よわよわ
サンドイッチをむしゃむしゃ食べるスパチーをルサークは叱る。
「馬鹿っ! また失礼なことを!」
「……。みなさんは……」
シシトが上半身を起こしたまま、視線だけベッドに向けて呟く。
「みなさんは……。僕が怖くないんですか?」
シシトに言われ、デルタが言葉を繰り返す。
「怖い……。ですか?」
「だって、病気なのに、立場だけは無駄にあって。それで、それで……」
スパチーはきょとんとした顔でシシトに言う。
「私は魔人だぞ! シシトはよわよわだから怖くないぞ!」
「ば、馬鹿!! スパチー!!」
スパチーの言葉に、シシトは悲しげな顔をした。
「確かに、僕はよわよわだ……」
完全に触れちゃいけない所に触れたなと、ルサークとデルタはうなだれた。
「なんだ、シシト泣いてんのか!?」
静かに泣きそうになるシシトにスパチーは金髪のツーサイドアップを、ゆさゆささせながら顔を近づける。
自称魔人で、アホだが、同世代の少女の顔をこんなに近くで見る事は無かったので、思わずシシトは顔をそらして赤面した。
「シシト、大丈夫か? どっか痛いのか?」
心配そうな顔をするスパチーを見てルサークとデルタは驚いていた。
あの、遊びで人を傷つけていたスパチーがだ。
「シシト、大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫だよ」
心臓が高鳴りながら、シシトはスパチーに言った。
そこで、デルタが口を開いた。
「シシト様。私も昔、病気を患っていた為。少しお気持ちは分かるつもりです」
「デルタさん……」
シシトはデルタを見つめて小さく名前を口にする。
ルサークもしっかりとシシトを見つめて言った。
「ヴィシソワ様から聞いています。シシト様の病気は人に移るものじゃないと、それに……」
ルサークは言うか言わないか少し迷ったが、言ってしまう。
「シシト様って呼んではいますが、何か近所の子供みたいで、放っておけないんですわ」
「ルサークさん……」
胸がいっぱいになり、シシトは泣き出してしまう。
貴族、クルミン家の長男としてではなく、一人の人間として対等に接してもらえたこと。
病気で恐れられず、接してもらったこと。
「シシト、やっぱり大丈夫じゃないのか!?」
「違うよ、ありがとうスパチーちゃん」
泣きながらも笑顔でお礼を言うシシト。
「お前、泣きながら笑うって変な奴だな!!」




