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苦く甘い記憶へ
画面を見ていたら、高校時代のことを思いだし、そのあまりの不出来さに顔が火照った。初恋というものがどんなものか、中学生の時はあんなに興味津々だったのに、それを知った時は愕然とした。自分が思い描いていた初恋は、なんて子どもの読む少女文学みたいだったのだろうと、痛感した。
私は、先生を好きになった。
ー教室でテスト勉強していたら、なんだか喉がかわいた。一階の購買にある自販機に100円を握りしめていく。
テストまであと3日。初日に古典があるだなんて、先生たちも非情だ。さっきも古典単語を見返したけれど、全く覚えられる気がしない。でも、暗いことばっかり言っていられない。
がこん、と音をたてて自販機が紙パックのミルクティーを出してくれた。ベンチに座り、ストローで飲む。
と、同時に、ガラッと購買の戸が開いた。
「小田さん?お疲れ様」
「須藤先生」
少し痩せぎみな地学教師は、私に少しびっくりしたように目を見張ったあと、ふわっと私に笑いかけて自販機へと向かった。どれにしようかなぁ、とちょっと唇をかんで考え込んで先生はボタンを押した。