流しました
あるーひ、ある日の事でした。
あるところの小学校の先生が、生徒達を引率して下水処理施設に社会科見学に来ていました。
生徒達は、とても目を輝かせながら、下水処理施設を案内するお兄さん(32歳、一児の父)の話を聞いていました。
施設の中を、一通り案内したお兄さん(32歳、一児の父)は、先生と生徒達をある広場に誘導すると、生徒達に質問がないか聞き始めます。
始めに手を上げたのは、坊主頭の男の子でした。
「ねー! お兄さん! トイレには、どうしてティッシュペーパーを流しちゃいけないの〜!?」
「それはねー、ティッシュペーパーは、水の中でばらばらにならないの。だから、そのまま流しちゃうと、つまっちゃうことがあるんだよ〜♪ 分かった〜?」
坊主頭の男の子は良く分からない、といった感じで首を捻ります。
それを見た隣の短髪の男の子が茶々を入れます。
「なんだよ~! お前、わかんないのかよ〜!!」
「そういうお前は、分かんのかよ〜!」
「わかるワケないじゃん」
案内係のお兄さん(32歳、一児の父)は、困った表情をし、頭をかきながらこう言います。
「うーん……少し、難しかったかな〜?」
その言葉を、坊主頭の男の子と短髪の男の子は既に聞いていませんでした。
少し、悲しくなった案内係のお兄さん(32歳、一児の父)でしたが、直ぐに気を取り直すと、他の生徒達に何か別の質問がないか聞き始めます。
と、その時でした。生徒達を見守るため、後ろにいた先生の一人……その小学校では一番とうたわれる美人教師が、突如、手を上げてこんな事を言って来たのです。
「案内係のおじさん」
「お兄さんね〜♪」
「お兄さん。私は、たまに部屋にでる黒いGや、見るに耐えない虫どもを、奇声を上げながらトイレに流しちゃいます」
それを耳にした案内係のお兄さん(32歳、一児の父)は、ひきつった顔をし、その場から一歩引きながらも、プロ意識を出してこう返します。
「お……気持ちはわかりますが、なるべくそういう行動はしないで下さいね」
立て続けに、美人教師はこう言いました。
「人も流しました」
「もしもし? 警察ですか?」
……おしまい