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黄昏の神女と執行者  作者: 神木 蒼空
第1幕 少女と記憶を失った剣士
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6章―9 対抗心

 キレナたちは囚われているはずの生徒達へ向かって走り出した。頼りになるのは神素の反応。何人も集まっている場所なら反応は必然の強いものになる。

 反応はそう遠くない場所にあり、直ぐに着いた。

 だがそこには。


「そこをどいて頂けませんか」


 黒外套の女の姿があった。もっとも先の戦闘でキレナによってその外套は裂かれているが。

 後方には生徒達が囚われているであろう部屋を確認できる。


「彼女たちにもう用はないでしょう」

「それはそうだけど、後処理をしないといけないのよね。このまま逃げるってのも癪だし」


 面倒だとは思いつつも、キレナとは決着をつけておきたいという対抗心。

 そして(まさ)ったのは対抗心だった。


「それでは仕方がありません。二人はあの子達をお願いしてもいいですか?」


 槍を構えながら後ろにいるフィーナとセラへと言う。


「「お任せ下さい!」」


 力強い二人の返事に微笑みで返す。

 結界は既にソルファが壊している。二人も神光術を使えるのなら不安材料は減る。多少の干渉であればなんとかなる。

 走っていく二人を見送り視線を戻す。その眼光は相手を怯ませるような鋭さを持っている。

 思はず後ずさりする黒外套の女。あれ以上に強い視線を幾多にも浴びてきたはずなのに、キレナの眼差しはそうさせるに十分な迫力を放っていた。


「あの子達も見ていないことですし手加減なしでいくとします」

「大口を叩いちゃって。さっきのは油断していただけ。私ほんとは強いよ?」

「あの子に、セラに手を出したのです。簡単には終わらせませんよ」


 殺気立った視線を感じた次の瞬間、キレナは女の前にいた。

 瞬間的に収束した風の神素を解放することで爆発的な速さを得る技術。

 音さえ置き去りにしたキレナにけれど女は反応してみせた。

 半ば本能的な反応はしっかりとその拳(、)を槍に合わせてみせた。

 衝撃を上手く受け流してみせる。

 危機を察したキレナは攻撃を中断し後方へと飛び退る。直後彼女のいた場所をもう片方の拳が空を切る。


「拳闘士の方でしたか」

「いや、私は基本サポートというか後方から戦うタイプだから違うよ。これはいざと言う時の為に身に付けたもの」


 そして息を整えたかと思うと間髪入れずにキレナに飛びかかる。

 ナックルダスターをはめた手が当たる範囲外へワンステップで避ける。しかし避けきったはずのキレナの全身を激痛が襲った。

 堪らず片膝をついてしまうが同時に風の障壁を展開して隙を埋める。


「どう全身を駆け巡る激痛と痺れは」


 してやったりという表情でキレナを見る黒外套。

 避けきったはずのキレナを襲った正体はナックルダスターを伝って放たれた雷系統の神光術。

 もともと物理的に当てる気はなかった。避ける先を予想して神光術を放っただけのこと。

 キレナが突っ込んできてナックルダスターを封じられたなら通じなかった攻撃だ。

 遠くからでも一瞬で距離を詰められる彼女なら、安全策をとって避けるという読み。たった一度の攻防だけでそれを考え成功させる、 黒外套の女が只者ではない証拠。


「まさかそうくるとは想定外でした」


 相手がナックルダスターをはめているからといってただ殴るだけでなく、神光術を使わない保証なんてない。

 自分の浅はかさに歯噛みする。

 落ち着いてきた体を立たせる。その間も女は攻撃せず、余裕の笑みを浮かべている。

一つ深呼吸。それで意識を深層へと(いざな)う。

 種が分かれば対処するのは安易だ。

 もちろんそれ一辺倒ではないだろう。されど今の彼女には。

 佇むキレナの姿は満身創痍に見えてまるで隙がない。それから右手に持つ槍を一閃。

 しかし何も起こらない。


「やけにでもなった?」


 そう嘲るように黒外套の女が笑った直後、何かがその腕を抉った。


「えっ?何、これ」


 そして一瞬遅れて追いついた痛みに悲痛の声を上げた。多少痛みに慣れているのか叫び声とまではいかない。

 純粋で研ぎ澄まされた神素が為せる音がなく、それでいて暴風となりうるキレナの神光術。およそ学生の可能な技術ではない。


「セラに危害を加えようとしたのです。然るべき報いを受けて頂きます」


1週間ぶりとなってしまいました…

自分の遅筆と時間の取り方の下手さに心底反省しています…でも色々と忙しいのです!(言い訳)

反省はここまでとして。

ブックマーク等よろしくお願いします。次こそは早く!

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