盗賊を見つけよう
スナドリの街を飛び出し、エナハの街へと向かうマルクエンとラミッタ。
ギルドから借りた剣を持っているが、正直なところ、心許ない。
幸いにもレモーヌは俊足の魔法が使えたので、先導をしてくれる。
空を飛ぶラミッタの速度に負けないぐらいの速さでマルクエンも走った。
「見えてきたっすよー!!」
遠くには小さな街があった。
街の周りには家を持たぬ者のキャンプがちらほらと見える。
あまり大事にしないよう、ラミッタは地上に降り、レモーヌとマルクエンと共に走った。
街の入り口に向かって歩くと、そこら中からジロジロと視線を感じる。
どことなく陰鬱な街に入ると、物乞いの老人がマルクエン達に向けて器を差し出した。
ラミッタは銅貨三枚を器に入れて、尋ねる。
「ちょっといいかしら。金色の剣と鎧を持っている人を探しているんだけど」
物乞いは申し訳なさそうに頭を下げて言う。
「申し訳ありませんだ。施しを貰ったというのに、何もわかりませんだ……」
老人のそんな姿を見ていたらマルクエンは何だかこちらの方が申し訳ない気分になる。
「いえ、お気になさらず」
マルクエン達は仕方が無いので、そのままの足で街にいるはずの治安維持部隊を訪ねる事にした。
レモーヌは何回かエナハの街に来たことがあるので、案内を頼む。
「ここっすねー」
薄汚れた駐在所を訪れると、いかにもやる気の無さそうな兵士が椅子に座って迎えてくれた。
「あー、見ない顔だな。道にでも迷ったか?」
マルクエンは頭を掻きながら言う。
「いえ、実は剣と鎧を盗まれましてね」
兵士は「またか」と言いたげな感じだ。
「はいはい、それでどこで?」
マルクエンは続けて言う。
「スナドリの街で盗まれまして、もしかしたらこちらに流れ着いているんじゃないかと」
「そりゃー、スナドリの街の管轄だ。この街には関係ないねー」
兵士のやる気がない態度にムッとしたラミッタは無言で勇者の証明書を取り出した。
「あなたの態度、職務怠慢じゃないかしら?」
「なんだと失礼な……」
証明書を見て兵士は固まる。
「い、いや、そんな。こんな所に勇者様が来るはずが……」
ラミッタは宙に浮かびながら笑顔を作る。
「少し、教育が必要かしらね?」
「あっ、うっ、し、失礼しましたー!!!」
血相を変えた兵士は急いで上官を呼びに行く。
しばらくすると、ドタドタと複数の足音がマルクエン達の元へ近付いて来た。
その中の一人が両手をもみもみとさせながら、話しかけてきた。
「勇者様!! 聞きましたぞ、盗難に遭ってしまったようで……」
マルクエンはそんな態度に引きながらも、事情を説明する。
「え、えぇ。まぁ。スナドリの街で盗まれまして、こちらに流れ着いていないかと」
「勇者様から盗みを働くたぁふてえ野郎です! 必ず見つけあげて利き手を斬り落としてみせます!」




