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真の名  作者: ら+の=くま
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旅行の準備

ご愛読ありがとうございます。8話目になります、ごゆっくりどうぞ。

「え?買い物ですか?」

勉強会もスムーズに始まって3日目。

3人で昼食を摂っているとき、いきなり先生から真奈さんの普段着や旅行に必要なものを

一緒に買いに行けと言われたのだ。

(なお『外出』だとややこしいので『修学旅行』または簡単に『旅行』で通るようになった)

「そうだ。真奈君の持参してきたものは最低限のものだし、やはりここのものと違って

 他の人の目から少し奇異に写ってしまうものもあるかも知れん。

 それに、女性にとって服飾品はあればあるほど良いものなんだぞ。

 いずれにせよ、旅行に必要なものまでは持ってきてもらってないから、買わねばならんだろ。

 ビーチリゾートなども行くんだから水着や遊び道具なんかも欲しいものはじゃんじゃん

 買っていいと言われているしな。

 そうすると当然荷物持ちが必要になる。だろ?」

「待ってください、荷物持ちは僕がやるのは構いませんが、女性用の衣服や水着を選ぶのでしたら

 当然女性が一緒のほうがいい、、、」

と、言いかけたところを先生にさえぎられた。

「おーっと、すまんが私は忙しい、二人で行ってきてくれ」

真奈さんの方を見ると「水着、、、」とかぶつぶつ言いながら何やらもじもじしている。

「ほら、僕と一緒じゃ却って選びにくいんじゃないですか?」

と、先生に再考を促すも

「あ、んーん、ニャン君で、いいよ、お洋服とか、選んでくれる?」

と、今度は真奈さんからokが出てしまった。

「なら、決まりだ。長老から預かっている特別なカードを貸してやるから、好きなものを買ってくるといい」

そんなカードがあったのか。普段の食事とか、何だか妙に豪華な気がしていたのだ。得心した。

「でも、真奈さんの姿をお店や通りがかりの人とかに大っぴらに晒しちゃっても大丈夫なんですか?」

「ん?そんなことに気づいていない私だとでも思っていたのか?

 とっくに真奈くんには【身内以外からは違う顔に見える】魔法を施術済みだぞ。

 さらに言うなら、『この夏休みは遠方に住んでいる親戚の子を預かっている』

 という話を方々で吹聴してある。」

我が師匠(いや、普通の先生ですが)ながらなんと抜かりのない、、、

ここまでお膳立てしてもらった上、真奈さんのokが出ている以上、僕に拒否権はない。

「はい、わかりました。先生の午後の講義が終わったら一緒に行きましょう」

「よろしい、真奈くんも買い物に行くからと浮かれてないで、勉強会には身を入れて聞いてくれよ」

そこで、真奈さんは頷きながらも小さく手を挙げる。

「あの、すみません、ビーチリゾートと仰ってましたが、どのようなところに行く予定なのでしょう?

 買い物の参考にきいておきたいかな〜なんて」

先生は僕の方を向いて

「それはニャンパネルラ君から頼む」

と一任された。

「はい、ビーチリゾートというより水着が必要なシーンという観点で言いますと、

 2日目のキニャワン、キニャワンでは泳がないのですが、ここで乗り込む豪華客船『クイーンリリーナII号』にはプールがついてます。

 次が3日目のルルーノホ。イワキキビーチは世界でも有名なビーチです。

 そして4日目のシンハー、ここで泊まるロイヤルガーデンホテルは屋上にあるプールが有名です」

(自分で説明しておいて何だけど5日の旅程中3日もあるんだな)

「以上です」

僕の説明を聞くと真奈さんがちょっと考える仕草をしたあと、もう一度手をちろっと挙げる。

「先生、もう一つ質問があります、水着は2着買ってもよろしいでしょうか?」

「何だ、そんなことか、もちろんいいに決まっている。欲しいものはじゃんじゃん買えと言っただろう?」

(自分の懐が傷まないと、人っていうのはここまで太っ腹になれるんだな)

「あ、ありがとうございました。私も以上です」

「では、午後に向けて各自準備を、ニャンパネルラくんは片付けを頼む」

すっかり洗い物係になっている。まぁ僕は午後することないので素直にきいておこう。

「いつもありがとうね、手伝おうか?」

すると真奈さんが気を遣ってそう言ってくれたのだが

「いえ、僕は午後することないし、ここの台所もすっかり慣れちゃったし、大丈夫だよ。

 ありがとね、気持ちだけ受け取っておくよ」

「うん、わかった。じゃぁ、予習でもしておこうかな」

真面目だなぁ、と思ったが真奈さんなりに今自分が置かれている立場というものとまっすぐ向き合おうとしているのかも知れない。

「がんばって」

とだけ言い食器を重ねて下げていく。


午後の講義が終わると、先生は用事があるから、と少し急ぎ目に出ていってしまった。

「ニャン君おまたせ、いつでも出れるよ。あれ、先生は?」

講義のあと、先生はリビングでくつろいでいることが多い。

「うん、さっき出てった。いつ戻るかも聞かなかったな」

真奈さんがちょっと心配そうな顔になり、

「戸締まりとか大丈夫なのかな?」

と聞いてきたが、それは心配ない。

「玄関の鍵は僕がスペア持ってるし、それ以外はちゃんと魔法で先生しか開けられない

 というより出入りできない(?)ようなシステムになってるから。

 ここら一帯じゃ、『警察署よりも硬いセキュリティ』で有名だよ」

実際に有った話では2階の窓が空いていることに気づいた空き巣がいた。

そいつが入ろうとしたところ、窓が突然閉まりがっつり腰を挟んで離さない。

動けなくなった空き巣は結局自分で警察を呼ぶはめになった。

なんてのがある。

「あはは、そっか、なら大丈夫なのかな、流石先生、泥棒さんかわいそ、うふふ」

うん、この話初めてきいたら笑っちゃうよね。

「安心したところで、そろそろ出かけようか」

「うん、荷物持ちさん、よろしくお願いします」

やっぱり立場はパシリ寄りなのか、、、ま、いいけど。

僕らはカードとカバンを持ってることと玄関の戸締まりだけ確認して街へと出かけた。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。またのお越しをお待ち申し上げます。

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