2.ティーピーオー
行きの途中の話し合いの結果、行きつけの喫茶店に行くことにした。
楠木と仲良くなってから、行く場所がないときは大体ここにくるのが習
慣となった。
髭を生やしたようなマスターが店を構えているわけではなく、全国にあ
るようなチェーン店である。
店に入り、人数を聞かれ、席に通された。二人分のおしぼりとお冷やが
置かれ、一連の聞き慣れた行程を終え、店員がさがる。
メニューは一つのテーブルに一つしかないので先に彼女に渡し、スマホ
を開くと通知がきていた。
『スクール・リーダーズ アニメ化決定…!!』と。
(楠木の好きなやつだったよな…)
「小木曽くんはメニュー決めたの?」
「俺はいつものピザトーストでいいよ」
おっけーと言いながら、楠木が呼び出しボタンを押している。
そんな楠木に「よかったな」と手元のスマホを見せる。
「……………」
無言で画面に詰め寄る楠木に少し身を引いてしまう
数秒程、画面を凝視し、「ッッ…」と何か口から漏らしている。
「やっっっったぁぁーーーー!!」
と、いつもの挙動からは想像できないほど、大きな声をあげ、興奮していた。
そこにタイミング悪く注文を受けにきた店員と俺をはじめ、店の空気が一瞬止まる。
我に返った楠木はスッと座り、顔を赤くして黙り込んでしまった。
「すみません、この子TPOを守れないんですよ」
と一応、誤っておき(?)、店員も困ったように苦笑いをしていた。店員にメニューを伝え、待っていると再び楠木が口を
開いた
「ごめん…」
顔を赤くしたまま、申し訳なさそうに誤ってくる。
「大丈夫大丈夫、慣れてるし(笑)」
そう、何を隠そう今回が初めてではないのである。
ちな、三回目
このテンションの上がり様は病的な何かなのでは…と心配になる