6章―4 閉鎖空間
今回も後書きにて!
二人は会場の廊下を駆けていた。
これが一連の事件と関係があるなら、フィーナたちに限らず、他の生徒にも同様の危険が付き纏う。
会場の外へ出たところに一人の人物が立っていた。
「事情は大まかには把握してる。私も一教師だからね、いくら生徒会長と言えど危険かもしれないことに晒すわけにはいかないよ」
サレカはいつもとは違う真剣な眼差しでキレナに言う。
「でも、セラは、セラ=フェルディルは…!」
「うん。君たちの事情も多少は知っているよ。教師陣の一部だけが知っていることだけどね」
「だったら…!!」
「だからね、正式な教師でない人が勝手に連れていったのだったら仕方がないかなって」
食い下がるキレナに対して、用意していた返答をする。その的になる人物には何も伝えていないが。
「俺に犯人紛いのことをしろと?」
「別にそうとは言ってないんだけどね?」
連れて行ってやって、と言っていることが誰にでも分かる表情を浮かべる。
隣りにいるキレナにも同じ眼差しを向けられたら答えは一つだけだ。
「わかりました。俺が責任を持ってキレナ様を連れて行ってしまいましょう」
「ありがとうございます!」
キレナはソルファに丁寧にお辞儀をする。
「時は一刻を争います。急ぎましょう」
二人は全速力で駆け始めた。
「…んっ…ここは…?」
フィーナは暗く湿っぽい部屋で目を覚ました。
(確か控え室に誰かが来て)
そこで記憶は途切れている。
フィーナはどうしてここにいるのかは分からないが、とりあえず周囲を確認することにした。
(ソルファに言われたわね。思いもよらないような事態に陥った時はひとまず落ち着くこと)
暗くてよく見えないため、壁に仄かに灯っている松明だけが頼りだ。
後ろを向いて手を伸ばしてみると壁に当たった。材質は、
(何これ? 柔らかくも固くもない…)
未知の材質で出来た壁はおいておくことにして、広さを把握するために反対側へ目を凝らす。
壁と壁の幅は3メートルもない程か。一つ気になったのは、人のシルエットが薄らと見えることだ。
ゆっくりと近づく。
そこにいたのはセラだった。
(なんだ、セラか…。でも何で彼女もここに?)
二人一緒ということは何かしらの共通点があるからだろうか。
考えられる可能性はいくつかあるが、どれも決定打に欠けるとフィーナは考える。
眠っているセラを起こそうと体をさする。
「ふわぁ……」
ゆっくりと体を起こすと可愛らしいあくびをした。
そして辺りを見渡し、フィーナの脚が視界に入ったところで視線を上げる。
フィーナを数秒見つめたあと、状況を理解したのか急に立ち上がった。
「ここはどこ!?」
「わからない。わたしもついさっき気がついたばっかだから」
セラは自分なりの落ち着く方法である深呼吸をした。
「取り乱してごめんない」
「謝らなくていいよ。急にこんな状況に陥ったらそうなるよ」
ありがとう、とひと言告げる。
そして、まずは、と呟き、フィーナが行ったことと同じことをひと通り試すと、フィーナの前へ座った。
「あなたも知らないうちにここにいたの?」
「そうだよ。わたしの記憶の最後は控え室でいたことなんだけど、セラさんもそう?」
「そうね……そうみたい」
少し考える間があってから同じ状況のことを告げる。
それからセラは一瞬真剣な顔付きになる。
「神光術は使えないみたいね」
「そうなの!? じゃあどうするれば…」
神光術を忘れていたフィーナだったが、使えないのなら意味は無い。
「そういえば…」
神光術が使えないということからフィーナはあることを思い出した。
「学院の書庫で、神光術を使えなくする結界があるって読んだ覚えがあるよ」
「そう。わたしも知らない神光術ということは上位に位置する神光術かもしれない。そこまでするということは」
そこまで考えたところで恐怖から思わず身が震えた。
突然暗い部屋に連れてこられ、神光術を使えない結界を張り、外との連絡を絶つ。
フィーナの考えていた最悪の可能性。
誘拐だ。
お久しぶりです。
長らくお待たせしてしまいすみませんでした!といっても内容は短いのですが…
Twitterをフォローして下さっている方は(いてもだいぶ少ないと思いますが)は事情がわかっているかもしれませんが、最近全然書く意欲がわかないんですよね。
他にやりたいことが多く(最近趣味が増えた為)集中して書くということが出来ていません。
しかし、新年度に入って心機一転ということでまた再始動していけたらいいと思っているので、今後ともよろしくお願いします!




