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黄昏の神女と執行者  作者: 神木 蒼空
第1幕 少女と記憶を失った剣士
20/49

3章―4 覚悟

 屋敷に帰って夜。ソルファは準備に取り掛かった。メイドたちに見られない場所が必要なため、彼女たちの寝室とは正反対に位置するフィーナの部屋で。

 床に魔法陣を描いていく。

 いや、現代(いま)神光陣(しんこうじん)か。


 魔法陣とは神光陣(しんこうじん)という呼称ができる前に使われていたものだ。

 魔法という呼称が用いられなくなった理由は人類の敵である『魔獣』と同じ文字が入っていたからだ。

 『神の如き光』と語った者がいた。それから『神光(しんこう)』という呼称ができ、神光陣や神光術と呼ぶようになった。


 描くのに必要なのは神素のみ。

 ソルファは左手の指先に闇色の神素を(まと)わせ記憶をなぞるように描き進める。

 この禁忌の術を使うことが必然的だったかのように鮮明に覚えている。


 フィーナはベッドに座っていた。次々とフィーナには見慣れない文字や紋章が現れてくる。

 描き終えたと思ったら、ソルファは机に向かい羊皮紙に何かを(つづ)り出した。

 

「お嬢様これを」


 数分後、そう言ってフィーナに手渡されたのは未知の言語によって綴られた七行に渡る文字列。

 しかしフィーナは読むことが出来た。意味は理解できないが。


「これはなに?」

「それは神素共有(ソーシアス)発動時に詠む言葉です」

「そう…」


 そうして俯く。手が微かに震えている。

 ソルファはその手を手に取った。


「やめますか?」

「いや、そういうことじゃなくて」


 フィーナはおずおずとこちらを見つめてくる。


「失敗したらと考えると…」


 ソルファはフィーナの手を両手で包み込むようにした。


「お嬢様、失敗なんて考えないでください。願わなければ成功しません。だから願ってください。そうすれば必ず成功します」


 力強くソルファは言った。

 これは自分自身に向けて言ったものでもあったのかもしれない。

 失敗した場合、その代償を伴うのはフィーナだけではなくソルファもなのだから。

 

「そうね。わたしが願わなくて誰が願うのよ!」


 ソルファの言葉に勇気づけられたか、フィーナはいつもの調子を取り戻した。

 


 さあ───これが物語の幕開けとなるのか。将又(はたまた)、悲劇の終幕のとなるのか。


 審判はいま下される。

 

今回は短かったですが、またすぐに投稿します!

遅くなってすみません!

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