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エンチャンターのススメ  作者: 雨音響
1章:始まりの街『アクアステルラ』
8/13

Session8:PT

お待たせいたしました。

速いもので、このエンチャンターのススメ…を執筆し始めてから、1週間になるようです。

読んで頂いている皆様に楽しんでもらえるよう……努力してまいります。

私は、乾いた笑みを浮かべながら目を息を吸う。

「あぁ、早く『アクアステルラ』に帰りたい」

もどって、一度ログアウトしたい。

切実に……切実に思ってしまった。


そもそも、どうしてこんなにテンションが下がり、一刻も早くログアウトしたいと思うのか。


……時は遡る。


「じゃぁ、狩りにいこうか」

その言葉と共に、レーヴとルクスとPTを組み『アクアステルラ』より飛び出し、草原フィールドに向かう。


ここまでは、普通……だった(・・・)


その後は普段はどんなゲームしてるか、どんなものが好きかなんて他愛の無い話をしながらモンスターを探していた。

時折、すれ違う他のプレイヤーに挨拶をしたり時には「意外と出現ポップしないもんなんだねぇ」と二人と話しながら……。


時間にして、10分位だっただろうか?

ようやく、お目当てのモンスターと遭遇することができた。


――敵を目視でとらえる。


ゲル状のモンスターが3体。そして、豚のようなモンスターが4体。群れを成していた。

名前を確認すると、ゲル状のものはどんなゲームでもおなじみのアイツ『スライム』だった。

豚の方は、『キラーピッグ』という名前である。


敵の数は多いけど、まぁ何とかなる相手でしょう……

そう思い、2人に声をかける。


「じゃぁ、とりあえず最初は好きに戦ってみようか!」

私がそういうと、レーヴは「斬り込みは任せろ!! 」

と、私の言葉を聞き終わる前に走り始める。


「ちょっと!! ≪支援術≫アタック……スピード!! ≪付加術≫エンハンスソード」

魔法の対象範囲外に出ないうちにかけ終われるよう、急いで魔法を選択し、レーヴにかける。


……≪支援術≫アタックは名の通り、Str上昇効果。

スピードはAgi上昇効果がある。

≪付加術≫のエンハンスソードは剣装備時、剣の攻撃力をあげるというもの。


どちらもLv1故に、無いよりはマシ程度なのだけれど。


そして、冒頭に戻るが……

私が『帰りたい』と思うような事件が起きるきっかけがこの戦闘にて起こる。


レーヴが、丁度スライムと交戦し始めた頃……

ルクスが弓に矢を番える。

『レーヴが交戦しているスライム達に向けて』


……あ、ちょ。

声に出すときには遅かった。

ルクスは、レーヴを援護しようと矢を放つ。


……軌道は逸れず綺麗に、風を裂きまっすぐに飛んでいく。

だけど、その矢はスライムには当たらず……。

綺麗にレーヴの頭を射抜く。


「ちょ、いってぇぇ!」

レーヴが叫ぶ。


「あっ、ご……ごめんなさい!! 」

ルクスはすぐに謝る。


幸い、このゲームにはPTを組んでいる仲間に対して攻撃が当たってもHPが減らないようにできている。

……減らないだけで、痛覚はしっかりあるし攻撃は中断されて、のけぞってしまうのだけど。


これが、上級ダンジョンになると即、死亡デスに繋がる。

ま、今は最初の草原だし……そんなことないんだけど。

と、ふりかえりレーヴを見ると……

……スライムに飲み込まれていた。


「うぉぉ、助けてくれぇ」

本人もパニくっているようだ。


実際にはほぼダメージもない為、落ち着いて対処すればすぐに抜け出せるはずなのだが……。


「駄目みたいねぇ……」

私が言うと、ルクスは涙目になりながら謝り始める。

「レーヴごめんなさい……」


なぜか、故人みたいな扱いを受けるレーヴ。


まぁ、助けないとねぇ。

「≪風魔法≫スライサー!」

スライムを消し飛ばすように、魔法を行使する。

「ルクスも、同じように。今度はレーヴにぶつけないようにね?」


「ん……わかりました! ≪風魔法≫スライサー」

ルクスも私に続く。


あっという間にスライムのHPはなくなる。

「助かった……誤射はかんべんな……」

とにこやかに笑って、キラーピッグに切りかかる。


(レーヴのHP思ったよりも削れてるねぇ)

そろそろ、支援術と付加術も切れる頃だろう。


「レーヴもう一度支援するよ?」

掛け声とともにレーヴに魔法をかける。

「≪回復魔法≫ヒール。アタック……スピード!エンハンスソード!」

んし、これでOK


……今度はルクスに違う敵を狙うよう伝えな……い……と?

横を振り向くと、綺麗に矢を番えた弓を持ち……矢を放つルクスの姿が見える。


……いうまでもなく、矢は再度レーヴに当たる。

「いってぇ!! ちょ、まじやめろよ!」

今度は少し怒っている様だ。


ルクスは、あわあわしている。

「……ルクス。……レーヴが狙ってる敵じゃなくて違う敵を狙うといいよ。あとは、レーヴと重ならないように撃たないとね……」

そう、言うのが精一杯だった。


それでも、ルクスはハッと気づいたようで「わかりました……!」そう一言いい。

まだレーヴが接敵していないキラーピッグを狙い始めた。


「ルクスにも、支援かけとくね。≪支援術≫デックス……アタック……スピード!」


ありがとうございます……とルクスがいい力強く、矢を放つ。

その矢は、レーヴの元に飛来した様に綺麗に風を裂き、キラーピッグの頭を射抜いた。

そして、クリティカル判定になったのか……キラーピッグはそのまま光のエフェクトとなる。


「やりました……!」とルクスは笑顔になる。

「うん……その調子!レーヴを援護するときは、レーヴの動きをよく見てね……その先を予測して撃つんだよ」


そう告げると、やってみます……。

ルクスはそう言い弓に矢を番える。

凛とした姿で……放つ。


だが、そこにレーヴが重なり……

「いってぇぇぇぇ!! 」

レーヴを射抜いた。


……ある意味才能かもしれない。


その後も何度か同じことを繰り返しているうちに、段々レーヴにイライラが募っていく。

「ルクス!! たのむから射線気にしてくれ……」

「私だって、気を付けてるよ……!」


「……現に当たってるんだ!! もう少し気を付けるかいっそ撃たないでくれ」

「……わかったわよ!! 」


キラーピッグをあと二体倒すだけのはずなのに、険悪なムードになっていく。


「2人とも……周りの動きはよく見ないと……」


「「わかってるよ(ます)!!」」


……あ、これ完璧にダメなパターンの奴だ。

その後も、何度か誤射を交えながら討伐するころには……。


レーヴとルクスは完全に喧嘩状態に入り……

私は2人の喧嘩を仲裁しないといけないのだった。

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