Session12:命名
累計アクセス数が3万5千を超えていたようです。手に取って読んで頂いている方ありがとうございます。
もうしばらく忙しい日が続くので、投稿間隔空いてしまいますがなるべく早く届けられるよう頑張ります。
「……んー、そんなすぐに思いつかないよ」
そういうと、妖精猫は寂しそうに笑う。
「主さミャ……ニャまえは重要ニャんだニャ……」
と、何故か妖精猫は≪召喚術≫の中で重要なことを語り始める。
≪召喚術≫において大切な因子は大きく分けて3つあるニャ……と。
1つ、≪召喚術≫を使う術者の心を反映する。
召喚獣=道具と考えている人に、召喚獣が心を許すと思うかニャ?
そう、妖精猫は囁く。
2つ、接する態度
人と同じニャ……、上から目線で話をされるのは嫌いニャ。主さミャはそんニャ事なさそうだけどニャ……。
3つ、名前
「僕が言いたいのは結局ここニャ」
召喚された僕たちだって、いいニャまえを貰える権利があるニャ!
だから、主さミャ早く、早くニャまえくださいニャ!
と、屈託のない輝く顔でこちらを見つめる。
(どうしようかなぁ?)
とりあえず、『アクアステルラ』に一回戻ろうかな。
先ほどみたいに油断して、また背後から攻撃を貰うっていうよりは、ゆっくり考えたいし。
「じゃぁ、一回『アクアステルラ』に戻ってからでもいい?」
そう、尋ねる。
「仕方ニャいニャァ……」と、嬉しそうな顔をしたまま妖精猫は答えた。
じゃぁ、2人にも伝えないとね。
「レーヴ、ルクス……そろそろ一回、街まで戻ろう?疲れちゃった」
2人も「「そうだね」」と相槌を打ち、戻ることになった。
街まで戻る最中は、3人で謝り合戦となった。
私は、周囲への警戒を怠り攻撃を貰って体制を崩してしまったことに。
レーヴは、前衛としての至らなさを誤っていた。
いや、Lv1,2位だと仕方ない事なんじゃないか……とは思うんだけど。
ルクスも、周辺の警戒ができてませんでした……と言っていた。
でも、今回の功績者は間違いなく、ルクスなんだけどなぁ……
うん、本人にも伝えたんだけど、「そんな事ないです」と言われてしまった。
まぁ、私も含めて全員反省点があるのは事実みたいだから……
治していかないとね!
特に私……支援職が周囲の動きを見るの怠るって致命的すぎるし……
そんな、思いを各々抱きながら、『アクアステルラ』に戻った。
街についてまずは、レーヴとルクス2人とフレンドを交換した。
それから、宿に入ろうと『アクアステルラ』の街を歩いていく。
「主さミャ~、まだかニャ?」
ひょこっと、妖精猫が私の肩から顔を出す。
……そういえば送還せず、召喚したままだった。
まぁ、道中の友ができたと思えば退屈はしなさそうだし
≪召喚術≫のレベルは上がるしいっか。
色々考えながら、言葉を返す。
「宿屋に入ってからね。もう少しだから……それに今考えてるし」
そう、言いながら歩き続ける。
しばらく『アクアステルラ』の街を歩き、宿屋を見つける
――宿屋:Berceau de lune
看板にはそう書かれていた。
……??
読めない為、翻訳をかけると。
どうやら『月の揺り籠』という、名前らしい。
私のPNがルナで月であるため、何となく親近感を感じながら宿屋へと入った。
「いらっしゃいませ、とう宿へようこそ、一泊、500ノクトとなっております」
感じのいい男性が現れ接客してくれる。
宿の値段は、ゲームの為、現実より格段に緩和されていた。
「あ、じゃぁ1泊お願いします」
迷うことなく、500ノクトを手渡しチェックインする。
「ありがとうございます。とう宿では、宿泊費に食事代が挟まれておりませんので、お食事の際は外で食べていただくか、宿内にあります、レストランをご利用ください」
そう、一言注意を加えてから部屋へと案内された。
「こちらが、貴方様のお部屋となります。チェックアウトの時間は明日のお昼まででしたらいつでもいいので、一声かけてください。連泊の場合も同様となります。それでは、ごゆるりと」
そう言って、男性は部屋の鍵を渡して業務へと戻っていった。
「……さて、とりあえず部屋に入ろう」
妖精猫も「そうだニャ」と頷き、2人で部屋へと入る。
部屋に入って、すぐ目の前に見えたベッドにとりあえずダイブしてみた。
程よい弾力をその身に感じながら……体が沈んでいく。
「んー……。ふかふかだぁ」
もし誰もいなければ……このまま一眠りしていただろう。
だけど、そう……ここには召喚獣の妖精猫がいる。
名前を付けられるのを心待ちにして。
「主さミャ、名前くれるんだニャ?」
先ほどの街に戻ったら、と言う言葉を信じているのだろう。
さっきよりも目を輝かせている。
「そうだね……何がいいかな?」
色々な単語を想像していく。
何がこの『妖精猫』を彩る名前となるのか。
それだけを考えて。
……どれぐらいの、時間が経っただろう。
そろそろ1時間ぐらいたつだろうか……。
その位、考えてはいるがイマイチ、ピーンと来るものがない。
……どうしたものか。
妖精猫の姿をもう一度よく見る。
何処か、名前に付けやすいような特徴は……
ジーっと妖精猫を見つめる。
「主さミャ……そんニャ見られたら、恥ずかしいニャ……」
黒と白を混ぜたその体をくねらせて、言う。
ある程度の体の動きを伴っているが……。
頭にかぶっている王冠はその頭からずれることも、落ちることもなく煌びやかに光っている。
……!
王冠……?
あったじゃないか。
こんなにもこの妖精猫を象徴する物が……
「うん、決まったよ……君の名前は『クラウン』だよ』
……我ながら安直にしては、いい名前だとおもった。
『クラウン』と名付けられた……妖精猫も微笑む。
「『クラウン』……僕だけのニャまえニャ……『クラウン』」
何度も確かめる様に、呟く。
……そして
「気に入ったニャ!今日から僕はクラウンにゃ!! 主さミャ!よろしくニャのニャ」
とびっきりの笑顔で『クラウン』はそう言い、尻尾を大きく振ったのだった。
誤字、脱字…場面の状況を現すための加筆なども並行して行ってます。よろしくお願いします。




