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黄昏の神女と執行者  作者: 神木 蒼空
第1幕 少女と記憶を失った剣士
30/49

5章―3 初戦決着

「先手必勝!」


 開始するやいなやカザラは神素(しんそ)(まと)わせた足で地面を蹴った。右手に持つ模擬戦用の剣ですぐに決着をつけるつもりだ。

 フィーナは落ち着いて剣を構える。相手がこう仕掛けてくることは予想済みだからだ。

 控え室でのソルファとの作戦通り相手は速攻を仕掛けてきた。平民クラスなのだから速さでは負けないという考えは想定の範囲内。

 上段から振り下ろされる剣をフィーナは下から迎え撃つ。鉄製の剣ゆえ金属の打ち合う衝撃が音高く響き渡った。

 力で負けたのはカザラの方だった。反動と驚愕に襲われ、その目はかっと見開かれる。

 会場中に響き渡った金属音の余韻が残る中。観客席にいた生徒や近くに住む住民、国からの来客の心が一致する。


「「平民クラスが貴族クラスに打ち勝った!?」」


 驚きを(あらわ)にした観客席の声がシンクロして響く。

 周りの反応を見てソルファは心中ガッツポーズをする。

 さあ、稽古の成果を見せるのです!



 予想外に弾かれたカザラは一度距離をとる。しかし休む暇はない。

 カザラへとすかさずフィーナは地面を蹴り切り込む。ソルファの教え通りだ。相手が怯んだらその隙をつき一気に近づく。ほとんどの人は反応することはできない、もしくは間に合わない。

 この場合は後者だった。

 最速で振り下ろされる一閃に反応を示すもその剣筋は間に合わない。

 スッと肌を掠める音。


「痛っ!」


 その声が聞こえてからまもなく勝敗が審判により告げられた。一瞬の出来事に審判でさえ驚き反応が遅れたのだった。

 遅れたのは審判だけでなくフィーナもだった。自分のしたことがいまいち把握出来ていなかったため審判の宣言を聞いてから、やっと勝ったことに気がつく。


「やった!勝てた!!」


 満面の笑みで勝利を噛み締めるように実感する。自分の力で掴み取った勝利はフィーナにとっては初めてのものであり、その相手は貴族クラスの生徒なのだ。これが喜ばずにいられるはずがない。

 会場中が熱狂に包まれる中、ソルファもまたフィーナの勝利を喜んでいた。格段と成長している彼女なら必ず勝てるという期待にしっかりと応えてくれた。


「今のはすごかったね! まさかあんなにフィーナちゃん速くなってるなんて。まだ完璧とは言えないけど神素の使い方が一年生の中でもトップクラスじゃない?」


 隣に座るサレカもまた熱狂している一人であった。


「あれこそ本来のお嬢様の姿です。今までは神素の制御と剣の技術がまだ足りなかっただけだったのです」


 フィーナは歓喜する前でカザラは項垂(うなだ)れていた。平民クラスの生徒に負けたという事実が受けいられないのか、じっとしたまま動かない。

 そこへフィーナはゆっくりと近づきどうするか考えた挙句(あげく)、手を差し伸べた。

 気配を感じ取ったのか、頭をあげたカザラは差し出された手を目に留める。ゆっくりと自らの手を上げた彼女は、勢いよく手をフィーナの手へと向かわせる。

 (はた)かれるのかと思われたその手はしっかりと握っていた。


「…ありがとう」


 そっと呟き立ち上がる。その目は涙ぐんでいるようにも見える。


「勝てると思ってたけど負けちゃったか」


 手を離し、天を仰ぐように見上げる。それは次の言葉を探しているようにも見えた。


「すごくいい動きだった。平民クラスの子だからってわたしあなたのこと甘く見すぎてた。そんなの戦う相手に失礼だよね」

「ううん。そんなことないよ」


 悔しさを微笑みで隠すようにしていうカザラが試合中の彼女の気迫とは全然違うことからするに、普段は大人しめの子なのだろう。

 そんなふうに感じたフィーナはやさしく言葉を返す。


「ありがとう。また機会があれば再戦したいな」


 そう言って先程とは逆に、手を差し出したカザラの手をフィーナはとる。

 それを見ていた観客の一人が拍手をして、それが呼び水だったように会場は拍手喝采となった。

 



 


早く投稿するといいながら遅くなり申し訳ない!!

高校関係のことやいろいろとありましてあまり時間が取れませんでした…。

次こそは早く!と言いたいところですがまだ遅くなるかもしれません。

なるべく早く出していくようにはしていきたいと思いますのでよろしくお願いします!!

また今回もあまり長くなくすいません!

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