お菓子の魅力
おかしな制裁
此処で、少しだけ、時間を遡ろうと思う。
そう、喧花が人外達と、じゃれ合ってる間に、何故、風鵺が、人間ロケット、ヨロシク☆の様に飛んで来たのかを明かす為だ。
此の回のお話では、突撃する前の、其の空白の時間に合った、2人の遣り取りのお話です。
―――― ★ ――――
喧花達との通信が終わった後に、幽霊に見つからぬ様に、慎重に、別の部屋に来た風鵺と摩耶。
途中、鴉が無数飛び交う鴉部屋にて、鴉共に餌(命令を1つ聞く様に念じた菓子)を食べさせ、服従させる。
其処から反対側のやや斜め下には喧花が捕らわれて居る部屋があり、此処からだとなら、ある程度は、中の様子が分かる。
何故、喧花が捕まった部屋が分かったと言うと、此れも摩耶の手柄である。
交信用にポッキーを、追跡調査等が分かる様に、発信機としてガムを持たせたのだ。
誰も、お菓子が、そんな機能を有して居るとは思わないだろう。そんな訳で、喧花達の居場所が分かったのだ。
「OH!無事だYO♪」
「そう。」
「でも、どうやって助けるんだYO?あいつ等も居るYO。」
「そう。」
「救出アイディアは、もう決まってるNO?」
「そう。」
「ムーーッ、だからどうやってレスキューす…」
と、生返事を返すばかりの摩耶に、視線を向け、不満そうに聞き直そうとする風鵺だが、其の発言は、摩耶の行動を見て、途中で止まってしまう。
驚いた様な顔をした後、怪訝そうに顔を顰める風鵺。
途切れた、其の続きを、口から出そうとはせず、別の言葉を発する。
「……why?なんで、うまい棒製の大砲出して弄くってるNO??」
どっから出した?とは聞かない。
聞いても無駄だと、長年付き合って居るせいなのか、分かっているからだ。
この連載は、何でも有りなのだと。(それ長年付き合っているからとか関係なくない!?)
「さて、(喧花に向けての)狙い定めも準備も完了。さ、風鵺、さっさと入って。」
「…What for!?」(訳:何故・どうして)
「アンタが、此の大砲の玉役だから、此の筒の中に入りなさいって言ったの。」
「NO!!!」
「面倒な策は、実行したく無い。だから、手っ取早くアンタを、あの中に突っ込ませて、其のどさくさに紛れて、奪還する方法を取る。」
風鵺に分かる様に、作戦を説明する摩耶。
面倒臭がりな摩耶ちゃんは、強引なのです。
「まどろっこしくなくて良いけど、危険だYO!!(ウチが←←)」
「つべこべ言わず…入る!!」
風鵺を、無理矢理に、大砲の玉代わりに、筒の中へと、放り込む。
「ぬぅおおおおッ!?ストップ、スットーーップ!タンマだYO!!」
「何よ。」
「大砲は勘弁ダヨ。」
「愚痴愚痴煩い。チョコバットで飛ばさないだけ、マシと思うの。それとも…チョコバットで飛ばされる方のが、御好み?」
「大砲、用ーー意だっYO!」
結局…風鵺に拒否権を与えず、摩耶は何の躊躇いも無く、寧ろ嬉しそうに大砲の縄に点火をする。
風鵺は其の間に急いで、持参のヘルメットをしっかりと被る。
ジジジジジジジジジジッ
「砲撃★!」
ドッカーーーーーーン★★★
火が、縄を焼く音がした後、摩耶の掛声を合図に、低い轟音と共に、大砲の玉(風鵺)は、放たれた。
テポドン以上に、厄介な玉を、送り込んだのを見届けると、直ぐに、パチンッと、指を鳴らす摩耶。
すると、先程の鴉部屋にて餌付けにした鴉達が、何処から湧いて出たのか、一斉に其の黒い羽を羽ばたかせ姿を表す。
「さ、あたし達も行こう。」
其れに答える様に『カァッ!』と鳴くと、摩耶を囲う様に飛んで居た鴉達は、風鵺の後を追う様に部屋に向かって飛んで行く。
鴉が去った後の別棟の部屋には、舞い散る黒い羽以外、何も、誰の姿もありはしなかった…。。。
And that's all…?
(それでおしまい…?)




