表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが  作者: まっど↑きみはる
勇者さん
39/268

夜のお店の出来事

「え、えぇ!?」


「はやくぅー。それとも嫌なの? マルクエンさん」


「い、いえ、嫌ではないのですが……」


 マルクエンはあたふたとして、スミレはクスクスと笑う。


「それじゃ、あーん」


 パスタをフォークにくるくると巻き付けて、スミレの口へと運ぶマルクエン。


「あむっ! うーん、おいしー!」


 スミレはそんな事を言ってニコニコと笑う。


「そ、それは良かったです」


 ふと、マルクエンは思ってしまった。このフォークを使えば間接キスになるのではないかと。


 だが、フォークを変えてくれと言ったらスミレに失礼だ。


 何も意識をしないようにマルクエンはフォークでパスタを食べ続ける。


「間接キスしちゃったね、マルクエンさん」


「ぶーっ!!」


 数口食べた後にスミレに言われ吹き出すマルクエン。


「い、いえ、そういう事は考えてい、いないですよ!」


 顔を真っ赤にしてマルクエンは言った。「ホントかなー?」とスミレはニヤニヤと笑う。


 そんな時、先程から大声で騒いでいたテーブルから怒声が聞こえた。


「おーい、もっと女付けろや!!!」


 三人ほど居る男が騒いでいる。ボーイがやって来てペコペコと謝っていた。


「マルクエンさん、うるさくてごめんね」


 小さい声でスミレが耳打ちをする。


「いえ、私は気にしていません」


 そうは言ったが、多少は気になる。だいぶ酔っ払っているのだろうか、男の一人がボーイに掴みかかった。


 マルクエンは立ち上がり、男たちをじっと見据える。


「ちょ、マルクエンさん。ダメだよ!!」


 スミレの制止も聞かずに男たちを見続けるマルクエン。向こうが気付き、こちらへ向かってきた。


「なんだ、お前。何見てんだよ」 


「いや、うるさいなと思ってな」


「マルクエンさん!!」


 スミレが心配そうにマルクエンを見る。男は言われた言葉で怒り始める。


「何だてめぇ、やんのか!?」


「いや、ただもう少し静かに飲んでくれないか? せっかくの飯が不味くなる」


「あったま来たわ。てめえこの野郎!!」


 殴り掛かる男、スミレは思わず目を瞑ったが。


「なっ!!」


 マルクエンは顔に飛んできた拳を手で受け止め、強く握った。


「は、離せこの野郎!!」


 徐々に力を込めていくマルクエン。尋常じゃない力に男は恐怖した。


「い、痛い、いだい!!」


 男が苦しみだすと、マルクエンは手を離してやった。そんな様子を男の仲間は見ていた。


「俺たちに手を出すなんて良い度胸じゃねーか」


 そう言って立ち上がる巨漢をマルクエンは見た。恐らく一番強いのはこいつだろうと察する。


「俺は元Cランクの冒険者達だ、お前は見たところ冒険者だな?」


「あぁ、Dランクだがな」


 それを聞いて笑い出す巨漢。


「今すぐ謝って金を置いていくなら見逃してやらん事も無いぜ?」


「断る。私は金が無いものでね」


「そうか、表に出な」


「ちょ、ちょっと待って! お客さん、私が謝りますから!!」


 スミレがそう言って巨漢に近付くと、全身を舐めるように見られた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ