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別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが  作者: まっど↑きみはる
ジャガの街
111/269

お別れ!

 マルクエン達は先を行くラミッタの後を付いて外まで出た。


 街外れまで来ると、ラミッタはくるりと振り返る。


「あなた達、少しは動けるようになったかしら?」


「えっ? えぇ、まぁ、はいッス!」


「私もいけます!」


 その言葉を聞いて、ラミッタはふふっと笑う。


「よろしい! それじゃやるわよー」


 結局夕暮れまで特訓をし、またも体を酷使する二人。


「それじゃ、今日はここまでね!」


「う、ウス!!」


 今にもしゃがみ込みそうになるが、気合で立ち、返事をするケイ。


 美しく、優しい夕日に照らされて、ラミッタは唐突に言う。


「それでね、シヘン。ケイ。あなた達二人との旅はここでお終い!」


 一瞬、何を言われたのか分からないシヘンとケイだったが、最初に話し始めたのはシヘンだった。


「ど……。どうしてですか!!」


 ラミッタは優しげな笑顔でそれに答える。


「シヘン。私達は魔人と、魔王と戦うわ。その戦いの中であなた達を庇うことは出来ないと思う」


「そうっスよね……」


 ケイは納得していたみたいだが、シヘンは違う。


「私は……。付いていきます! ラミッタさん言ってましたよね? 命を賭けても良いって思えたら覚悟を決めろって!!」


「今のあなた達の実力じゃ、命を賭けることすらできないわ。ただの犬死によ」


 今度は冷たく言い放つラミッタ。マルクエンは「言い過ぎじゃないか」と言いたかったが、黙って見守る。


「っ……」


 シヘンは言葉に詰まる。


「あなた達の事、嫌いになったわけじゃないわ。むしろ良い仲間だと思っている。だからこそ、ここでお別れなのよ」


「シヘンさん。ケイさん。私もラミッタと同じ気持ちだ」


 そこまで言われ、シヘンの目から涙が伝う。ケイも別れの悲しさと、思われている感動で胸がいっぱいになった。


「今までありがとう」


 シヘンをラミッタが優しく抱きしめる。


「っつ、うぁぁぁ……」


 シヘンは声を押し殺して泣いていた。




 すっかり日が暮れて夜になる。ホテルの大浴場でラミッタ達は湯に浸かっていた。


「あー、()みるっすねー」


 ケイは普段通り明るく振る舞うようにしている。


「えぇ、いいものね」


 ラミッタも特段変わりのない感じだった。今日が別れの日とは思えないぐらいだ。


 一人、シヘンだけが暗い顔を隠せずにいた。


 風呂から上がり、今日も食堂で豪華な料理を食べる。


「あなた達と出会って、結構長かったけど、色んな事があったわよね」


「そうッスよねー。トーラの村では魔物も魔人も蹴散らすし、正直あの時は『この人達に付いていけば美味しい思いできるんじゃないか』って思ってたッス!!」


 ケイがそんな事を言うのでみんなで笑った。


「確かに色んな事は知れたよね」


 シヘンもようやく笑顔を見せる。


「まぁ、今生の別れってわけじゃないし、またどこかで会えるわよ」


 他愛もない会話を楽しみ、食事も終えて皆は床に就く。

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