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1-4転生魔法使い

パーティ結成から1日。皆思い思いに過ごし、今日に至る。いや、思い思いに過ごしすぎたやつら3名。

「事情を聞かせて欲しいんだが……」

「いやだから、みんなたまたま魔法使いに転生しちゃったんですよ。」

何も無かったかのように平然と答えるのはメイだ。

ナツは心が読めるだけある。俺の本気の怒りに閉口し何も言わない。メグミは相変わらず何も言わず無気力な顔つきでじーっとこちらを見ている。

「ちなみに次転生できるのは?」

「5年後です。」

「あーーー!なんでだ!後衛4人のパーティなんて聞いたことないぞ!」

これにはメグミも驚きビクッとした。当たり前だ。後衛4人は致命的すぎる。3ヶ月魔法使いをしただけあって後衛職の弱点も把握している。

後衛は遠くから攻撃できるため安全のように思えるが、距離を詰められると攻撃することが出来ないため高速移動するモン

スターに対しては圧倒的に不利なのだ。そういう時、前衛が時間を稼ぎ後衛が行動という流れなのだが……これじゃあ話にならない。

「そもそもなんで転生なんかしたんだ!メイは凄腕ソードマスター、ほか2人も相当な腕利きだと街の皆が言った!俺は恵まれてるそう思ったよ!昨日までは!」

大激怒する俺をよそ目にふわぁぁっとあくびをするメグミ。それに俺はカチンときた。

「おい!メグミ!昨日から何も言わないがコミュニケーションとる気はあるのか!?パーティはコミュニケーションとってなんぼだろ!?

それにあくびするな!俺はお前らのせいで困ってるんだ!」

メグミは相当驚いたのか目を真ん丸くして、その後すぐに魔導書と思わしき本になにかを書き始めた。すると

『うるさいので、音量下げてください。』

メグミの頭にフワフワと緑色の文字が浮かぶ。

『私だってコミュニケーションとれます。これを使えば。これを使うために魔法使いになったのです。分かったらうるさい口を閉じてください。』

「こいつ……」

メグミと険悪な雰囲気になったのを止めたのは元盗賊のナツだ。

「そんなに怒らなくてもさ!魔法使いだって近接は出来るよ?」

「出来るか!短剣で攻撃とかは近接とは言わん!やり過ごすって言うんだ!」

「なんでそんなに怒ってるのさ?5年に一度のチャンスなんだよ?そりゃみんな転生したいよ……」

「なんで怒ってるか、お前はわかるだろう

。心が読め……」

ここで俺は何かに気づく。心が読めると自負していたナツがそもそもなんでと理由を聞く、その行為自体がおかしいのでは?

もしかして……

「ナツ……ひょっとするともう盗賊スキルは使えなかったりする?」

「使えなかったりする!」

少し申し訳なさそうに、それでも持ち前の明るさなのか慰めるために明るく振舞っているのか、ハキッと満面の笑みでそう答えた。

「じゃあお前は、近接として短剣は使えず、やり過ごしの攻撃としてしか短剣は使えないということか?」

「そういう事だ。」

相変わらず満面の笑みで答えるナツに対しては俺は怒る気も無くなった。




聞けば、皆総合大学を卒業している。

総合大学に入学するためにはリベラルアーツの単位取得が必須になっており、魔法使いのスキルは軒並み使えるようだ。しかし、上級魔法はまだ使えないらしいし、魔法の詠唱も1度魔導書に書かなければならない。レベルの上がった魔法使いは頭の中で魔法式を思い浮かべ、メグミの使うスキル、コミニを使うことでその魔法式を体の表面に浮かび上がらせる。そうすることで魔導書の中にある魔力でなく、自分の魔力を媒介し唱えることが出来る。魔導書を中継しない分魔力消費は少ないし時間が早い。要するに何が言いたいかと言うと、魔法使いはレベルが上がらなければ使い物にならないという事だ。それなのにこのポンコツたちは何も考えずただなりたいからという理由で魔法使いになった。

しかし、幸いにもメイは王都大学、メグミは明慶義塾、ナツはパビリシア大学。調べてみたところ皆冒険者の上位3%しか入れないような名門大学を飛び級で卒業していることもあり、知力は高い。案外魔法使いにも向いてそうだ。問題はやはりパーティに後衛4人。しかもそのうちのひとりは俺が誘った僧侶。4日後に来た時どう思うだろうか。こんなクズパーティには入りたがらないかもしれない。そうなったらこのパーティには回復要因もいない、正真正銘のクズパーティ。こんなので大丈夫か?


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