表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが  作者: まっど↑きみはる
試練の塔
125/268

空を自由に

「空なんてどうやって飛ぶのよ!!」


「飛びたいと念じてみて下さい、えいって」


 半信半疑ながらも、ラミッタは空を飛ぶイメージを持ち、魔力を込めてみる。


「って、うわぁ!?」


 ラミッタの体が1メートルほどスゥーッと空へ浮いてフワフワ漂っていた。


「なっ!?」


 マルクエンは驚いて言葉を失っていたが、我に返るとこう言った。


「ず、ずるいぞラミッタ!! 私も空を飛んでみたい!!」


「ずるいって言われても……」


 ラミッタは困惑しながらも更に高度を上げる。


「女神様!! 私も空を自由に飛びたいのですが!!」


 目をキラキラと輝かせながら言うマルクエンに、女神は残念そうな顔して答えた。


「マルクエンさんは、空を飛ぶ適性がありませんね。代わりに覚醒した際の力は、今のところ普段の数十倍。慣れれば数百倍程になります」


「私こそ宿敵の能力の方が欲しいわ!!」


「困りましたね。人間は何故人の物を欲しがるのでしょうか……」


 女神が苦笑しながら言う。


「あなた方は、自分に無い物を互いに補い合うのです」


「補い合う……、か」


 マルクエンは小さく呟いた。


「さぁ、行きなさい勇者と成りし人の子よ!! 魔王を倒すのです!!」


 そう言って女神の姿はスゥーッと薄くなり、消える。


「だいぶ分かってきたわ」


 そんな事を言いながらラミッタは空を左右にフワフワ飛ぶ。


「やっぱり、羨ましいぞ!! 空を飛べるの!!」


 悔しそうなマルクエンを見て得意げに笑うラミッタ。


「それじゃ、私はこの窓から帰るから、宿敵は頑張って階段ね」


「大丈夫なのか?」


 地上がはるか彼方に見えるので、マルクエンは流石に心配する。


「大丈夫、平気よ!!」


 フワフワと窓の外へ飛ぶラミッタは、ゆっくりと地上に降りていった。


「やっぱりずるい!!!」


 マルクエンは来た道を全力疾走して帰っていく。


 途中の雪原や草原が普通の部屋になっており、階段を降りれば良いだけなのが救いだったが。





「遅いわよ、宿敵」


 塔の外ではラミッタと、勇者パーティーが待っていた。


「マルクエンさんも到着しましたか」


 勇者マスカルがマルクエンを見て言う。


 塔の中では、長い時間を過ごしたように感じていたが、外の太陽の傾きはそれほど変わっていなかった。


「お待たせしました」


「ラミッタさんが空から降りてきた時は、何事かと思いましたが、ご無事でなにより」


 魔道士の女、アレラが少し笑いながら言う。


 勇者マスカルは少しの悔しさを胸に秘めて、名残惜しそうに試練の塔を見る。


「そう言えば、魔人はどうなりましたか?」


「えぇ、お二人が塔へ入ると同時に鐘が鳴り響き、退散していきました」


「そんな事が……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ