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徒然ゴルフ

徒然ゴルフ

作者: 山高義浩

20年程前のお話…


友人の

コンペに誘われて

ご一緒させて頂いた3人。


年齢は

70歳前後

だったと思う。


夏の暑い日だった。


「今日はヨロシク

お願いします!」


「ハイ、ハイ、

こちらこそヨロシクw」


「年寄りなんで

迷惑かけますが…」


「いえ、

私のほうこそ

迷惑かけないよう

頑張ります!」


スタートホール、


クジ引きで

私がオナーである。


知らない人と

回るときは

本当に緊張する。


ましてや

コンペとなると

皆んなが後ろで見ている。


でも、


私は、


技術はないが、


虚栄心だけは、


持ち合わせている。


虚栄心だけは

誰にも負けない。


虚栄心は

鼓動の速度を

グングン上げる。


間違いなく

コンペの

スタートホールは

身体によくない。


いつものように

神様にお願いしながら

ドライバーを振り抜く!


当たった!


真っ直ぐ飛んだ!


ふぅ〜、


第一関門突破の瞬間w


よかった…。


鼓動の速度は

正常値まで回復。


続いて同伴競技者の皆様、


ポ〜ン、パ〜ン…


流石ベテランw


飛距離の差は

大体50~60ヤード。


タイガーウッズに

なった気分であるw


成る程、

タイガーはこんな感じで

いつもゴルフをしてるのか…


そりぁ楽しいわなw


ところが、

ところが、


私の打順はいつも4番手。


皆さん滅茶苦茶お上手。


ダフらない、


トップしない、


3パットしない、


そして


何より曲がらない。


兎に角

パーかボギーなのだ。


一方私は


ミスという


ミスを全てご披露する。


ダフリ、


トップ、


シャンクetc…


3人のプレーを

見てるだけで

本当勉強になった。


聞けば皆さん、


若い頃は


クラチャンの

常連だったとか…。


そりゃ

上手いはずだw


絶好の機会と思い

ゴルフの教えを

請おうとしたが、


皆さん、

ゴルフには

全く興味を示さない。


バックスイングの

上げ方を問うと、


ヒョイッと


上げて


ポーンw


バンカーショットを


問うてみても、


ヒョイッと


上げて


パーンw


という始末…


何を

問うても全て、


ヒョイッと


上げて


ポーンかパーンw


禅問答ですな。


ホールを

消化しながら

途中の茶店で一休み。


ゴルフに関しては

禅問答の御三方が

一斉に喋り始めた!


「最近出来た

○○クリニックは行ったか?」


「行った、行った。

○○先生、評判ええで」


「でも、

わしゃやっぱり

○○先生でないとな・・」


「確かに、

あの先生の

検診には愛があるな」


「そう言えば

ツムラから新しい薬

出たの知ってるか?」


「えっ!

何番や?

何に効く?」


「実はなぁ…」


延々、

病院と薬の話だ。


私の入る隙は一分もない。


というか

私の存在を忘れている。


「前が空いたので

ソロソロ行きましょうか?」


「んっ?」


私の顔を

不思議そうに

見つめている。


誰だ?

こいつは…


暫くして

思い出してくれたようだ。


それからも延々、


薬の処方や

病院の評判やら

3人でワイワイ話してる。


要するに3人は


パーパットなんかよりも


血糖値や

肝数値の方が

大事なのである。


血糖値や

肝数値は

命を奪われる。


しかし、

ゴルフボールが

曲がろうが

入らなかろうが


命はとられない。


成る程、

理にかなっている。


ゴルフを始めて、


初めて味わった


感覚であった。


最終ホール、


珍しく

3人のドライバーが

初めて曲がった。


「いやぁ~、

ついつい

力んでしもうた〜w」


「やっぱり、

最後ぐらいは

飛ばしたいからなぁ〜w」


「わしらも

若い頃は

飛んでたんやで〜w」


いたずらっぽく笑った

3人のジェントルマン…


私は今年で

58歳になる。


ゴルフは

相変わらず。


ドライバーは

真っ直ぐ飛ばないし

パターも入らない…


3人の

ジェントルマンが

私に囁きかける…


「お兄ちゃん、

大丈夫。

命までは

とられりぁせんよw」


「それより、

ツムラの◯◯番、

飲んでみたか?」


メデタシ、メデタシw

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