表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが  作者: まっど↑きみはる
修行
154/268

強がり

「えぇ、訓練です。まず、ラミッタさん。あなたの空を飛ぶ速度はあまりに遅い。遅すぎる。まるでカタツムリが空を飛ぶかのよう」


 ヴィシソワの言葉にラミッタは心底イラッとしていた。


「ラミッタさん。今から私が良いと言うまで空を飛び続けて下さい」


「わ、わかったわ」


 一度負けた相手なので、ラミッタは大人しく従う。早速、空を飛び始めた。


「そして、それより酷いのは空も飛べないアナタですよ。マルクエンさん」


 ウッとマルクエンは苦い顔をする。


「あなたはそこの防御壁に向かって光の刃を飛ばし続けていなさい」


「わかりました」


 ヴィシソワが作った防御壁に向かい。マルクエンは剣を振るった。




 一時間もすると、ふたりとも息が上がっていた。


 ラミッタは今にも地面に降りて座り込みたい気分だ。


 マルクエンの光の刃は魔力も使うのだろう。普段は身体強化にしか魔力を使わないマルクエンにとって慣れないもので、非常に辛かった。


 ラミッタの高度と速度が落ちてきたので、ヴィシソワはラミッタに向かって炎を放つ。


「あぶなっ!! 何すんのよ!!」


「あなたが遅いからですよ」


 炎に追いかけ回され、ラミッタは力を振り絞り、速度を上げて飛ぶ。




 二時間半が経ち、二人の魔力がすっかり空になったのを察したヴィシソワが言う。


「まぁ、ひとまずここまでで良いでしょう」


 その言葉と同時に、ラミッタは地上に降り立ち、仰向けに寝転がる。


 マルクエンも膝をついて荒い呼吸をしていた。


「ラミッタ、無事か?」


「こんなに酷い訓練は……。スフィン将軍に鍛えられた時以来よ……」


「私も……。師匠に鍛えられた時以来だな」


「もう音を上げたのですか? 情けない。昼食を食べたらまた訓練ですよ」


 その言葉にラミッタは絶望した。


「ラミッタ、行こう」


「ま、待って……。立てない……」


 ラミッタは魔力をほぼほぼ使い切ってしまい、立ち上がることが出来ない。


「さっさと連れて行きなさい」


 仕方なく、マルクエンはいつぶりだろうか、ラミッタを抱きかかえ、お姫様抱っこした。


「宿敵……。ごめん」


 強がる元気もないのか、申し訳無さそうにしているラミッタ。


「気にするな」


 マルクエンが歩き、地上に上がる前に、ラミッタは腕の中で意識が途絶えてしまった。




「おや、ラミッタさんはどうしたのですか?」


 地下に一人で戻ったマルクエンは尋ねられる。


「ラミッタは目が覚めなかったので、ベッドに寝かせてきました」


「情けない。それではあなたが二人分の訓練を受けてもらいますよ」


「えぇ、望む所です」


 マルクエンも本当は今すぐにでも寝て休みたいが、強がり、剣を構えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ