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別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが  作者: まっど↑きみはる
箱の中身は
72/268

VS翼竜

「あの竜はどうすれば良い!? ラミッタ!!」


「そんなの私も知らないわよ!!」


 二人は魔物達を殲滅しながら空をちらりと見る。


 竜は上空を旋回しているだけだが、いつこちらに来るとも分からない。


「街に向かったら危険ね、注意を引き付けるわ。宿敵、覚悟は良いかしら?」


「おう!!」


 マルクエンが返事をすると同時に、ラミッタは宙に向かって極太の氷柱を打ち出した。


 竜が怯み、氷柱が片翼を貫いた。飛行能力を失い、地面へと落ちる。


 両足で立ち上がり、咆哮をする翼竜を見据えてマルクエンは走った。


 相手が吐き出す火の玉を剣で薙ぎ払い、速さを緩めることの無いまま突っ込んだ。


 筋力強化魔法を最大にして剣を頭に叩きつける。


 翼竜は頭が縦に真っ二つになり、絶命した。


 それを見た冒険者たちは歓声を上げるでもなく、ただただ圧倒的な戦いにぽかんとしていた。


「案外、翼竜って大したことないのね。私一人でも充分だったかしら」


 マルクエンの近くに走ってきたラミッタが言う。


「あぁ、そうかもしれんな」


 そう言葉を交わすと、ラミッタは魔物を斬りに、マルクエンは箱を壊して回る。


 マルクエンが箱を壊し終わるのと、周りの魔物を殲滅したのは、ほぼ同時だった。


「やっと、終わったんですか……?」


 戦いに参加していたシヘンは疲れ果て、杖を支えにその場に座り込んでしまう。


「はぁはぁ、きっつかったー……」


 ケイもそんな事を言いしゃがみこんだ。




 翼竜との戦いから二日後、ようやく街に軍の配備が出来たらしい。


「此度のご活躍。流石です」


 冒険者ギルドでマルクエン達はギルドマスターと向かい合っていた。


 マルクエン達は『竜殺しのパーティ』として、称賛され、同時に恐れられる。


「いえ、軍も配備出来ましたし。私達は旅を続けたいと思うのですが」


 マルクエンの言葉に、ギルドマスターは目を伏せる。


「魔王討伐……。でしたか」


「えぇ」


 本来であれば応援をしたいところだが、魔王討伐とは死を意味する様なものだ。


 とても「頑張ってください」と送り出すことなど出来ない。


「今回の件は、それこそAランクの冒険者の活躍に匹敵しますが。私に出来るのはマルクエンさんとラミッタさんのランクをCに上げることぐらいです」


 冒険者が飛び級でランクを上げるには、ギルドの本部で特別な許可がいる。


「ありがとうございます。充分です」


 そう言ってマルクエン達は部屋を後にした。


 街を出る際、大勢の人がマルクエン達を惜しみながら送り出してくれる。


「何か恥ずかしいですね」


「私も照れくさいッス……」


 むず痒いものを覚えるシヘンとケイをよそ目に、ラミッタは澄ました顔をし、マルクエンは街に手を振って旅路を歩んでいった。

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