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勇者召還に巻き込まれました

 ヴィクトリア調の白を基調としたドレスに身を包み、頭上には七色に輝き存在を主張するティアラを載せ、外から差し込む日の光を受けティアラに見劣りしない美しい銀色の髪がキラキラと煌く。

如何にもお姫様と言った感じの美少女が何語なのか解らない異国の言葉で何か喋っている。

周りを見ると僕以外はどうやら理解しているようで頷いたり色々と何か話している。



僕は野飛 太陽(やとび たいよう)

全てにおいて平均(容姿、成績、その他)と平凡を地で行く何処にでも居る様なタイプである。

名前から、の○太(野飛太)とどこぞの猫型ロボットに助けを求める駄目雄みたいな愛称(あだな)を一部の人から拝命している以外は普通と言えるだろう。



傍らに居る友人もお姫様の言葉を理解しているようで頷いている。




(さとる)、何言っているか僕には解んないんだけど・・・

お前は解るんだよね?」


「解るでござるよ。」


「通訳よろー」


「了解でござるよ、師匠!!」





土星 慧(つちほし さとる)

僕の心友(親友)である。

彼は長身で細マッチョ、運動神経抜群(剣道部エース)、学校成績は上位に位置し、帰国子女でイケメンと非の打ち所のない男である。

しかし、残念なことに重度のオタクで中二病と言う伝染病にかかっている。

帰国前から重度のオタクで、安土・桃山時代に活躍した歌舞伎者を描いた作品を読み感動しその道にはまったと言うのは本人談である。

現在は侍や忍者が活躍するモノを中心にありとあらゆる漫画・アニメ・小説、TV等々を網羅しオタク道を邁進し、特にお気に入りは時代劇で「~ござる」と言う語尾を付ける話術を使う(つわもの)である。

また自称『土星人』である。

女子から『残念王子』と言う名の称号を拝命している。

本人は特に気にする様子もない。

慧が僕と同じクラスに転校して来てから数年の付き合いである。

僕が中二病を患っていた時に共通の趣味・主張(オタク道、中二病)で色々教えたことから彼は僕の事を『師匠』と呼ぶ。

正直、中二病の完治した僕としては恥ずかしいの一言で、「止めてほしい」「普通に名前で呼んでほしい」と何度もお願いするが「師匠を師匠と呼ぶ以外の名前ですと・・・■ ■ ■ ■(中二病時代の自称名)とお呼びするしか無いでござるな」等と言うので妥協して『師匠』と呼ばせている次第である。

中二病だったとは言え我ながら恥ずかしいネーミングであったと思う。

取扱注意、完全封印の黒歴史である。





「ようこそ勇者様とお仲間の皆様。

召還に応じて頂きありがとうございます。

私はインベイド帝国 第二皇女 カテジナ=インベイドと申します。

カテジナとお呼び下さいませ。

と、あ奴等に言っているでござる。」




あ奴等とは火崎 真亜頭(ひざき まあず)水木 真理奈(みずき まりな)(たまき)N(ネーナ)水木(みずき)金 道帝(キム ドチェ)の4人組である。


火崎 真亜頭(ひざき まあず)

街最強最悪の武闘派チーム炎帝(えんてい)のリーダー。

僕達と同じ学校の同級生で、学校では優等生の仮面を被っている隠れ不良。

容姿端麗・文武両道ではあるが、オタクで中二病以外は非の打ち所の無い慧と比較され事が多々。

文武において残念王子である慧に歯が立たず、学校では従来のカリスマ性を活かせていない。

そのことから慧と(慧と仲が良い)僕を目の敵にしている。


水木 真理奈(みずき まりな)

火崎の彼女。

僕達と同じ学校の同級生で、学校では優等生の仮面を被っている同じく隠れ不良。

チーム炎帝の頭脳と言われる参謀。

容姿端麗・文武両道のお嬢様。

学校では火崎とBestカップルとして知られている。

腰まである艶のある黒髪にメガネがトレードマークの和風美人。

学校では羊の皮を被っているが実際の性格は残忍で悪知恵が働くタイプ。

火崎にベタ惚れで、火崎に敵対する者に容赦しない。


(たまき)N(ネーナ)水木(みずき)

日本人とフランス人のハーフで真理奈の従姉妹(いとこ)

中○生とは思えない色気とツインテールに愛くるしい笑顔からチーム炎帝のマスコット的存在。

あまり頭は良くないが運動は得意で特攻隊に所属する猛者。

金髪の悪魔(ブロンドデビル)などと言われるほどの残忍さを併せ持つ。


金 道帝(キム ドチェ)

火崎の幼馴染。

チーム炎帝の副リーダー兼特攻隊長。

某足技主体の格闘技を得意とするが棒術も得意でその2つを織り交ぜた戦闘スタイルを確立している。

幾つものチームを単独で壊滅させたことから破壊王(クラッシャー)と呼ばれている。

キレ安く凶暴、瞬間湯沸かし器以上の短気、特に道帝(どうてい)は禁句で、言われると暴力が止まらないバイオレンスな男。




「奴等が勇者とその仲間だって?」


「そうでござる」


「似合わね~」


「同感でござる。」



実に極悪極まりない勇者とその仲間達である。

勇者というより山賊か海賊がお似合いである。





時間を少し巻き戻してみよう。

事の発端はというと、僕と慧が新刊のコミックを購入するため行き付けの本屋を目指していたところ、火崎一味に遭遇してしまった。

絡まれ裏路地に連れ込まれた。

裏路地に入った途端に光に包まれ、気が付くと現在の状況である。






「で・・・僕達も勇者の仲間ってことでいいのかな?」


(それがし)と師匠は違うようでござる。

どうやら火崎たちに巻き込まれて異世界に転移させられたようでござるな~」


「え?

巻き込まれた・・・」


「そうでござる」




くだらない理由で絡まれた上、巻き込まれたとは納得できない理不尽極まりない惨状である。

カテジナ姫は僕と慧にゴミか虫でも見る様な目を向けているし、火崎たちもニヤニヤとこちらをバカにした様に見ているので先ず間違いは無さそうである。




「処で・・・慧は何で言葉が解るの?」


「土星のテクノロジーのお陰でござる。」


「その設定はもういいから。」


「設定ではないでござる。

本当のことでござるよ。」




そんな事を話していると僕と慧は衛兵に取り囲まれていた。




「どうやら勇者とその仲間以外は不要だから城より追い出されるらしいでござる。」




僕達は両方の腕を衛兵に捕まれ城門より放り出された。

巻き込んでおいて理不尽極まりない仕打ちである。

高笑いしながら「会う機会があれば・・・まぁ無いだろうな。の○太に残念王子さらばだ。」と言い放った火崎たちにはむかついた。

同胞の同じ地球人とは思えない仕打ちである。

しかし、慧は楽しそうに笑いながら立ち上がった。




「来てしまったものは仕方ないでござるな。

これはこれで楽しむしかないでござる。

この異世界で我らが覇道を示そうぞでござるよ。」


「覇道を示そうって何処の武将の台詞だよ。

でも僕はこの異世界の言葉が解らないからな・・・

先ずは言語学習からかな・・・駅前留学的なものなんて無いよな~」


「師匠、言葉については大丈夫でござるよ!!

てれれれってれ~ 万能翻訳機」


「お前は猫型ロボットか!!」


「ナイス突込みでござる。」




ため息交じりに僕が呟くとGoodJobとでも言いたげに親指を立てケタケタと笑いながら慧は僕にBB弾位の赤い玉を手渡し耳に当てる様に言って来た。

耳に当てると吸い込まれる様に肌に馴染み、埋め込み型のピアスの様になった。

慧の耳のピアスはこれだったことを知ることとなった。




「中二病ピアスだとばかり思ってたよ。」


「半分当りでござる。」



ピアスに見える様にしてるのは中二病カスタマイズとのことである。

本来は目に見えないようにするのが普通らしい。




「それで、どうでござるか?」


「確かに周りの声が解る。

衛兵が命だけは助けてやるからここより早く立ち去れって言ってるな・・・」


「これぞ土星のスーパーテクノロジーの一端でござるよ。」




城門から離れ歩き出しながら自慢げに胸を張る慧をよそに、僕は驚きでパニックになっていた。

確かにこのピアスを試した後では慧が言う土星人という現実離れした主張にも信憑性があると判断するしかないような気さえする。

そもそもが異世界の言語すらも翻訳してしまうとなると地球の最先端技術でも到底無理である。

慧曰く、地球には多くの宇宙人が観光で訪れているとのこと。

地球は人気の観光スポットで日本の漫画、アニメ、小説等のオタク文化は熱狂的な支持層がいる。

その為、『未開惑星文化保護協定』なる宇宙協定の中でも特に地球は最高ランクの保護がされている。

これが資源が多く存在する地球が宇宙人からの侵略を受け無い理由であるとのことである。

慧も聖地に巡礼に来て魅入られた1人であるとのことだ。

このピアスは地球で言うところのオーパーツに該当し、水晶髑髏や黄金のスペースシャトルと同じような存在であるとのこと。

しかし、一般的に知られるオーパーツは使用限界を超えたものや壊れて使えなくなった言わば廃材であのに対しこのピアスは使用可能な品で最先端技術なので格が違うらしい。

本来は未開惑星である地球人に渡すことは禁則事項に抵触するとのことである。

イレギュラーな状況なので人命保護の観点からの提供とのこと。

全て普通では考えられないぶっ飛んだ話ではある。




「ここは異世界でござるから協定違反にはならないでござるよ・・・多分」


「多分かよ・・・」


「細かいことに囚われていては駄目でござるよ。

地球にてオタク文化の聖地を堪能しただけではなく異世界にも来る事が出来るとは、某たちはラッキーでござるな。」


「・・・」



爽やかに言い放つ慧の楽天的な言動を聞いていると何だか何とかなりそうで少し不安が消えた。

ついでにこれもと言って慧はコンタクトレンズを渡して来た。

見た目は普通のコンタクトレンズである。

しかし、勿論これも土星印のハイテクコンタクトレンズである。

機能は【解析】【鑑定】【防御膜生成】【肉体制御】の4つ。

ピアスにも【万能翻訳】【万能言語化】【肉体強化】【通信】の機能があるとのこと。



【解析】

情報の解析。

慧曰く、多岐にわたる便利機能で情報を収集することにより色々と役立つとのこと。


【鑑定】

物品鑑定。

アイテムを鑑定し構成物質の割出、作成補助など行う機能。


【防御膜生成】

バリアー。

防御力は発動してからのお楽しみとのこと。

回避不能な攻撃に対してバリアーを張って守ってくれるらしい。

「車のエアバックみたいなものでござる」と慧は言うが・・・


【肉体制御】

解析と組み合わせて見た技を再現できる(限度有)

見た動作をトレースする機能で解析により蓄積され戦闘をアシストしてくれる。


【万能翻訳】

知的生命体の言語翻訳。

言語を持つ生命体ならば機能する。


【万能言語化】

知的生命体への言語伝達。

普通に話すだけで自動翻訳して相手に伝達してくれる。


【肉体強化】

筋力、抵抗力、他の肉体機能全ての能力UP

個人の元から肉体性能に左右される為、トレーニング等で底上げ可能。


【通信】

現状でこのピアスを持つ慧と僕の直通回線。

詳しくは解らないが亜空間テレパス通信法なる宇宙テクノロジー技術を採用しており、距離を度外視した高品質の通信を可能とした最先端技術とのこと。




慧に「これチートじゃないか?」と尋ねたら、「チートかどうかはまだ解らないでござる。ここは異世界だし備えあれば憂いなしでござるよ。」と返された。

確かにその通りである。

例えるならエベレストに登るのに何の装備も持たず近くの山を登る感覚で登るバカは居ないし、不測の事態にも対処できるだけの装備を用意するのが普通なのである。

しかもここは異世界、この世界の情報が少ない現状ではチートかどうかも判別できないのも確かである。

不安だらけではあるが慧となら何となくうまくやっていけそうな気がする。




こうして地球人の僕と土星人の慧の異世界珍道中の幕開けとなった。

初投稿です。


異世界チートもの大好きで色々読み漁ってました。

読んでるうちに自分でもこういうの面白いなとか色々考えてしまい試しに描いて見ました。

誤字、脱字に拙い文章の3点セットで読み苦しい点多々あると思います。

暇つぶしとしてお目通し頂ければ幸いです。


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