消えた少女と枯れ木の森
[15年前]
「お母さま!!! 私を置いていくんですか!!」
「ごめんね...ちゃんと守ってあげられなくて」
「嫌ですお母さま!! お母さまが戦うなら私も」
「【スリープ】」
「お..かあ...さ」
前に倒れてくる娘を大切そうに体で受け止める。
「ごめんね..ごめんね」
泣きそうになるが娘の前では涙を流さないと決めていた女性は涙を堪えて娘の顔を撫でる。
そして魔法陣の上に娘を置き、予め用意していたSランク相当の魔力を秘めている魔石を魔法陣の周りに並べる。
すると、魔法陣が赤く光始める。
このまま娘の転送を見守っていると、大きな爆発音が鳴り城の壁が破壊された瞬間に一人の少年が部屋に入ってくる。
その少年は、口角を上げ、嫌な笑みを浮かべながら近づいてくる。
「いや~変な魔力波を感じると思ってきてみれば、それ何してるんですか?」
「いきなり女性の部屋に入ってくるなり失礼じゃない?」
「魔族に対して払う礼儀なんてありませんよ」
少年はその場から魔法陣の上で眠っている少女に向かって大剣を投擲する。
そしてそのまま少女に刺さるギリギリで女性は少女を庇うように立ちはだかる。
結果、女性の腹に大剣が突き刺さる。
自分の身体で大剣を受け止めて娘に少しの衝撃も感じさせないように受け止める。
その直後、全力で魔力を編み、娘を守るための防御魔法を張る。
「【闇魔法・ブラックシェル】」
娘を覆い隠す丸いシェルターが作り出される。
(ほんとうは決められた魔法陣に対して他属性の魔力を扱ってはいけないけど、そんなこといってられないわね..)
その証拠に赤く光っていた魔法陣は闇魔法に反応したかのように黒に染まり、黒く光りだす。
そして一際大きく光った魔法陣は【ブラックシェル】と共に娘の姿が消える。
娘を見送った瞬間に女性は膝を崩し倒れる。
その女性にトドメを刺すべく、歩み寄る少年。
女性は顔を上げる。
顔色が悪く苦しげな表情ではあったが力強く笑っていた。
「あの..子は必ず...強くなる..わ。あなた達が手出しできない...ほどにね」
「そうですか。なら探し出して始末するだけです」
女性の首を掴み上げ、腹に刺さっている大剣を抜くと血が溢れ出す。
そしてその女性は目を閉じ、息絶えた。
「娘さえ守らなければ逃げることもできただろうにな」
女性を地面に落とし少年は魔法陣に近寄る。
「この魔法陣に関しては、調べるしかないか」
その場を去る前に自分のことを召喚した自国にその女性の死体を持ち帰れと言われていたのを思い出し、お腹に大穴を開けてた女性の死体を回収し、その場を離れる。
その惨状を知った父親が怒り狂い人族と魔人族との戦争、[魔戦争]が後に起こったのは誰もが知るお話であった。
尚、戦争後父親は娘を探したが見つかることはなかった。
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[天音 優]
キィン!
風魔法特有の甲高い音が鳴る。
地面にはブラックナイト2体分の鎧が転がっていた。
「流石に2体相手はしんどかったな」
額から流れ落ちる汗を袖で拭いながら溜息をつく。
手の上にステータスプレートを出してブラックナイト3体でどれくらいレベルが上がったかを確かめる。
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天音 優 男 人間 Lv,46(+6up)
ジョブ「 」
MP:2200(+200)(+300up)
筋力:767(+180up)
防力:4402(+600up)
体力:1512(+180up)
敏捷:4152(+540up)
魔力:1512(+180up)
スキル:言語理解lv,1・短剣術lv,1・闇魔法lv,3・青魔法lv,1・風魔法lv,3・光魔法lv,1・アイテムboxlv,3(+1up)・物理耐性lv,3・
魔法耐性lv1・危機察知lv.3・偽装lv,3・混合魔法【クリーン】・魔力感知lv,2(+1up)・身体操作lv,3(+2up)
固有アビリティ:与えられし心臓・二面性【メア】
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レベルが6上がってそれに伴ってステータス値の上昇とスキル【アイテムbox】【魔力感知】【身体操作】のレベルが上がっていた。
自分自身のレベルに関しては、もう少し上がると思っていたが違っていた。
少し奥に進むと階段を見つけたのでそのまま下りる。
下りてる途中、メアが話しかけてくる。
「天音~~お腹空いたよぉ」
「そんなこと言ってもな」
「生でデビルベアー食べてみようよぉ。美味しいかもしれないじゃんっ?」
「却下...って言いたいけど、流石にそろそろ耐えれそうにないから次の階段見つけるまでに何かなかったら食うか...」
腹が減ってはなんとやらなのでそろそろお腹に溜まるものを入れたい。
水で洗えば何とかなるだろうと思い階段を下りていく。
さっきの階層と同じ空間だと思っていたがこの階層は枯れ木の森と言った感じのようで辺りを見ても枯れ木しかない。
警戒を怠らず先に進んでいくと一匹の兎が居た。
その兎に肉体は無くスケルトン種だった。
片方の目には緑色の鉱石が埋め込まれていた。
目の鉱石が光った瞬間に兔から威圧を放ったと思わせるような突風が吹き荒れた。
吹き飛ばされないように足に力を入れ踏ん張るが少しずつ後ろに押される。
そしてもう一度兎の目が光った瞬間に兎の周りに【ウィンドウカッター】が複数現れる。
「自分の周りに魔法を展開する方法は思いつかなかったな」
「感心してる場合じゃないよぉ?あれ当たったら死ぬよ」
メアに忠告された直後に真っ直ぐ【ウィンドウカッター】が飛来してくる。
ただこのまま足を浮かして逃げると突風で飛ばされかねないのでこちらは【ウィンドダガ―】を発動し、斬り落とすことにする。
迫りくる【ウィンドウカッター】を見ながら自身の感覚を研ぎ澄ます。
飛来してきた数は3枚。
そのうちの一つは首を捻るだけで避け、更にそのまま上半身を捻り避けることに成功する。
最後は【ウィンドダガ―】で切り裂く。
このままだとまた【ウィンドウカッター】が来るだけだと思いこちらも【ウィンドウカッター】を兎に狙いを定めて放つ。
当たる瞬間に突風が止み兎の姿も消える。
突風を起こしている間は動けないようだった。
突風を起こしていた兎はいつの間にか俺の後ろに回り込んでいた。
俺は気付くのが遅れ、背中を思いっきり蹴られてしまう。
目の前の枯れ木にぶち当たり、すぐに起き上がることのできないダメージを負ってしまう。
その隙は致命的だった。
左側からヒリ付く感覚が迫っていた。
それを感じ取り、避けようとするが時すでに遅かった。
左足に蹴りを入れられた瞬間声にならない叫びを上げてしまう。
そして左足を蹴られた後、裏蹴りをかまされ後方に吹き飛ばされる。
そのまま枯れ木に背をぶつけ、枯れ木に背を預ける。
恐る恐る力の入らない左足を見るとあらぬ方向に折れ曲がっていた。
「ああぁぁああ!!!」
尋常じゃない痛みが天音を襲う。
が、その痛みを唇を嚙みしめて我慢しつつ【ウィンドダガ―】を発動し、次の攻撃に備える。
身体操作のスキルがあるとはいえ、レベルがまだ低く片足で立つのがやっとだった。
「はぁはぁ...っ!!」
背後から迫ってくる兎の気配を感じ、迎え撃つためにウィンドダガ―を構えて集中する。
そして目にも速さで突っ込んできた兎の蹴りをウィンドダガ―で受け止めるが、このままじゃまた後方に吹く飛ばされるだけだと思い、重い衝撃を後ろに受け流すために体をひねりウィンドダガ―で受け流す。
受け流すことに成功した天音は、
「【スモーク】!!」
を使い、天音と兎の間に濃いモクが入りお互いの姿を見えないように広がる。
その瞬間、天音はウィンドダガ―を2連続で振り【ウィンドウカッター】を飛ばす。
そのウィンドウカッターを兎は蹴りで弾き飛ばしている間にスモークの中に入っていた天音が兎の死角から飛び出す。
【ウィンドダガ―】の刃を首元に向けて振り斬ろうとするが骨が固く途中で腕の勢いが止まりそうになるが、それを無視して更に力を込めると振り斬ることが出来た。
スケルトンラビットの死体が消えると同時に魔石と指輪がドロップする。
それを回収しようとすると背中と左足に激痛が走り地面に倒れて込んでしまう。
意識を失うことはなかったが【闇魔法】に治してもらうまで動くことは出来なかった。
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