一致団結
九死に一生を得た話
…―――…異性は“×”…―――…
でも、見捨てる訳には行かない。
其れは“今”では無いと、そう思った…――――――。
nilが作り出した大量の風船達で落下速度を減速させ、志音の花火で地面との激突の衝撃を和らげた御蔭で、何とか6人は無事に地面に着地した。
フワッ フワワッ フワ…ン
風船が舞い落ちる様にゆっくりと降下し、地面へと足を付ける。
―――― スタッ、スタッ、スタッ。
志音と仙祥とnilが、地面に足を付ける。
その時点で、しっかりと地面に足を付け、立って居るのは男子3人のみ。
幾ら空中で強がって居ても、どうやら女子3人は腰が抜けて座り込んでしまった。
まぁ、あんだけの高さ…6人が余裕で話せる時間がある位の高さから、ヒモ無しバンジーを、いきなり体験させられれば、当たり前の反応だが…。
「フフッ…無事に着陸成功、だね♪」
周りを見渡し全員が無事な事を確認して、仙祥がそう呟く。無事に危機を乗り切り、九死に一生を得た様だ。
「マジ助かったわ。ヤンキー怒根性、本気フルパワーでも無理だったわ。サンキュー☆」
志音が喧花へ手を差し伸べる。
其の手を拒む事をせずに、手に取り、立ち上がる。
「ホント、ホント。チキンエネルギュータンパワーでもアレは無理だったじぇい。」
仙祥も志音に習い、風鵺へと手を差し伸べる。
風鵺は、逸速く、ガシッと力強く掴み、元気一杯に立ち上がる。
「変な対抗意識はしないで言葉は正しく使え。」
「了解マンボー☆」
「ふぃう。」
nilも、渋々だが、そっぽを向きながら、一息付いた摩耶に、手を差し伸べる。
其の手を暫く眺めた後、おずおずと手を重ねると、勢い良く、グイッと、引っ張られ、立たされる。
落下死をせずに済んだ、そんな6人を、天高くと言う程の高さから無表情に見下ろす輩が3人、居た。
「チッ…しぶてー奴等だ。」
「単に爆発力が、甘かっただけでは、ないのか?」
「んだと?」
「まぁまぁ。」
そんな6人を半壊した部屋から見て居た人外達。
普通の人なら下を見たって人が蟻くらいにしか見えないのだろうが、生憎…彼等は人外であり、視力は並みじゃない為、良く下の様子が見えて居た。
「にしても…1本、取られたぜ。どぉするよ?」
「ホンットに、ムカツク奴等だぜ。…どーボコるよ?」
「取り敢えず、6人で行こうか。相手の力もまだ未知な事が多いし、別々での行動は少々、無謀だ。」
3人の話し方からして、どうやら後退と言う逃げる前提の考えや選択はないらしい。
「じゃー行k…」
「嫌だYO!!!!」
喧花の言葉を遮る様に風鵺が大声を上げる。
「風鵺?」
「あ゛?」
「DISAGREEABLE!UNPLEASANT!!DISLIKE!!!HATE!!!!DETEST!!!!!」
嫌と言う意味の英単語を、意味が強くなる順に並べて連呼しながら、地面に転がり、駄々を捏ねる幼子の様に、手足をバタつかせる風鵺。
「何、駄々捏ねてんだよ?」
「ヽ(`・Д(`・Д(`・Д(`・Д・´)Д・´)Д・´)Д・´)ノ!!!」
通じてない喧花に対して、今度はスペシャルヤダの顔文字で抗議する風鵺。
「更に訳分かんねぇよ!!」
「えーと…皆で立ち向かうのが嫌なの?」
「(*゜∀゜)*。_。)*゜∀゜)*。_。)ウンウン」
「…他に何か効率の良い方法があるの?」
「(。_。(゜д゜(。_。(゜д゜(。_。(゜д゜(。_。(゜д゜ )スペシャルウンウン」
「へぇ…じゃぁ言ってみろよ。」
「逃 げ る !!」
効率の良い方法でも、況してや作戦ですらなく、だた自分の気持ちに準じた事を言う風鵺に、ギャグ漫画の如く、滑り転ぶ5人。
「おまっ、バカか!全っ然、作戦じゃねーじゃねーか!」
「人命(自分)第一!!」
「負けるみたいで悔しくねーのか!テメーはッ!!」
志音の言葉で皆の脳裏に蘇るはあの時、言われた台詞。
『3人揃わないと、何も出来ない様な奴等』
『3人一緒じゃなきゃ、役に立たないってーんなら、3人揃って仲良く死ね』
その言葉を思い出して、風鵺を抜かした5人の表情は渋い顔になる。そんな5人を見ながら、枝折翔は続ける。
「お前等は其れで良いのかよ!?俺は絶対イーヤッダッね!バカでもOKさ!でも俺、コレだけは引けねぇ…アディオス!!」
風鵺に感化でもされたのか、言葉遣いが、少々お馬鹿っぽく、本来の志音らしくないブレた口調で、そう宣言して、ダッと背を向けて走り出そうとする…が、ガシッと喧花に頭を捕まれ、難無く其れは阻止される。
「ンギャッ!?あにすんだ!俺はノンストップなんだよ!!」
頭を掴まれてるせいで進めない癖に、それでも手足をバタつかせて突っ走ろうとする志音を見て、喧花は口元を三日月形に歪めて笑う。
「…確かに、完全勝利しなきゃ、意味ねーな。」
「なら、まず、負けを返上しなければ、ならないね。」
「お前等…――――、」
「志音、とっとと済ますぞ。」
「風鵺、帰る為に脱出しましょうか。」
「OUI☆むしろ、そっちメインで!!」(訳:ウイ=はい)
「お前等も……、」
「フフッ、決まりだね♪」
6人して人外達が、聳え立って居る上を見上げて、見据える。
「「「!!?」」」
「へぇ…」
「ほぅ…」
「ふぅん…」
あんな目に遭わされても、まだ立ち向かうかと、3人は思わず、感嘆の声を上げる。
6人が、スッ…と腕を持ち上げ、拳を作って中指だけをピシリッと立たす。
「「「「I'LL KILL YOU!!」」」」(訳:ブッ殺してやっから、首洗って待ってやがれ!!)
And that's all…?
(それでおしまい…?)




