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ハニャーン汗は泣いた、枕を濡らして泣いた、ちなみに此(こ)の枕は姑獲鳥の羽で作られた大層なものであり、その柔らかさ寝心地のよさは天にも昇るほどである


臣ポッピペチョは汗を無視して淫国に助力を乞う早馬を送った、返事は驚くほど早く来た、伝書バトに吊るされてきた、淫の王、淫淫勃勃(いんいんぼつぼつ)からの返書である、1枚の紙切れである、こうあった


がんばれ


これを見るとハニャーン汗はそれを破りビッターンと地べたに叩きつけベッチベッチと踏みつけ石の棍棒を抜いて叩きつけ宮城の1室に飛び込むと、大きな壺を抱えてヨタヨタと歩いてきて、満たされたる油を其(そ)の紙切れにぶちまけ、宮城の壁のたいまつを持ってきて火を放った


その時、門は開け放たれ1頭の騎馬が突っ込んできた、「急報にてございます」、「急報にてございます」、「撲殺単于より親書が届きました」


内容は次のようなものであった


「バーカ、バーカ、敗勢いちじるしきカヤバンダの負け犬ども、戦をすれば百戦百勝、碁を打てば百戦百勝、身長百尺百寸、日輪にぶっ刺さらんばかりの堂々たる体躯に天上人の相、このスゴーイスゴーイ我、撲殺単于は其(そ)の山だらけの辺鄙な野原(フィールド)を涙も枯れはてんばかりの慈愛の心を以って我が領土(レルム)にしてやる、ありがたく思え、敬具」


「いやじゃーーーーーー、余は死にとうないー」


ハニャーン汗はしくしく、しくしくと泣いた、臣ポッピペチョは12万の兵を集めると北方へ進軍し北から流れ来るクサッタ川よりやや離れたフワトロ山の上に布陣した、その山頂には古の砦があって、なにより井戸があり、12万の喉を潤すには足らないが、大いに価値のあるものである、クサッタ川の周辺は平地であり、また当然ながら水源も近く、北方より大集団で来るならば此処(ここ)を通るのが最上の場所である


ポッピペチョの軍は豪を掘り、掘った土を盛り上げて塁壁とし、石を集めてうず高く積み上げた、これは投石兵が弾とするものである、3種類もいる彼らの第一は、ただの投石兵であって其(そ)の辺の人を掻き集め石の棍棒と投石紐を持たせたものである、投石紐は長い紐であって中央に窪みがありそこに石を包んで紐の両の端を持ちぐるりんぐるりーんと振り回して片方の紐を放せば石がぴゆーんと飛んでいって人の頭蓋を砕くものである


第二は精鋭投石兵であって装備は変わらないが職業戦士であり其(そ)の投石の精確な事はただの投石兵の比ではなく人に石を当てるプロフェッショナルなのであった


第三は近衛投石兵と称する者たちであって職業戦士であることは第二の連中と変わらないが弾として鉛を用いるもので、その威力は大変なものである


その他の兵たちは長柄槍を持っていた、或いは長棍棒と称するものを持っていた、これは5メートル前後の実に長い槍で主に竹ででき、びよーんびよーんとよくしなるものである、先端には黒曜石の穂先が差さっている、或いは穂先が無く鉛が仕込まれている


腰には石の棍棒や斧を差し、あるものは木の板に黒曜石の刃を埋め込んだ剣を持っていた、他に長方形の大きな盾を持つ者たちがいて此(こ)れを盾兵と言い、サスマタと称する先端が2つに分かれた背丈ほどの長さの棒を持つ者がいて此(こ)れをサスマタ兵と言った


兵の多くは分厚い布の鎧をつけ、分厚い布のマントをつけ、小袋を腰から下げている、その中身は両端が円錐形をした小さい鉛の塊が複数であって近衛投石兵の用いる鉛弾なのであった


12万の内訳は各種の投石兵がそれぞれ1万、盾兵が1万、サスマタ兵が1万、輜重が2万、長柄槍と長棍棒兵が5万である

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