6章―1 暗がりの協力者
埃っぽく暗い光一筋すら射していない倉庫。
静寂に満ちたそこの中央の開けた場所、何もなかった空間に突如として人影が現れた。
周囲と同じように暗い色の外套を羽織った人影が二つ。少しでも目を離せば闇へ溶けてしまいそうな印象を持たせる。
見かけだけでは年齢、性別の判断は出来ない。
「まだ見つからないのか」
「そうわね。怪しい子は当たってみてるんだけどね」
前者の落ち着いた低い声は男、後者の明るく高い声音と口調は女だろうか。二人は多少声を潜めるようにして話す。
「ふん、まぁいい。…そろそろ協力者からの情報が来るはずだからな」
直後、彼らの後方からタタタといった音が聞こえてきた。それは徐々に近づいてくる。
二人はそれぞれ外套の内側に忍ばせている武器を瞬時に取り出し警戒態勢をとる。それと同時に光系統──支援性──【暗視】を発動する。
その速さは熟練者のそれだ。
この倉庫に続く通路を駆けてきているのだろう音は抑えられているが、二人にはしっかりと聞こえている。それはすなわち相手が隠密行動を取る気がないということを意味する。
ついに視界に捉えたその正体を確認して、態勢をとく。
「そんな身構えないで下さいよ」
その声は足音の正体、二人の前方にいる一匹のネズミから発せられた。その目は赤く光っている。
「すまない。使い魔を使う者はあまりいないものだからな」
「いいですよ。ではさっさと済ませてしまいましょうか」
協力者の使い魔であるネズミは背負っている紙をとるように指示をする。男はそれをさっと取り紐を解く。
「その資料の二人が最後の怪しい子たちです」
そこには明日模擬戦に出場する会場、クラスやその人物の容姿について記述されていた。
「感謝する。これで我らの目標へ一歩近づくことだろう」
声音は至って落ち着きを保っているが不気味な笑みは抑えられていない。
「くれぐれも穏便にお願いしますよ」
水を差すように協力者は口添えする。
「大丈夫。私たちにとってもその子は大切に扱わなければならないしね。それに隠密行動は得意だから」
それを聞いてネズミは安堵のような様子を見せたあとスタタと素早く去っていった。
外套を羽織う二人は目で合図を示したあと、闇に溶けるように消えていった。
残ったのは静寂────ではなく、何か壁を叩くような物音だった。
短くてすいません!
テストも近いため次回も2週間後になるかもしれませんが、ご了承ください。
文字数は頑張ります……




