
不意に魚は口から棘を飛ばし、とっさにラミッタは防御壁を張ったが、止めきれなかった数発がシヘンを襲う。
「危ない!!」
自らを盾にしてマルクエンがそれを防ぐ。
「マルクエンさん!!」
傷は浅かったが、じんじんと痛む。棘を引き抜いてマルクエンは魚と対峙した。
「とにかく、こいつをやっちゃえば良いわけね」
ラミッタは雷を浴びせたが、驚いたことに魚はピンピンとしている。
「コイツ、多分だけど粘液で雷を弾いている!!」
それならばと炎で焼き焦がそうとするが、泉に逃げられてしまった。
そんな時、マルクエンは急にめまいがしてふらつく。
「っく、何だ……?」
「どうしたの宿敵!?」
思わずマルクエンは片膝を着く。
「きゅ、急にめまいが、気分も悪い……」
「大丈夫!? 宿敵!!」
魚が再び地上に現れた。ラミッタは足元を強く踏んで石を猛スピードで飛ばす。
粘液がそれを受け流すが、生えている足を下から岩が絡め取った。
「いい加減にしなさい!!」
魚の口を目掛けて氷柱を突き刺すラミッタ。それは体を貫き、絶命した。
ラミッタはマルクエンの元に駆け寄る。
「宿敵!! その程度の傷で死ぬようなタマじゃ無いでしょ!! しっかりしなさい!!」
確かに、マルクエンのケガはそこまで酷くはなかった。
だが、彼はとても苦しそうだ。
「もしかしてッスけど、この魚の毒……とか?」
「シヘン、解毒できる!?」
「今やってみます!!」
シヘンは魔法で解毒を試みた。
しかし、一向にマルクエンの調子は良くならない。
そんな時、ケイがハッとして言った。
「もしこの魚が、自分の毒を体内で中和するタイプの魔物だったら、どこか内蔵に解毒成分があるかもしれませんッス!! 何かそういう魔物がいるって聞いたことあるッス!!」
「なるほどね」
ラミッタは近くの石を魔法で鋭くさせ、魚の腹を切り裂いた。