石像
だが、部屋の中は薄暗くよく見えない。
「行き止まりか?」
「いえ、さっきと同じく何か仕掛けがあるはずよ」
ラミッタが照明弾を打ち上げようとした、その瞬間。部屋の燭台へ一斉に火が灯る。
パァッと明るくなり、照らし出されたのは人形の石像だ。
そして、マルクエンは目を疑う。石像が台座から降りて、剣や槍を構えだした。
「戦えって事かしらね?」
ラミッタは剣を抜き、マルクエンも同じく両手で剣を握る。
「行くわよ!!」
「あぁ!!」
数十体居る石像が一斉に襲いかかってくる。
ラミッタは地面を踏みしめ、岩を飛ばす。1体へ直撃し、首がもげた。
その他数体にも岩は襲いかかり、手や足を粉々にする。
「はあああ!!!!」
マルクエンは大剣で石像をねじ伏せる。斬るというよりは砕くに近い。
遠くから弓兵がマルクエンを狙うので、石像の1体を掴み、盾にした。
「ラミッタ!! 頼む!!」
「任せなさい!!!」
ラミッタは岩と雷を飛ばして弓兵を倒す。
マルクエンは掴んでいた石像を蹴り飛ばし、顔を踏みつけ粉々にした。
そのまま剣で周りを取り囲んでいた像を薙ぎ払い、振り下ろされた槍の柄を手で受け止め、こちらに引っ張る。
よろめいた石像を剣で下から斬り上げ、砕く。
ラミッタも剣で武器を弾き、至近距離で雷を発射し、石像を倒していった。
あらかた倒し終えると、ラミッタが何かに気付く。
破壊した像の欠片が宙へ浮き、合体し始めた。
「何よアレ!!」
そのまま十倍はあろうかという大きさの1体の石像になりマルクエン達を見下ろす。
「デカいのが来たな」
「ちょっと時間稼いで」
「あぁ、分かった!!」
ラミッタは気を集中させて詠唱を始めた。マルクエンは巨像の足元にタックルを食らわせてみる。
グラリと、体勢を崩しそうになるが、仕返しとばかりに剣を振られる。
飛び退いて躱したマルクエンは、気を引くために付かず離れずで距離を取っていた。
「今よ!! 離れて!!」
ラミッタに言われ、全力疾走するマルクエン。
「弾け!!」
ピシッと巨像の片足が何かに弾かれ、転倒する。
すかさずラミッタは二撃目を入れた。
「凍てつけ!!!」
瞬時に巨像は氷漬けになり、自由を奪われ、仰向けに固定される。
くるりと方向転換したマルクエンは、高く飛び上がって巨像の額に大剣を突き立てた。
「ぐおおおおおお」
そんな音が響いて、体がサラサラと砂になっていく巨像。
それと同時に、壁も崩れ、階段が現れた。
「これで、終わったのか?」
「そうじゃない? 知らないけど」
マルクエンとラミッタは、上の階を目指して歩き始める。