session4:水の都
本日、2話目。
ちょっとプロットより改変してますが……もしかしたら誤字脱字あるかもです。
またわかりにくい表現があったらごめんなさい、善処します。
――水は命を象徴することが多い。
例えば、人体の約70%は水で出来ている……とか。
生まれてくる赤ん坊を体内で保護する際は、羊水というものに浮かんで発育するとか……。
身近に飲んでいる飲料でさえも、『命を繋ぐ』大事な役割を担っているのだ。
……だからこそなのだろうか?
この【GTO】の世界で始まりの街が……水の都であるのは。
【始まりの街:水の都『アクアステルラ』】
「冒険者さんの誕生を祝う……いいえ、旅立ちを見送る水の都です……都の名は『アクアステルラ』賑やかな街です。どうぞ、心行くまで楽しんでください!」
ナビゲーターAIのグリーンさんはそんなことを口し、一礼そして姿を消した。
その言葉を私は心に留め、辺りを見回す。
ゲーム内時刻は夕刻。
ログインと同時に飛び込んできた幻想的な光景に心を奪われ。
少しの間、私は「ほぉー……」と言葉を溢し……佇んでいた。
その光景をその後、SSに収めた後、私は行動を開始する。
「さて、まずは……確認しないとね」
何を確認するのか?
それは、ステータス値と現在の所有金額である。
【GTO】の世界では、職業が無くLVと基礎パラメーターがある。
キャラのステータス値にあるのは、大きく分けて6つ。
≪Str≫物理攻撃力に関係する項目
≪Int≫魔法攻撃力に関係する項目
≪Def≫物理防御力に関係する項目
≪Mdf≫魔法防御力に関係する項目
≪Dex≫命中力に関係する項目
≪Agi≫敏走値に関係する項目
がある。
1Lv毎にポイントが2ポイントもらえ、それを振り分けていく形となる。
HPとMPは固定上昇……だけど、装備やスキルによって人によって差は出るような仕組みにはなっている。
まぁ、当分は50歩100歩とみんな変わらない値のはずだけども。
「オープン」
その言葉を鍵として、ステータス画面が立ち上がった。
早速、パラメータの値を確認する。
HPは『300』MPは『100』……≪Str≫以下、全ての項目が『10』丁度で収められていた。
所有金額の部分には、5000ノクトと記載されていた。
通貨は現実世界とほぼ一緒で『1ノクト=1円』らしい。
なので初期のお金は5000円という事だ。
「思ったより、お金が多いかなぁ……」
素直に言葉に出してしまう。
まぁ、とりあえずは先立つものにはお金も必要であり多いに越したことは無いのだけれど……。
大体の確認が終わったところで、『アクアステルラ』の門をくぐり、街へと足を踏み入れた。
……街に入ると、先ほどまではさほど感じなかった、磯の香に……潮風をほんのりと感じた。
「五感をほぼ再現って……伊達じゃないんだねぇ」
つい口に出してしまった。
とりあえずは、ゲーム内時間が遅いため粗方街を巡ってみようと考えた私は。
『アクアステルラ』の中心部へと向かおうと、歩き始める。
……しばらく歩いていると、ふと鼻腔をくすぐるいい匂いがしてきた。
何かのお肉だろうか? それを焼いているようなそんな匂い。
「……味はどんな味がするんだろう」
釣られるように、匂いの元へと歩いていくと。
小さな露店にたどり着く。
その露店には、これまた小さな看板が立っており。
『当店名物.シーラビットのもも肉焼き』
そうでかでかと書かれていた。
(食べてみたい)
一瞬でそう思い、露店に駆け寄り店員へと注文をする。
「もも肉焼き1つください」
はいよ!! と小気味よい返事と共に店員が顔を見せる。
「1つ、350ノクトだ。」
店員に、お金を渡しもも焼きを受け取る。
そのまま、はしたないかなぁとも思いつつ、一口肉を齧る。
齧ると、程よい弾力が返ってくる。その弾力にまけじと噛むと抵抗なく噛み切れるが、今度は肉の内側から肉汁が噴き出して口内に溜まる。
「んんっ!? 」とっさの事に声がでず、少しだけ涙目になる。
その後も行き場を失くした、熱々の肉汁が口内に溜まっていくが、熱さを堪えどうにか飲み込み息を吐く。
「うー……舌が痛いよ。こんな所までリアルにしなくていいのに」
第一声の感想がこれである。
その様子を見ていた、店員さんがお水を差しだしてくれる。
「うちは、焼きたてを渡すのがモットーなんだ。お嬢ちゃんには熱すぎたみたいでごめんね。」
「あ、いえ……私がいけないので気にしないでください」
ありがとうございます。と言いながらお水を受け取り飲む。
何となく、普段飲んでいるお水よりおいしい気がする……そんなことを飲んでいる最中は思った。
それから少し熱を冷まして残りのもも肉焼きを食べる。
先ほどよりも、熱くない分味がよくわかる。
表面には、何かのタレが塗られておりピリッとした辛さを醸し出している。
それをお肉の汁とお肉本来の甘味が辛さを中和し、程よい酸味となり口内に広がる。
そのまま、飲み込むと脂やお肉特有の後味の悪さが残らず、スッキリとした味わいだった。
(口の中で溶けていくってこうゆう事なのかなぁ……)
なんて思う、おいしさだった。
思わず、「おいしいですね!」
と声をかけると「うちは、この『アクアステルラ』じゃ知らない人がいないぐらいのお店だからね!」
と店員さんが言う。
さらに、「そのうちの店を知らなかったんだ。お嬢ちゃん、あんた冒険者かな?」と続けた。
「今日街に、初めて来たんですよ」というと……
「今日は大勢の人がくるなぁ」と店員さんがいい。
「もし、街の中心部を目指してるなら、あの灯台を目指すといいよ」
と言い、指を指す。
そこには、雲を突き抜けるような高さの灯台が立っていた。
「……なんでわかったんです?」私が言うと
「そりゃぁ、一日に大勢の人に尋ねられればねぇ」と苦笑していた。
「でも、おかげで助かりました。ありがとうございます。それとこのお肉おいしかったです。また来ますね!」と伝え、その場を後にした。