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両手に華無し

心は刃物。味は切れ味です。


お菓子を食べて、『殺るぞ!』『帰るぞ!』と各々が勢い付いた所で、空から薄暗い物体が土砂降りの雨の様に降り注いで来た。


どうやら太郎神(仮)達も、腹拵えを終え、防御壁として残って居た用済みの“出来損ない”達を、切り捨てて、攻撃に使用して来た様だ。



急な大攻撃に、大慌てで、6人は逃げ惑う。


上から降って来た『ハッハッ、見ろ!人がゴミのようだ!!ハッハッハッハッ!!』と、ジブリアニメ映画で有名なムスカ大佐の名言を真似する太郎神(仮)に(オオ)いにツッコミを入れたかった6人だったが、ツッコむ暇が無かった。




不意打ちで、大胆な、クソッタレな土砂降りの様な怒涛の猛攻撃に、6人は、御蔭様で、散り散りに逃げる羽目(ハメ)になった。


要は、バラバラにバラけて、(ハグ)れた。6人は、其々に、1人ぼっちの状態で、迷宮を、彷徨ってしまう状態に、(オチイ)ってしまった。











―――― ★ ――――












ズルズルズルズルズルズルッ






荒々しく彼方此方(アチコチ)の廊下に響く無数の幽霊の足(?)音。


後ろからは、『幽霊』となった元、物体の大群が追い掛けて来る。


其の中、反撃の機会を(ウカガ)いながら、喧花は、逞しく、走り逃げ回って居た。



時折(トキオリ)、後ろを振り返っては、前へと視線を戻す。


…と、何度目かの振り返りから、視線を前方に戻すと、数メートル先に、フッと、太郎神(仮)と次郎神(仮)が現れて、幽霊との挟み撃ちに、されそうに成る。






「俺から摩耶と風鵺を取り上げるとか…父さんは許さぁああアアアんッ!!!!!必殺★星一徹さん直伝、卓袱(チャブ)台返し!!」






…が、喧花は、物怖じせず、意味不明な掛け声と共に、何処から出したのかも分からない卓袱台(お茶&煎餅(センベイ)付き)を、器用に足で、2人に目掛けて、放り投げる。


ちなみに、テレビアニメ、巨人の星で、頑固親父代表の名を欲しい侭にしたキャラクター、星一徹さん、直伝…なんて言うのは、勿論、嘘っぱちだ。



空中で引っ繰り返った卓袱台(お茶&煎餅付き)は見事、太郎神(仮)の頭上へと激突した。






「ヘブラッ!!」






太郎神(仮)は、卓袱台に激突され、下敷きにされ、






「熱゛ぃ゛いいいい!!」






ついでに、湯のみの中身である熱いお茶を頭から被ってしまった様だ。






「あ、煎餅ではないか!」






そんな哀れな仲間に、次郎神(仮)は目もくれず、顔に当たった(落ちて来た)煎餅を、嬉々として、其の場に行儀よく座り、バリボリと食べ始める。






「おいいぃ!!煎餅食ってる場合じゃねーだぉおおお!!!!!」






多大な被害を受けた太郎神(仮)が、呑気に隣で煎餅に(カジ)り付く次郎神(仮)に、怒鳴りながらツッコム。


そんな前方の2人が、卓袱台攻撃で、狼狽(ウロタ)えてる(?)間に、素早く、2人の横を、通過する喧花。






「おっし、百発百中!さすが俺、カッコイイぜ☆」






誇らしげに、グッと、手を小さく握り締める。


其の誇らしさと言ったら、まるで、ちびまる子ちゃんに登場する大金持ち坊ちゃんの花輪君が、流れる独特の、つっぱりヘアーを右手で、サラッと、かき上げた時の誇らしさに、勝るとも劣らない清清しさだ。






「フッ、画面越しと言えど、また多くのレディー達を虜にしちまったぜ!……ん?……(俺×摩耶に、俺×風鵺。)…何気に、俺、何時(イツ)も、両手に花…いや、もぅ元から俺の周りはハーレムだったけな。フッ☆」






彼女にして来た、1人1人の顔を、まるで、走馬灯の様に、流れ往く様に、思い出して行く。






「そんなメタ発言をする上に、超弩級の気違い莫迦には、ドロップキック★」






※メタ発言とは、メタフィクション発言の略。


漫画や小説、アニメ、ゲーム等、フィクション作品の登場人物が、原作者や読者、視聴者にしか知りえない知識や裏事情等について、作中で発言する事を指す。




そんな感慨(?)に(フケ)り、浮かれた妄言発言をしてしまい、数秒間、無防備だらけに成ってしまう喧花。


其処に好かさず、好機と見做(ミナ)したのか、神出鬼没で突如現れた三郎神(仮)のドロップキックが決まる。






「グハッ!チッ…またテメー等か。言っとくが、俺ぁ、男にモテても嬉しくねぇんだよ。しかも、今の俺は超絶的に機嫌が悪いんだ。超弩級に切れるナイフ並みに…な!!」






確かに先程までの御巫山戯とは違った。






ガツッッ!!!






渾身(コンシン)の力で三郎神(仮)を殴り飛ばした。


鉄拳を受けた三郎神(仮)は後方に吹き飛び、壁に激突した。



激突した壁はへこみ、ひび割れた。


其のあまりの力に、神(仮)3人は、ギョッと目を()いた。





「巫山戯るんじゃねぇぞ、テメェ等!!」





喉も()れんばかりの大音声(ダイオンジョウ)


先程と寸分変わらぬ力で真横の壁を殴り壊す。


其の際、床に落ちた壁の欠片を1つずつ両手で拾い、思い切り其の両方を、太郎神(仮)と次郎神(仮)に向かって投げ付けた。



其の剛速球の威力は、まさに、絶対回避不可能な程のスピードと威力を持った、キャノン砲とでも言おうか。


圧倒的な破壊力で、太郎神(仮)と次郎神(仮)の、鳩尾(ミゾオチ)に容赦無く、寸分の狂いも無く、クリティカルヒット!


ボクシングで例えるならば、ガードが空いた瞬間に繰り出す、強烈ボディ・ブロー並の破壊力を受けた太郎神(仮)と次郎神(仮)は、激痛を訴えて来る鳩尾を押さえ、僅かながらも苦痛に顔を歪める。






「俺からハーレムを取り上げた事、後悔させてやるよ。」






女子との和気藹々(ワキアイアイ)な日常を奪われた。


更には風鵺と摩耶と引き離されて、1人にさせられ、激昂(ゲッコウ)する喧花。



其の喧花を見て、神(仮)3人は、(イヤ)し気に、口元だけで…ニヤリと笑った。


まるで、頭に血が上った獲物程、思惑通りに、罠に掛かり易いとでも言う様に…――――。。。











And that's all…?

(それでおしまい…?)

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