第1話 胸囲の格差社会
「男子って一日に一時間くらいおっぱいのこと考えてるらしい」
「え、そんなに?」
「……まさに変態」
「いや、女子も考えるでしょ。今日はフィット感イマイチだなとか、汗ばんでるなとか」
「確かに」
「日によってサイズ変わるの、なんなんだろ」
「えっ? なにそれ? 変わらないけど」
「持てる者だけに起きる現象だから」
「……つまり私は持ってないってことかぁぁぁ!?」
「うん、持ってないってことだ」
「おい、慰めろよ」
「やだよ、めんどい」
「今までジャストフィットなブラに出会えたことない」
「え? ちゃんとフィッティングしてもらえばあるでしょ」
「収まりはする。でも苦しい」
「わかるけど、何も着けないわけにはいかんやん」
「うん……ブラなしだと痛くて走れないし」
「えっ? 普通に走れるよ?」
「お前、うそだろ?」
「全然平気、あはははは」
「あ、泣かせた」
「パワハラ……いや、ブラハラ」
「大きければいいってものでもないでしょ」
「それ、大きい人しか言わないやつな」
「え〜? でもブラウスの浮きとか隙間とか気になるし」
「私たちは浮かないので」
「私たちいうな、違うから」
「仲間だろ」
「ちゃうわ」
「てか左だけ成長してるんだけど?」
「えっ?」
「左右対称じゃないでしょ?」
「……そうだけど、結構差があるんだよね」
「そのうち揃うだろ?」
「もう成長期終わりそうなんだけど」
「二十二歳くらいまで育つらしい、SNS調べ」
「……人による。中学から変わらん子もいるし」
「諦めるのはまだ早い! これからだ!」
「そう思い続けて三年」
「……なんかごめん」
「気にしない。でもラテ奢って」
「糖分で太るぞ?」
「……太れば胸にもつくはず」
「そうはならんって知ってるだろ」
「うん……なんでお腹ばっかりポニョるんだろ」
「胸にいく子もいる」
「ずるくない?」
「ずるい。でもどうしようもない」
「結局、でかいほうが勝ち?」
「男子も女子も大きいほうが勝ち」
「ん? 男子が大きい?」
「それ以上考えるな。嫁に行けなくなる」
「その前に彼氏でしょ」
「彼氏無理だろ」
「女子校だからねぇ」
「しかも幼児舎から」
「バイト禁止だし、男子と話す機会がない」
「パパとか弟とかいるだろ」
「それ家族な」
「女しか知らん」
「女もわからん」
「男子って生き物がドラゴンくらい謎」
「なんでドラゴン?」
「男はみんなドラゴン」
「どの辺が?」
「すまん、適当なこと言った」
「知ってる」
「そろそろ帰ろ。スタイルバッハに寄る?」
「お前、ラテ奢らせる気か?」
「うん、そのつもり」
「みんなも行く?」
「行きまーす」
「ゴチよろ!」
「全員は奢らねーよ!」
「デカいのにケチ」
「関係ないだろ!」
「……ん?」
「どうした?」
「誰かが聞いてた気がする」
「気のせいだろ、行こ行こ」
「ほーい」
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