3.ヒミツミエル
そこから楠木は元気を取り戻し、いつものように新作アニメの話や今読んでいるラノベの話など語り合った。
注文したピザトーストを、楠木はナポリタンを食べ終え、食後のコーヒーを(楠木はソフトクリームを)を飲みな
がらまったりしていると、楠木が何かを思い出したように
「あっ!」と声と上げて、少し溶けたソフトクリームを一気にかき込んだかと思うと、
自分が食べた分のお金を置いて
「ごめん!用事思い出した!」「先に帰るねっ!」
また明日―と、嵐のように去っていく楠木に呆気に取られ、俺一人だけが席に取り残された。
緩急の激しいやつだなぁ、とか考えつつ、時間を確認し、二時半を回り店に長居するのも悪い気がして俺も店
を出ることにした。
伝票と楠木の置いていったお金を取ろうと席を立つと、楠木の座っていた席にバックが忘れてあるのを発見した。
SLの限定公式グッズだし…
あいつ本当に大丈夫かと本気で心配になる。
(渡すのは明日でいいよな、おっと…)
バックを引き上げようとすると、中からファイルやメモ帳、筆記具などがこぼれ落ちてしまった。
申し訳ないと思い、急いで拾おうとした時、メモ帳の中身が見えてしまった。
(えっ…!)