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黄昏の神女と執行者  作者: 神木 蒼空
第1幕 少女と記憶を失った剣士
24/49

4章―1 神素の目覚め

「んっ………」


 (やわ)らかく暖かな朝の光が部屋に差し込む。

 暦上では春も後半へと差し掛かっている。

 ソルファは薄らと寝惚(ねぼ)(まなこ)を開く。するとフラッシュバックするかのように鮮烈で(まばゆ)い光が入ってくる。


「しまった、寝てしまって……!」


 一晩中、徹夜で様子を見ているつもりだったのに寝てしまうとは。神素共有(ソーシアス)による疲れがあったのかもしれない。とソルファは結論付ける。


 差し込む陽光から大方の時間を予測。時間は七の時といったところ。

 遅れて重要なことに気づいた。

 ベッドにフィーナの姿を確認することが出来ない。

 どこへ行ったのか、探しに行こうと立ち上がろうとする。


「っと」


 しかし上手く立ち上がれず、よろけて倒れそうになった。バランスをなんとか保ちそれは阻止する。

 幾ら疲れが溜まっていたのだとしても流石にこうなることはないだろう。果たして何が原因か。

 答えはすぐに解明されることとなった。


「みんな、ほら見て!」

「わあ! お嬢さますごいです!」

「これをこっちに───きゃっ!」

 

 窓の外から聞こえた声にひとまず安堵(あんど)するが、間を開けず何か起こったのかと不安が(つの)る。

 次こそはよろけることは無く、窓から身を乗り出す勢いで顔を出す。


「お嬢様大丈夫ですか!?」

「あ、ソルファ、先生! 起きたのね」


 フィーナは服についた草を(はた)き落としつつ、立ち上がる。

 ソルファは少しでも早くフィーナの下へ行こうと、階段を降りて玄関からでていく時間さえ惜しんで窓から飛び降りる選択をした。

 フィーナの部屋は二階に位置しているため然程(さほど)の高さはないが、着地の瞬間足元に風を起こして、軽やかに地面に着いた。

 その数瞬の動作にメイドたちは感嘆の声をあげたり、「華麗だわ…」という声も聞こえた。


 無駄なことをしただろうかと思いもしたが急ぐということが目的だったため気にしないことにした。

 フィーナはというと羨望(せんぼう)という眼差しでソルファの足元へ目をやっている。


「ひとまずお互い失敗がなくて何よりです」


 フィーナの身体(からだ)に外傷といったものがないことと神素(しんそ)の繋がりを確認しながら、ソルファは微笑んで言った。

 ついでに服の端についている草を風で払ってやる。


「うん。で、早速稽古(けいこ)をしたいのだけど」


 明るい声で、待ちきれないという心情がひしひしと伝わってくる。

 

「俺もすぐそうしたいところなのですが」


 ソルファは屋敷の方へと目を向ける。


「お嬢さま、朝食の準備がもうじき終わりますのでそろそろ」


 ソルファが目を向けたとほぼ同時にメイド長のリルノが伝えに来た。


「という事だそうなので、先に朝食をとってからにしましょう。そうしなければ体も満足に動かせません」

「そうね、わたしもお腹がへったわ」


 フィーナはソルファの提案にうなづいた。


「みんなも早く配膳を手伝ってくれない?」


 二人が歩み出そうとした時、リルノから一見助言を求めるだけの声であるが、声のトーンが威圧があるような声が外のメイドたちへとかけられた。

 ソルファの窓からの飛び降りに関して何やら話していたメイドたちは空気が一変し、たちまち逃げるように駆け足で屋敷内へと入っていった。


「お嬢さま、ソルファさんも中に入って少々お待ちを」


 そう言い残し、リルノも厨房の方へと歩いていった。

 ソルファとフィーナは目を見合わせ、自分たちも何かあった時は気をつけようと思ったのだった。

 ソルファは、あれで自分と同じぐらいの年齢なのだろうか。それにしてはとてもしっかりしているとも思った。

投稿遅れてしまい申し訳ございません!

ちょうどテスト期間中でありまして、この話の執筆中もテスト期間でございます。

二学期の最後の期末テストはとても成績に関わるので…。

今回は前回よりは僅かばかり長めでしょうか。

感想いただけると嬉しいです。

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