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真剣勝負

其れは稚拙なワルツに良く似て居る

両者共々、壮絶な戦いを繰り広げる。



≪俺1人でやるから邪魔をするな。≫と、釘を刺された少年達は只々、魅入る。


神様(仮)達と少年達の其の遣り取りを眺めて居た少女達は、自分と神様(仮)のONE ON ONE。


タイマン勝負を行うと云う解釈に捉えて良いと判断をして、2人に向けて居た警戒意識から、一旦、少年達を除外して居る。




つまり、もう其々(ソレゾレ)の3つの舞台には、どうあれ、2人ずつしか立っては居ない。











―――― ★ ――――












獲物越しに、目が合う。


其の一瞬で、何も聞こえなくなる。



2人は前に出る。


撃ち合う度に小さな火花が散る。



其の火で肌が焼ける。


其の痛みは無い。


熱も、感じ無い。




意識はただ、目の前の相手にのみ向いて居る。




そして、2度3度と短い間隔でクナイが投げ込まれる。


其のクナイが銃弾と、ぶつかり合い、双方、激しく鋭く鈍い音を立てて飛び散る。



黒曜(コクヨウ)(ヒラメ)く。


銀が其れを(スンデ)の所で受け止める。


クナイをギリギリのタイミングで受け止める。


クナイと銃の押し合いだ。


クナイに負けない程、切れ長で冷ややかな双眸と、弾丸の発射された熱にも負けない煮え滾った双眸同士が、間近に迫った。






「…只の馬鹿じゃねぇな。こっちが何か企んでるか分かってやがる、か。だから只の言い成りの傀儡(クグツ)に成らない様に覚醒を拒んでるのか?だったら良い判断だなぁ!おい!」




「さて、な。つーか、言葉でごちゃごちゃ殺る気はねぇって……言ってんだろうがッ!!」






冷ややかな双眸が、一瞬、遠退く。


そうして……――――、






ゴチンッ!!






渾身の不意打ちに因る頭突きを太郎神(仮)に喰らわせてから、密着し合って居た武器を放し、無茶苦茶に距離を取る喧花。






たらっ、




たらり、




ポタッ




ポタリ






「~~~~ッ。テッメェ、どんだけの石頭だ!」




「てめぇも、な!」






お互いの衝突をし合った額の硬さは、互角。


しかし、額を覆う薄い皮膚が(メク)れ、血が(シタタ)った。











―――― ★ ――――












三郎神(仮)が(フトコロ)に仕込んで居た短刀を、風鵺の首筋へと向けて構えた。






「おー」






しかし、声を上げながらも、其れは棒読みで、無表情だ。


と言うより、向けられた当の本人は視線を微々(ビビ)たりとも揺らさない。


普段のチキン振りと違い、見事なまでの、無神経さで、無反応にも近い、反応振りだ。






「おー、そう言えばそうだ。」






毅然(キゼン)とした態度を崩さない。


そして、何を思ってか、風鵺は鉄球のハンマーから手を放した。






ゴトゴトンッ






床に鉄球のハンマーが転げ落ちる。






「何のつもり?」




「ほらぁ、ウチってチキンじゃん?チキンに武器は似合わないって言うか、ねぇ?」




「あんまり…嘗めないで、よ!」






短刀の銀色が、風鵺を目がけて()けた。


だがしかし、何の其の、風鵺は幽霊達の攻撃同様に、此れも容易(タヤス)(カワ)す。



其の間に三郎神(仮)は廊下の床を翔ける。


三郎神(仮)の手には抜き身の太刀(タチ)があった。


先程の短刀とは違い、今度は長刀だ。が、振り下ろされた此の長刀の太刀筋も全て見切って躱し切った。






「流石だね。此れ全部躱すなんて」




「King・of・Chickenの名は伊達じゃないじぇ☆」






そう言い合って、2人は同時に動いた。


風鵺は身近に転がって居た幽霊1体を掴み、自分の前へと盾にする様に差し出す。


直後、幽霊がズタズタに裂け散る。






「あーぁ、可哀想に。自分達の部下みたいなものでしょ?」




「そんなモノ、取り替えは幾らでも利く。」




「見た目と違って、乱暴者な上に浪費家なんだねぇ。ふー、やれやれ」






頬に片手を当て、小首を傾げ、ふう…と、わざとらしくポーズを取る。






「あはっ。そう言う君こそ、盾にするなんて、残虐非道な外道者だネw」




「えー、知らないの?…チキンは他人を身代わりにするから生き延びられるんだよ♪」






お互いに、あくまでも、ニッコリと笑って見せる三郎神(仮)と風鵺。











―――― ★ ――――












ダッ、と、お互いに、相手に向かって走り出す。


最初に先手を打ったのは、次郎神(仮)だった。


素早く手裏剣を、摩耶に向かって投げる。



其の手裏剣の攻撃を、鎌で一閃して弾く摩耶。


しかし、其の防いでから、一息の間も付かない内に、次郎神(仮)の刀が摩耶に振り下ろされ、摩耶の胸を薙いだ。




摩耶の胸から、鮮血が空に向かって吹き出し、宙を舞う。


…かの様に見えたけれど、実際に宙に舞ったのは、無数の色取り取りの雛霰(ヒナアラレ)




其れを次郎神(仮)とnilが視認した瞬間に、ジャラジャラジャラッ!!…と、鎖同士が擦れる音が耳に入る。


其の音が聞こえるや否や、次郎神(仮)の身体には、鎖が蛇の如く巻き付いて居て、動きを封じて居た。


そして最後に、銀の三日月が、次郎神(仮)の頬を掠り抜ける様に、ヒュンッ!と鋭い音を立てて宙を()け、次郎神(仮)のすぐ横の後ろの壁へと、ガッ!と、勢い良く突き刺さった。






「…成程。只の大鎌ではなく、鎖付きの鎖鎌でもあると云う訳か。」






そう次郎神(仮)が呟くと同時に、ザシュッ!と、次郎神(仮)の頬の皮膚が、2cm程、真横に裂け、緋色が滴る。


幼さを少し残しながらも大人びた、整った其の顔の頬から流れ出たのは、紛れも無く、血。






「変わり身の術も見事じゃのぅ。」






大鎌の鎖鎌で、身体の動きを拘束される中、次郎神(仮)は首を動かし、自分を縛り付けて居る鎖の先を目で辿って行く。


其の先には、鎖と繋がった鎌の棒状の部分の()を持ち、相変わらず淡く暗く微笑んだ表情を浮かべながら、悠然と立って居る無傷の摩耶が居た。



しかし、次郎神(仮)も殺られっぱ無しでは無い。


無表情ながらも、一瞬で鎖の束縛から抜け出した。






ジャラジャラジャララッ、




ガシャンッ、




ジャランッ、




ガシャンシャン!






捕縛する獲物を失った鎖が、鈍い音を奏で合いながら、其の場の地面へと落ちる。






ヒュン、




ジャラララララララ…、




カシャンっ。






しかし摩耶は其れに驚く事無く、鎖と繋がった棒を釣り上げる様に振り上げる。


其の動作に連動して、引っ張られた鎖は筒状となって居る棒の中に、刃は棒の先へと付け戻り、鎖鎌から元の武器スタイルである大鎌へと戻る。






「素材は…水飴かのぅ。」




「正解。」






死神鎌の素材を言い当てた次郎神(仮)に、のんびりと返答をする摩耶。











And that's all…?

(それでおしまい…?)

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