デート(仮)
「確かに、あった方が良いかもしれないけど」
「そうだろう? 前のワンピースも似合っていたしな」
言われて赤面するラミッタ。
「なっ、ばっ、何言ってんのよ!! ド変態卑猥野郎!!」
マルクエンはハハハと笑う。
「私は服選びのセンスが無いからな。私の服も選んでくれ」
「わ、私のはアンタが選ぶの?」
ラミッタに言われて、いやいやと首をふるマルクエン。
「ラミッタの服はラミッタが選ぶと良い。私はセンスが無いぞ?」
「まぁ、言われなくてもそうするけどさ……」
「この店なんて良いんじゃないかしら?」
ラミッタはとある衣料品店の前で足を止める。
「そうか、それじゃ」
二人は店に入る。色とりどりの服が目の前に広がった。
まず紳士服売り場に行ってマルクエンの服を見繕うラミッタ。
「これとこれと、これでいいかしら。アンタはガタイが無駄にあるから大きな店で正解だったわ」
「ははは、すまんな」
ラミッタに手渡された服を持って試着室に消えるマルクエン。
着替えが終わり、カーテンが開かれる。
「その、どうだ?」
灰色のジャケットに白いワイシャツ。ループタイを付け、カーキ色のスラックスを履いたマルクエン。
「まぁ、馬子にも衣装ってやつね」
「わー、とてもお似合いですよー?」
いつの間にかやって来てきた店員にも言われて、マルクエンは思わず照れる。
「彼氏さんとてもお似合いじゃないですかー」
「ち、ちがっ、ただの知り合いです!!」
「あら、そうなんですか?」
マルクエンは普段着に着替え直し、次はラミッタの服だ。
「ラミッタ、どんな服が良いんだ?」
「わ、私は自分で決めるから!!」
「そうか?」
マルクエンはラミッタの後をついて回りながら女性用の服を見て回った。
「あ、あのさ、宿敵」
いつの間にか両手に服を持ってモジモジとして、ラミッタが来る。
「こっちとこっち、どっちが良いと思う?」
前に持っていたデザインに近い水色のワンピースと、優しげな赤色のワンピース。その二つを手にしていた。
「どっちが良いか……。そうだな。って、私の服のセンスは皆無だぞ?」
「こういうのは!! 自分で選ぶより、異性に見てもらった方が良いのよ!!」
そういう物なのかとマルクエンは納得する。
「そうだな、私は赤も似合うと思うのだが、やっぱり水色を来ているラミッタも良いと思うんだ」
「そ、そうかしら?」
「あぁ、前も似合うと思って買ったんだ!」
「なっ、はっず、恥ずかしいからそういう事言わないで!! まぁ良いわ。じゃあこっちにするわ!!」
店員は「この人達本当に付き合ってないのかしら」と考えながら、会計を済ませた。