話し合い
「ラミッタ!! 何をしている!! 貴様も戦え!!」
マッサが飛び出してスフィンを捕まえようとする。
「落ち着いてくれよスフィンさん」
スフィンの腕を捕まえ、魔法で縛り上げようとするが。
「離せ!!」
雷の魔法を流されてしまう。
「あびゃー!!!」
感電し、マッサは地面に倒れた。
「これは、仕方がない!!」
マルクエンはスフィンまで一気に距離を詰める。
その圧倒的な速さにスフィンは驚いた。
マルクエンは足を蹴り、スフィンを転倒させる。
そして、転んだスフィンの首に向かって剣をかざし、動けないようにした。
「っく、殺すなら殺せ!!!」
力量の違いを見せつけられ、スフィンはマルクエンを睨みながら言う。
「殺しません。今の私達には戦う理由が無いのです」
「私にはある!! 貴様たちイーヌは我々の故郷を侵略し、破壊した!!」
「っつ……」
マルクエンは否定が出来ず、言葉に詰まる。
「私はイーヌの兵を皆殺す!!」
深い憎しみをその目に宿してスフィンは吐き捨てるように言った。
「スフィン将軍、イーヌを滅ぼすなら、尚更ここは一時休戦しないといけません」
「ラミッタ!! 貴様本当にラミッタなのか!? 何故イーヌの騎士と一緒に居る!?」
「スフィン将軍、あなたは戦場で勇敢なる最期を遂げました。そして私もです」
「何だと!?」
信じられないとばかりにスフィンは目を丸くする。
「スフィン将軍が亡くなった後、私もこの宿敵と戦って命を落としました」
マルクエンは気まずくて思わず視線を落とした。
「そして、この宿敵も恐らくは、戦いの傷が原因で」
「少し待ってくれ、理解が追いつかない」
「ここは、私達が居た世界とは別の世界です。信じられないかもしれませんが、信じて下さい」
スフィンの目から戦う意志が消えたことを感じたマルクエンは、剣を収める。
「本当に……何が起きているんだ!?」
「詳しいことは私にも分かりませんが、どうやら元の世界へ戻るには、この世界の魔王を倒す必要がある……。かもしれないのです」
「そんな話、信じられるか!!」
騒ぎを聞きつけた街の人たちが何だ何だとちらほら集まってきていた。
「とりあえずよ、将軍様。一回落ち着いてお話でもしてみないか?」
電撃を食らって伸びていたマッサが立ち上がり、スフィンに手を差し伸べた。
思わず手を取ると、引っ張られ、立ち上がる。
「いやはや、一時はどーなる事かと思いましたわ」
ミハルはふうっとため息を吐いて言った。
「とりあえず、仲直りって言ったら飯だな。ウチで何か食べましょうや、勇者様方もそれでいいですか?」
「え、えぇまぁ」
マルクエンはそう頷くが、マッサ以外の全員が気まずい。
道中会話もなく、マッサだけが楽しそうに実家のホテルまで歩いていった。
「ねーちゃん。勇者様連れてきたぜ」
「まーた適当言って……って」
マッサの後ろに居るマルクエンとラミッタを見てネーアは驚く。