剣!
扉がノックされ、どうぞと言うと、大きな木箱を数人がかりで運んできた。
「こちらでございます」
「だいぶ仰々しいわね」
マルクエンは大きな箱を、ラミッタはそれより二回り小さな箱を開ける。
「おぉ……」
マルクエンの目に映るのは黄金色に光り輝く鞘に入った大剣だ。
「何だか、趣味の悪い金持ちみたいな剣ね」
ラミッタの剣も黄金色に輝いている。それを見て片目を閉じてため息を付いた。
「そう言うな、金ピカでカッコいいぞ?」
「アンタ、本当に金色好きよね……」
「これが、伝説の龍を使った剣ですか……」
口数少ないゴーダも、剣士として興味津々だ。
「引き抜いても大丈夫でしょうか?」
「構いませんよ!」
ギルドのスタッフに許しを得てからマルクエンは抜剣した。
剣身も綺麗な黄金色であり、刃は鋭く光っている。ひと目見ただけで業物だと分かる代物だ。
「ギルド併設の闘技場が空いていますが、試し切りはいかがでしょう?」
「良いのですか!?」
マルクエンはまるで新しいおもちゃを手に入れた子供のように目を輝かせていた。
マルクエン達はギルドに併設されている闘技場まで足を運ぶ。
「試し切り用の丸太と精霊を召喚しておきます」
「ありがとうございます!」
少し噂が広まったのか、見物人がチラホラとやって来た。
マルクエンとラミッタの前には人が使役する魔物のような存在、精霊が現れる。
まず、マルクエンは剣を引き抜いて振り回してみた。
ずっしりと手応えのある重みに、マルクエンは胸の高鳴りが抑えきれない。
「それでは早速!!」
マルクエンは立てられている丸太を剣で袈裟斬りにした。
「!!」
斬った本人だけでなく、周りも驚いていた。
刃が丸太に当たったが、少しの減速もせずに通り抜けたのだ。
マルクエンも少しの抵抗も手に感じなかった。
数秒後に、丸太がずり落ちて、地面へ転がる。
「おぉ……」
思わずマルクエンはまじまじと剣を見つめ直していた。
次に剣を構えて精霊と対峙する。