Session10:強射
遅刻です……。
すいません、本日より手が離せず金曜、日曜の更新難しそうです。
また、できなさそうでしたら活動報告にて報告させていただきます。
レーヴは周囲のモンスターを切払いながら、走る。
「ルクスそっちは平気なのか?」
ルクスのことを気遣いながら。
「んー?ちょっと厳しいかなぁ。でも大丈夫きっと」
私が吹き飛ばされたということは、ルクスの近くにあのモンスターが居るということだが、不思議とルクスは落ち着いていた。
「とりあえず、ルナさんの回復を優先して? 私がここで止めないと」
……ルナさんの元に行っちゃうから。
その言葉は、口に出さず風魔法を行使する。
モンスターの足元に向けて。
何もできない歯がゆさを感じながら……ふと別の事が気になる。
そういえば、あのモンスターの名前はなんていうんだろう?……と
ふと視線を向けると「ゴブドック(★)」と表示されていた。
(……★? 何の意味があるんだろう?)
気にはなるが、些細な事かなぁ……と思いつつ、またルクスへと視線を移す。
ルクスは、体制を崩したゴブドックに向けて弓をまっすぐと構え、矢をつがえる。
「普通に射てダメな気がするから、邪道で行くよ」
ふぅ……と深呼吸。目を閉じて心を落ち着かせているようだ。
「まずは……左」
目を開き、静かに矢を射る。
その矢は、吸い込まれるようにゴブドックの左の眼を射抜く。
「グガァァァァァァ」
周囲に響き渡る、轟音。
人と獣の声が混じったような、気色の悪い声がこだまする。
「これでしばらくは平気……かな」
気を少しだけ緩めながら……でも手には弓を、矢をつがえたまま、レーヴを見る。
「レーヴ、まだぁ?」
「今着いた!」
レーヴはポーチの中から液体を取り出し私にかける。
「一応買っといてよかったな。HPポーション」
危険域に染まっていた、私のHPが5割まで戻ってくる。
「もう一本いっとくか……」
そういってレーヴは2本目のHPポーションをかける。
それで、9割ぐらいHPは回復した。
「あとは、状態異常だけど……時間経過か……なら守り抜くしかねぇよなぁ!」
なぜかレーヴは笑っていた。
「ルクス!加勢はいるか!? 」
声音的には挑発するように、ルクスに尋ねる。
「んーん。また誤射しそうだし……私一人で(・・・・)やるよ」
ルクスは笑いながら、言う。
「あのモンスターはもう、詰んでるからね」
そういって、ゴブドックに目を戻す。
ゴブドックは目を射られた影響なのか……
いまだに叫び続けている。
「ほらね……これなら私一人で大丈夫。それより、この叫び声でモンスターが集まってきそうだから、そっちをよろしくね?」
「ったく……無理と思ったら交代な。それまでは、頑張れ」
腕を組んでルクスを見守る。
「さぁ、じゃぁ次は右だね。もらうよ!」
何処か悪戯めいた笑顔を浮かべて、矢を射る。
その矢も吸い込まれるようにゴブドックの右目に命中し、ゴブドックの両目から光を奪う事に成功する。
その様子を見てどこか満足そうな表情を浮かべるルクス。
だけど、溢す言葉は「いつも、これができたらなぁ……」
と、ため息交じりだった。
「やらなきゃ!ってなったルクスはやっぱ強いなぁ……」
そう溢すレーヴの眼は何処か、羨望を含んでいる様だった。
それでも、油断せずにルクスは矢を射り敵の自由を削ごうとする。
……矢を弓につがえるため、アイテムを出現させようとして……残弾がないことに気づく。
「……あー、やっぱりたりなかったね。じゃぁ!」
魔法を使おうと風魔法を選んでスライサーを発動する。
ゴブドックのHPを確実に減らしているはずだが、多くのHPがあるのか。
通常の敵ではないのか、中々その体を地面に倒すことは無く、目を抑え叫び続ける。
痛みから、叫んでいるんだろうと判断していたルクスは、辺りの状況に気づかない。
レーヴもまた、私の元を動けない為に気づけない。
でも、確実に……ゴブドックの周りにはモンスターが増えている様だった。
狭い視界の中で、増えているモンスターを確認すると、ゴブリンと表示されていた。
……あ。
そこで1つ謎が解けたような気がした。
私から見た際、ゴブドックには『★』が表示されていた。
この『★』は、親玉みたいなものを指すんじゃないかと。
そうすれば、今も少しづつ敵が増えている事に何となく合点がいく。
んー、それなら早く動けるようにならないとまずい……
先ほどよりも何倍も、もどかしさが募る。
もし、状態異常が解除されたら真っ先に何をするか……。
戦況を冷静に分析する。
戦闘は続いてしまうし、逃げ切れないだろう。
なら叩くしかない。
現状、前衛はレーヴ一人、後衛は私とルクスね……。
ルクスは弓の残弾がないようだから……。
ぐるぐる思考を回しはするものの、どの未来もあまり、良い結末は待っていない様な気がしていた。
……それなら≪召喚術≫を使ってしまおう。
≪召喚術≫は初回のみ、MPを5割消費する事で、『召喚獣』と契約することができる。
まぁ、どんな召喚獣が出るかはわからないんだけども……。
現状よりも手が増えることはいいことだ。
そうしよう。
それから、みんなに支援術と付加術……回復魔法をかければ何とかなる……と思う。
そう信じて、状態異常回復を待つ。
……時間にして、3,4分ぐらいだろうか。
時間が経つと、視界が徐々に3人称視点から、1人称に……自分の視界に戻ってきた。
まだ少しだけ、ぐるぐるする頭と気持ち悪さを抑えながら「レーヴごめんね。もう大丈夫」
とレーヴに告げる。
「おそかったな」
レーブはそう言い笑った。
「んじゃ、ルクスの援護行ってくる」
そういうと、レーヴはまた走り出した。
「ん!よろしく……。支援術、アタック!スピード……付加術、エンハンスソード!」
……それから!!
「≪召喚術≫さぁ、この状況を打破できる力を!」
お願い……。
そう願いを込めて召喚術を使う。
『……主さミャの願いに答えようじゃニャいか……。概ね、戦況は把握ずみニャ!! 』
何やら、可愛らしい声と共に、姿を現したのは。
頭に王冠を携えた、毛皮に白色と黒色の混ざったブチ猫だった。
この、小説を読んで頂いている皆様……いつもありがとうございます。
≪召喚術≫によって現れた、召喚獣について詳しくは次回に。




