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その7






ドンツ

「焦ってんのか?」



 自警団での索敵中に、ドンツが言った。



ヨーク

「何の話ですか?」


ドンツ

「バジルのことだよ」


ヨーク

「焦って無いです。急いでますけど」


ドンツ

「アネスちゃんを泣かせたらしいな?」


ヨーク

「……チクったのか」


ドンツ

「反省してねえな? お前」


ヨーク

「反省ならしてますよ」


ヨーク

「次はヘマしない。もっと上手くやります」


ドンツ

「お前なぁ……」


ドンツ

「アネスちゃん泣かせんなって言ってんだよ。分かんねえかなぁ」



 ドンツは頭をかき、ヨークから離れていった。



ヨーク

「…………」


ヨーク

「女泣かせんなとか言ってたら、強くなれねえだろ?」


ヨーク

(けど……)


ヨーク

(次のやり方は、もう少し考える必要が有る)



 ヘマが続いている。


 二度、大怪我をした。


 一度目は死にかけた。


 ヨークも死にたいわけでは無い。


 アネスを泣かせたいわけでも無い。


 ヘマをした以上は、行動を改めなくてはならないとは思う。


 だがそれは、リスクを完全に排除するという意味では無かった。


 自分の可能性を試さないくらいなら、死んだ方がマシだ。


 そう思っていた。


 やり方への反省は有るが、生き方への反省は無かった。


 深夜、ヨークは懲りずに家を抜け出した。


 そして、村の南西に有る森に向かった。


 魔術師のクラスで赤狼を狩ることに、限界を感じていた。


 他の魔獣を探すつもりだった。


 ヨークは真夜中の森をさまよった。


 やがて、ヨークはグリーンスライムと遭遇した。



ヨーク

(スライムか……)


ヨーク

(崖の件で脱線したが、クラスを変えたのは、スライムの弱点を突くためだった)


ヨーク

(赤狼以外の魔獣に、『敵強化』を使ったことは無かったな)


ヨーク

(慎重に試していこう)


ヨーク

(『敵強化』『戦力評価』)




_________________________



グリーンスライム レベル4


 耐性 斬撃 刺突 打撃 水 風 土


  弱点 炎


_________________________




 ヨークは控えめにスライムを強化すると、そのレベルを見た。



ヨーク

(耐性がやけに多いな……)


ヨーク

(動きは……?)



 ヨークはスライムの挙動を見守った。


 知性が低くとも、魔獣である以上、人間への殺意を持っている。


 スライムはズルズルと地面を這い、ヨークへと向かってきていた。


 ヨークを捕食するつもりらしかった。



ヨーク

(レベル1の時より少しだけ速くなった感じか?)



 ヨークはそのままスライムの動きを見守った。



ヨーク

「っ!」



 距離が詰まると、スライムはヨークに飛びかかってきた。


 ヨークは即座に後ろに下がり、飛びかかりを回避した。


 それからさらに後ろに下がり、飛びかかりが来ない距離まで退避した。


 赤狼の攻撃と違い、かなりの余裕をもって回避することが出来た。




ヨーク

(レベル1の時よりは速いんだろうが……)


ヨーク

(赤狼より遥かに遅いし、動きもワンパターンみたいだな)



 距離をとって少し待ってみたが、新たに攻撃が来る気配も無い。


 飛びかかり以外の攻撃手段を持っていない様子だった。


 これ以上の観察は無意味か。


 ヨークはそう考えると、杖をスライムへと向けた。




ヨーク

「赤破」



 炎呪文の一撃でスライムは焼失した。



ヨーク

(レベル4のスライムなら一撃か)


ヨーク

(次はレベル5で行くか)


ヨーク

(一つずつ上げて様子を見るとしよう)



 ヨークは十分な距離を置くことを念頭に置き、スライム狩りを開始した。




_________________________



グリーンスライム レベル11


_________________________





ヨーク

「赤破」



 レベル11のスライムが、ヨークの呪文一発で焼失した。



ヨーク

(一撃……か……?)


ヨーク

(弱点を突いたとはいえ……俺と同じレベルなのに……)



 これならいくらでも狩れそうだ。


 だが、上手く行き過ぎて、落とし穴が有るような気もした。



ヨーク

「…………」


ヨーク

(今日はここまでにしておくか)



 情報無しで突っ走るのは危険だ。


 人から話を聞いた方が良い。


 そう思ったヨークは、一旦引き返すことにした。


 部屋に戻り、眠った。


 翌日、自警団の見回り中にドンツに話しかけた。



ヨーク

「スライムって弱いんですかね?」


ドンツ

「どうしたいきなり?」


ヨーク

「素朴な疑問というやつですよ」


ドンツ

「素朴て」


ヨーク

「どうなんです?」


ドンツ

「嫌な相手だと思うぜ」


ドンツ

「斬っても突いても中々死なねえし、飛びつかれたら引き剥がすのも一苦労だ」


ドンツ

「赤狼と戦ってる方が気楽だな。向こうは斬れば死ぬしよ」


ヨーク

(そうなのか……)


ヨーク

「俺は赤狼の方が辛い気がするんですけどね。素早くて……」


ドンツ

「魔術師だとそうだろうな」


ドンツ

「魔術師はスライムの天敵みたいなもんだからな」


ヨーク

「天敵……ですか」


ドンツ

「ああ」


ドンツ

「逆に、素早い狼は魔術師の天敵なのかもしれねえな」


ヨーク

「なるほど。たとえばですけど……」


ドンツ

「ん?」


ヨーク

「前に村に来たスライム……」


ヨーク

「あいつを倒すにはレベルがいくつ有れば良いと思いますか?」


ドンツ

「3くらいじゃねえの?」


ヨーク

「そんな低くて良いんですか?」


ドンツ

「あいつは図体ばっかりでかくて、動きが鈍いからな」


ドンツ

「ジャンプが届かない距離から、弱点の魔術を連発すれば倒せると思うぞ」


ドンツ

「まあ、ジャンプ力自体は普通のスライムより有るから、そこは注意が必要だが」


ヨーク

「なるほど」


ドンツ

「おっ、赤狼が来るぞ」


ヨーク

「はい」



 ヨークは抜刀して前に出た。


 両手で剣を持ち、左上から右下へと振った。


 ヨークの斬撃が赤狼を狩った。


 一撃で赤狼は絶命した。


 その見事な一刀に、ドンツは困惑した様子を見せた。



ドンツ

「お前……魔術師だったよな? レベル3の」


ヨーク

「そうですけど?」



 ……。



 その夜も、ヨークは森へ向かった。


 ヨークはスライムを見つけると、杖をスライムに向けた。



ヨーク

「大陥穽」



 ヨークは新呪文を唱えた。


 スライム狩りのために身につけた呪文だった。


 ヨークの呪文によって、スライムの直下に大穴が出現した。


 スライムは穴底に墜落した。


 ヨークは穴の底を見下ろした。


 スライムはもぞもぞと動くだけで、為す術無い様子だった。


 魔獣狩りに最も重要なのは、地の利を活かすことだ。


 ヨークはこれまでの経験からそう確信していた。



ヨーク

(『敵強化』『戦力評価』)




_________________________



グリーンスライム レベル13


_________________________





ヨーク

「炎獄柱」



 ヨークは強力な炎の呪文を唱えた。


 落とし穴の底から炎の柱が立ち上った。


 スライムは焼失した。


 穴底に魔石が残ったが、ヨークは欲しがらなかった。




______________________________




ヨーク=ブラッドロード



クラス 魔術師 レベル12



______________________________





ヨーク

(良し……)



 このやり方は良い。


 そう感じたヨークは、同じ方法でスライムを狩っていった。





______________________________




ヨーク=ブラッドロード



クラス 魔術師 レベル16



______________________________





 森に入ってから一時間ほどで、ヨークのレベルは5上昇していた。



ヨーク

(やっと、あの時のバジルと同じくらいか)


ヨーク

(けど、まだだ)


ヨーク

(バジルはあの時よりも、ずっと強くなってるはず)


ヨーク

(それに、魔術師が戦士との喧嘩に勝つには、3倍のレベルが要る)


ヨーク

(もっと……もっと強くなってやる)




 その時、木々が揺れる音がした。




ヨーク

「……?」



 ヨークは音がした方へと進んだ。


 木の間を抜け、少し開けた場所へ出た。



ヨーク

「……!」





_____________________




グリーンラージスライム レベル6


グリーンラージスライム レベル6


グリーンラージスライム レベル6


グリーンラージスライム レベル6


グリーンラージスライム レベル6


グリーンラージスライム レベル6



_____________________




 そこには、高さ2メートルを超えるスライムが6体も群れをなしてした。



ヨーク

(ラージ! しかも6体……!)



 ヨークの気持ちが昂ぶった。


 闘争心と恐怖が混じり合ったような気持ちだった。


 それを感じたヨークは、大きく息を吸うことにした。


 ヨークの肺が空気で満ちた。


 心が少し落ち着いた。



ヨーク

(焦るな……。俺は魔術師……)


ヨーク

(スライム種の天敵なんだから)



 ヨークはヨボがスライムを倒した時のことを思い出した。


 今のヨークは彼よりもレベルが高い。


 やれる。


 やれない理由が無い。


 そう自分を奮い立たせて、杖を構えた。



ヨーク

(『敵強化』『戦力評価』)




_____________________



グリーンラージスライム レベル18


グリーンラージスライム レベル6


グリーンラージスライム レベル6


グリーンラージスライム レベル6


グリーンラージスライム レベル6


グリーンラージスライム レベル6


_____________________





 ヨークは6体のうちの1体だけをスキルで強化した。



ヨーク

「大陥穽!」



 あらかじめ決めておいた作戦通り、落とし穴で足場を奪った。


 そして、本命の攻撃呪文を放つ。



ヨーク

「炎獄柱! 二連!」



 念の為、ヨークは連発式で呪文を放った。


 二度の炎がスライムが居た位置を襲うことになった。


 強化されたスライムは、一度目の攻撃で消失した。


 何も居ない穴を、二度目の炎が焼いた。



______________________________




ヨーク=ブラッドロード



クラス 魔術師 レベル17



______________________________




ヨーク

(よし……!)


ヨーク

(何の問題も無い)


ヨーク

(このまま6体とも……っ!?)



 そのとき、スライムはヨークが予想しない動きに出た。


 残ったスライムは5体。


 4体が正方形を作り、1体を囲むように並んでいた。


 中央のスライムへと、周囲のスライムがジャンプした。


 そして、スライムが光に包まれた。



ヨーク

「何だ……っ!?」



 光が収まった。


 そして……。



ヨーク

「な……!」


ヨーク

(こいつはまさか……!)



 ヨークの眼前に、高さ8メートルは有る巨大なスライムの姿が出現していた。



ヨーク

(森の主か……!?)


ヨーク

「『戦力評価』!」




_____________________



グリーンヒュージスライム レベル48


_____________________




ヨーク

(レベル48……!?)



 それはヨークにとって、前代未聞のレベルだった。



ヨーク

「嘘だろ……」



 ヨークは杖を落とさないよう、ぎゅっと握りしめた。





某超有名ゲームをリスペクトしました。


そう……『ぷよぷよ』ですね。

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